46話 勇者対魔王
魔王が来るかもしれない、俺はサンジェストを倒す前からそんな事を感じていた。だから、俺は驚きより諦めが出来ていた。
魔王バビルファード•ノイントザイトの噂や偉業は、結構な数を聞いてきた。
例を言えば、生まれた瞬間から言葉を話せたとか。赤ん坊にも限らず、聡明で魔法も剣術も何もかも完璧に操った天才。一時は神の子なんて言われてるらしい。一つにまとめると魔王は天才であり、俺らからすると天災であるって事だ。
「お前は何故、人族と戦争している!」
俺は魔王に向かって話しかけた。城の地下の事よりも、この世界に来た理由である戦争している訳を聞きたかった。
「あの戦争は、人族が始めた事だ。我らが始めた事でない」
「何?」
「お前はアヤツに試されてるだけだ」
「試されているだと?」
「我が見た限り、お前達は本来の歴史を知っているだろう。そしてここに来る前に、いくつかの大試練をクリアしているはず?で、間違い無いな」
「ああ、確かにここに来るまでに3つの大試練と本来の歴史を知っているがそれがなんだ?」
何故、魔王が大試練の事を知っていているのか。分からなかったが、少なくても話は通じる奴だと判断した。
「これで確信が持てた。お前は勇者の1人で、アヤツに選ばれたんだな」
「選ばれた?」
「とは言え、我が城に侵入し四天王を打ち倒した者達だ。我と一対一の戦闘をしよう」
「は?」
俺は言葉の理解を仕切れず、混乱していると魔王は、後ろに振り返り少し離れたところから戦闘態勢に入ったが今思い出したかのように態勢を変える。
「魔王と勇者が戦うのなら、もう少し豪華なところにしよう」
魔王は指をパチンッと鳴らす。すると、俺たちが居た部屋から視界が変わり魔王の後ろに豪華な椅子があった。玉座の間だ。
「ふむ、やはり決戦と言ったらここだな。さあ、勇者!我と一対一の対決をしよう出ないか!」
魔王は再び戦闘態勢をとる。俺は今この状況を完全には理解しておらず、色々聞きたい所だが今は目の前の事に集中して刀を構える。
「良い目だ。まずは小手調べから行こうか!」
魔王は俺に向かって、大量の魔法陣を展開し連射で魔法放ってくる。俺に飛んでくる魔法全て炎属性の魔法だった。形から【炎球】である事は分かった。
複数の【炎球】を防ぐために、俺も魔王と同じ複数の【水球】で対抗する。今まで複数の魔法を展開した事なかったが、感覚的に出来る事は分かっていたのでその感覚を信じて展開させる。
放たれた魔法は全て消え、煙が上がる。周囲が見えなくなり、魔王がどこにいるのか分からなくなるがメガネスキルの【予知】と【感知Ⅲ】で位置を確認する。【予知】で俺の首を狙ってくることがわかったので、刀を首後ろに移動して攻撃を防ぐ。
「今の攻撃を防ぐか」
「今度は俺のターンだ」
首後ろで防いでいる刀に力を込め、魔王の剣を弾き剣技で攻める。【予知】で魔王が攻撃する前にその場所を視て、魔王の攻撃をされないように全て防ぐ。
「我の行動が視えているのか」
やはり、勘付かれたみたいだ。あれだけ攻撃を阻止すれば天災様は気がつくだろうな。俺はこのタイミングで攻撃の仕方を変える。
「【複製Ⅱ】」
刀の複製だ。それも一つだけではなく、魔法を複数展開した時の感覚で空中に刀を複製する。アニメやゲームで、あった物をイメージしてやった結果だ。俺が空中に複製された刀を強く意識すると、発射する仕組みにしてある。さらに俺はそこにアレンジを加える。
「【合成魔法】【擬似属性付与】」
今までの冒険で、みんなが持つ属性を【合成魔法】で使っているうちに出来るようになった【擬似属性付与】それを使って刀に属性付与をさせる。
「それがお前の本気か」
魔王は、それを待っていたとばかりに笑みをこぼしていた。そして、魔王の周囲から魔力が集まっていく感じがした。
「我と勇者どちらが、先に潰れるか勝負だ!!」
魔王も完全武装になり、この勝負に迫力が倍増した。魔王は、周囲の魔力を集めて漆黒の鎧を全身に身に纏い剣を構えた。対して俺は、鎧ではなく動きやすい服装で両手に刀を持ち空中に複製して属性付与した刀達があるだけだった。防御面で言ったらこっちの負けだが、手数と攻撃力はこっちの方が上である。俺はさらに神経を遂げすまし、指先足先に伝わるまで集中する。
おそらく、この決戦は1時間も経たずに決着する。もしかするとこの一撃で終わるかもしれない。
「「行くぞ!!」」
声が重なり、同時に攻撃を始めた。魔王は漆黒の鎧をしていることから、防御を捨てて容赦のない攻撃を次々としてくる。俺は攻撃は最大の防御として、空中の複製された刀達を何本も連射しその度に複製仕直しを繰り返しながら、両手に掴んでいる刀を振るう。
「【炎球】••••豪華に燃え盛れ!【豪炎】」
「【水球】•••【絶対零度】」
魔王が放ってくる魔王は全て同じ魔法で、対抗する。魔王は、それでも魔法を放つ事を諦めず詠唱を唱えながら剣を振るう。
俺は【予知】【感知Ⅲ】や身体強化の【限界突破】【古代魔法(力)】冒険で手に入れた力を全て使い、攻撃してくる魔王に対抗する。
この戦いが続きしばらくすると、互いの体力がなくなっていると感じる取ると互いに最後の一撃を準備する。
「一振りで終わらす!」
「数で勝つ!」
魔王は、漆黒の鎧を解除して剣にその力を付与させる。俺は、空中にある複製された刀達を一つに纏める為【合成魔法】を使う。凄いことに、刀に付与されていた【擬似属性付与】も【合成魔法】で合成されて刀の刀身やオーラが七色に輝いていた。
「「はあああああああああ!!!!!」」
魔王は上から下に剣を振り下ろし、俺は両手に持っている刀でそれを防ぎ【複製Ⅱ】と【合成魔法】を使った七色に輝く刀を斜めに斬る。
「お見事」
魔王撃破に成功した。倒れた魔王を見ると、剣に付与された漆黒の力は魔王の体に再びくっつき、俺が斬った傷を癒していった。
第二形態でもくるのかと、警戒していたが次の一言でその警戒は無意味になる。
「我の負けだな勇者よ。もう、戦う意志はないからその武器を下ろしてくれ」
「分かった」
言葉が少し弱まっていて俺が与えたダメージが大きかったのか仰向けになったまま動かなかったので、俺はその言葉を信用して警戒を解いた。
「勇者よ。我に聞きたい事が山程あるはずだ。ゆっくり話をしよう。そのためには、魔力を回復させるから少し待ってくれ」
「分かった」
魔王の近くに座って、回復するのを待っているとミラ達が息を荒くして俺の所に来た。
「エイチ!」
「ミラ!それにみんなも来てくれたか」
「怪我はないようですね」
みんなが来たくれた事で話が弾む。その後ろにはみんなが手当てしたであろう四天王がいた。
「お主達も来たか」
「はい、魔王様」
「気を病んでおるな。気にするな。たまたま相手が悪かっただけだ」
「「「「はっ」」」」
それ以上、四天王と魔王は何も言わなかった。ただ、回復する時間を待った。




