44話 四天王 前編
「やられた」
俺の第一声はそれだった。四天王の罠にまんまとハマってしまったのだ。
「侵入者は、殺せとの命令だ!容赦はしせねぇ!」
そう言ってくるのは、四天王の1人『鋼』のラーバンだ。四天王の中では、一番硬いと噂されている魔族だ。二つ名は『鋼鉄のラーバン』と言われている。
「殺せとの命令ですが、先に侵入した訳を聴かないとダメですからね」
俺達を殺そうと張り切っているラーバンを止めたのは、四天王の1人『魔』のノルフォールだ。四天王で唯一の女で、腕も一流だと噂されている。二つ名は『幻影のノルフォール』と言われている。
「侵入者!今降参するなら痛い思いせずに済みます。大人しく降参して下さい」
「断る!」
「そうですか。残念です。ラーバン言質はとりました、やっちゃって下さい」
「おう任せておけ!」
「来るぞ!」
ラーバンは、ゼオスの【獣化】みたいな感じで体の皮膚を変化させて突っ込んで来る。二つ名が『鋼鉄』なので、体の皮膚が硬くなり拳の所も硬くなっていくのが見てわかる。ゼオスの時とは違い、一度でも喰らったら骨が数本折れるのは確実だろう。
俺達は、突っ込んで来るラーバンを避け戦闘体制に入る。
「ほう、俺の事を知ってみたいだな」
「なら、これはどうですか!」
今度はノルフォールの魔法の球が飛んでくる。二つ名は『幻影』。無数の魔法の球が飛んでくる。その中に偽の魔法と本物の魔法を見分けて避ける必要があるが、俺は避けずメガネスキルを使う。
「【阻害無効】」
幻影で作られた魔法の球は全て消えて、無数では無くなった魔法の球を避けた。
「やりますね」
「あぶねーな」
結構しんどいかも知れないな、この戦い。俺は思考を動かして、この戦いに勝利するための道筋を考える。
「セフィちゃんとミラさんは私と一緒に『鋼』をエリーちゃんとエイチさんは『魔』を相手にして戦って下さい」
カリンが先の技で相性抜群の相手になるように指示を飛ばし、パーティーを分けさせる。
「「「「了解 (うん)」」」」
「分けても無駄ですよ。わたくし達には勝てませんから!」
ノルフォールは言い放ち、幻影を駆使して魔法の球と魔法の矢を放たれる。
「効かないよ【阻害無効】」
「拡散して消えなさい」
俺は【阻害無効】で幻影を見破り本物だけを出現させて、エリーは弓矢に風魔法を纏わせて向かってくる魔法の球と魔法の矢を全て相殺する。
「くっ!」
「そっちの攻撃は終わったか?今度俺たちのターンだ」
俺は【限界突破】で身体を強化して、足を踏むこみノルフォールの間合いに入る。エリーは俺が間合いに入り込む前に、属性の矢を放ち俺のことが気が付かないようにしてくれた。
「なっ!」
「終わりだ」
刀をノルフォールに向けて斬り込んだ瞬間、ノルフォールが霧の様に消えた。幻影だ。
「そう簡単にやれては魔王様に悪いですからね!」
俺の後ろから声が聞こえた。俺が後ろに向くと同時に至近距離で魔法を放たれてしまい、ダメージを負う。
「ぐっ!」
魔法を間近で喰らったら事でかなり吹っ飛んでしまう。刀を使って、受け身を取って立ち上がると同時に【自己再生】で受けたダメージの回復してる感覚に陥った。
「エイチさん!」
エリーが、俺の名前を呼んだ後弓を上に構えた。エリーの魔力が、弓に凝縮している。
「何をする気?そこには何もないわよ!」
ノルフォールの魔法がエリーに向かって放たれる。だが、エリーはその魔法には眼を向けず上に構えている弓の方を向いていた。弓矢が出現すると、エリーの魔力が弓矢の先端に集まり光出す。
「矢の雨を喰らいなさい!」
エリーの魔力が凝縮された弓矢を上に放ち、天井に刺さると巨大な魔法陣を展開した。その魔法から雨に等しい矢がノルフォールの上から降ってくる。
「【雨の矢】」
「何ですか!?この量は!?」
ノルフォールは【雨の矢】を避けれないと察し、咄嗟に防御魔法を使う。
「ナイスアシスト!防御魔法を壊す!!」
【自己再生】で回復出来た俺は、エリーの【雨の矢】を【予知】で避けながら、防御魔法を張っているノルフォールに向かう。防御魔法を壊す為には、とある部分に魔力をぶつけ合う必要がある。俺は火力こそ出るが線密な魔力操作は得意ではないので、防御魔法を破る事は出来なくはないが出来ない。なので、エリーが防御魔法の魔力が集まっている所に向かって矢を放つ。魔力が一番集まっている所に矢が当たると、防御魔法が崩れ始める。
「!?何で!!このままでは!!」
「終わりだ。『魔』のノルフォール」
ノルフォールが魔法を発動しようとする前に間合いに入り、刀の一太刀を入れる。今度はしっかりと一太刀が入った感覚があった。
「ガハッ!」
ノルフォールは、一太刀を入れた事で気絶しその場で倒れる。
「エイチさん!」
「エリー助かった。ありがとうな」
「いえ、仲間ですから」
戦闘が終わった俺とエリーは、ミラ達の方を見た。まだ戦闘中みたいだ。だが、もうすぐ終わりそうな感じがした。
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ミラ視点
時は少し戻り、カリンちゃんの声でパーティーを分けた後。私達は、『鋼』のラーバンと戦闘中である。
「分けた所で、この頑丈な身体には傷一つつかないぞ!」
「それはどうでしょうね!セフィちゃん!」
「【古代魔法(技)】【九尾化】【重力魔法】」
セフィちゃんは、次々とスキルを唱えて『鋼』を倒そうと準備を整え【重力魔法】で『鋼』に重力を当てて身動きできない様にする。
「ぐっ!!」
「喰らえ!」
【九尾化】で9本の尻尾を出しているセフィちゃんは、尻尾の先の所に魔力を集めて魔力球を作りラーバンに当てる。
「その程度の魔法は効かねえーよ!嬢ちゃん!」
ラーバンは【重力魔法】をかけられているのにも限らず、腕を前に交差されて防いでいた。
「流石は『鋼鉄』と言われるだけありますね。硬すぎです」
「それで終いか?」
「そんなわけがないでしょう!【身体強化】」
「ありがとうカリンお姉ちゃん。行くよ!」
セフィちゃんは、カリンの【身体強化】を受け取りラーバンに攻めていく。セフィちゃんの母親に教わった技とゼオスが使っていた技を交互に使いこなしダメージを与えていった。けど、ラーバンからしたら力がまだ足りないのか。苦しそうには見えなかった。むしろ、余裕そうに耐えていた。途中から【重力魔法】が解けており、身動きが出来るようなったラーバンはセフィの攻撃を捌き始めていた。
「まだまだ足りないぞ!」
「力が足りない!!」
「【並列思考】【古代魔法(魔)】魔法威力上昇•••風よ、渦の様に巻き上げ、前に進め【竜巻】••••今です!ミラさん!!!」
「分かったわ!!」
カリンの魔法が放れたタイミングで、ずっと【気配遮断】で姿を消していた私は【気配遮断】を解除し、ラーバンの背中に武器を突き付ける。カリンはずっとこの機会を作ろうと戦闘中も思考を張り巡らせて確実なダメージを負わせるための準備をしていた。
「なんだと!?」
「そんな硬いなら、これなら喰らうんじゃないの!!」
私のサブマシンガンの銃口をラーバンの背中に付けたまま連射する。ついでに、雷属性の魔法をラーバンの足元に配置してラーバンを痺れさせる。
ババババババババババ!!!!!!
ビリビリビリビリビリ!!!!!!
「ああああああああ!!!!!!」
ラーバンは完全に不意をつかれていまい、身に纏っていた鋼鉄を強制解除されてしまう。解除された体は、雷の魔法とサブマシンの連射によって致命傷を与えていた。相当なダメージを喰らってしまったラーバンはその場で倒れる。
「勝ったのかな?」
私は倒れたラーバンの顔を見た。電撃を全身に浴びさせ、腹部の所にサブマシンの連射をしているので腹部は貫通箇所が見えておりしっかり気絶していた。
「勝ちましたね」
「終わり?」
カリンとセフィちゃんも倒れたラーバンの近づいていた。私は少し違和感を感じていた。魔王の側近である四天王がこんなに弱い訳がないと。
その違和感について考えていると、気絶しているラーバンの手がピクッと動いた。そして、ラーバンから先程は一切感じなかった魔力が集まる感じが伝わって来た。
「カリン!!セフィちゃん!!そこから離れて!!!」
「そうはさせねえーよ」
「キャァァー」
ラーバンはカリンを捕まえて、その場で立ち上がる。カリンは掴まれてしまい身動きが出来なくなってしまった。
「今ので終わりだと思うなよ?嬢ちゃん達!」
今のラーバンは、先程までの姿とは全く違い全身が鋼鉄と化していた。ある一部分を除いて。
「セフィちゃん、まだ行ける?」
「後数回程度なら」
「じゃあ私が合図するまで、【九尾化】の魔力弾を温めておいて」
「うん」
セフィは、【九尾化】で残っている魔力を尻尾にかき集め始める。下準備は出来た後は、捕まったカリンを助ければいいだけ。
「嬢ちゃん何が出来るんだ?こいつがどうなってもいいのか?」
「ぐっ!!」
ラーバンの前に捕まったカリンを突き出されて、カリンの首に向かって指を突きつけている。
「動くなとでも言うつもり?」
馬鹿馬鹿しいと思い、私は頬も上げる。
「ああ、動くな!動けばこいつを殺す」
「分かった••••って聞く訳ないでしょう!」
【精霊魔法】を通して、光魔法を行使する。私の上に光の球を打ち上げ、強い光を発光させる。これは目眩しだ。
「目が!!!目が!!!」
ラーバンは、強い光を受けた事で目が眩み捕まえていたカリンを離した。カリンも目眩しの影響を少なからず受けており目を開けられていない。私はカリンをキャッチして、セフィちゃんに仕上げを頼む。
「今よ!セフィちゃん!!『鋼』の腹部目掛けて全部当てて!!」
「うん!」
セフィちゃんの魔力弾は発射され、ラーバンの腹部に直撃する。ラーバンが再び動き出した時、ダメージの損傷が大きかった腹部は鋼鉄状態にはなっていなかったのだ。そして、ラーバンはそれに気がついておらずにいた。頭が単純過ぎるのだ。
「ぐああ!!」
ラーバンは今度こそ完全な気絶をした。今ここで息の根を止めてもいいのかもしれないが、私はダメージの損傷が激しい腹部に回復ポーションをかける。魔王側の戦力は削ったほうがいいのかもれないが、それだと邪神の思う壺だ。
「これでよし」
「終わったか?」
違う方向から、エイチとエリーが歩いてきた。先に終わっていたみたいだ。
終わったなら、助けに来ても良かったのに!ブー!
「終わったよ。さあ!地下室に向かいましょう!!」
私が声を上げて、地下室に行こうとした瞬間。違う所から声が聞こえてきた。
「魔王の側近である四天王の2人がたかが侵入者如きに負けるとは情けないですね。サンジェスト?」
「確かに情けないな。チャールド」
2人の面影と名前が出てきた事で、次来たのが誰が分かった。
四天王の1人『魔』のチャールド
四天王の1人『力』のサンジェスト
「さあ!ここ先は私たちがお相手になりましょう!」




