最終話 永遠の誓い
部屋の扉をノックする音が響く。
「フィー?用意は出来た?入ってもいいかい?」
その声はレオンの声でミアが扉を開けると目を細めて嬉しそうな表情でレオンは部屋へ入ってきた。
「僕の天使はなんて綺麗なんだろうね。」
「兄様…任命式は終わったの?」
「ああ。無事終わって今日からジークが王太子となったよ。
さぁ、次はフィーの出番だよ。父上からフィーを僕が大ホールの入り口へ連れて来いと言われて、僕の天使をエスコートする役目を頂いたのだよ。」
そう言って手を差し出すレオンの姿にフィーリアはふふと笑みを溢した。
「以前もこんな事があったわよね?」
「ん?以前?」
「デビューの日、ジークが待っているエントランスまで兄様がエスコートしてくれたわ。」
「ああ。ジークにフィーのデビューのエスコートを取られてしまったからね。
だけど今日は、とうとうフィーを本当に連れて行かれてしまうのか…」
レオンはフィーリアに目差しを向けると真剣な口調で問い掛けてきた。
「フィー…本当に後悔はないかい?」
「……兄様が私に以前聞いてくれた時、ジークの事で頭が一杯で自分の置かれている立場がよくわかっていなかったの…
ジークがこの重責に悩んでいる姿をみて私も改めて考えさせられた…
世間知らずな私に何が出来るのかわからない…
だけどね…民の事を導くために心血を注ぐジークの事を隣で支えて一緒に向き合っていきたいと思ったの…」
「そうか…うん…フィーは小さい頃からジークの傍で助けて上げるって言っていたし、それを実現させるのだね…
フィーが自分でこれからの立場に納得して受け入れているのなら、僕はもう何も言うことはないよ。そして、フィーの傍には結婚しても父上や母上や僕が居る事は変りないから何かがあれば助けを求めるのだよ。そして、何よりフィーの隣にはジークがいるのだしね。」
「兄様…うん…」
「フィー…幸せになるんだよ…」
「ありがとう…」
レオンにエスコートされ大ホール前へ行くと父であるジョゼフと母のカトリーヌが待っていた。
この入り口からジョゼフにエスコートされ中にいるジークフリードのもとまで行くのだ。
カトリーヌは優しい笑みでフィーリアのベールを下ろす。
「フィーリア…幸せにね…私達はいつまでも貴女の味方よ…」
「母様…はい…ありがとうございます…」
先にカトリーヌとレオンが大ホールに入り、ジョゼフと二人きりになったフィーリアは緊張を解そうと小さく息を吐いた。
「フィーリア…覚悟は決まったのか…?」
「先程兄様からも聞かれたけれど、まだまだ未熟だけれど私の力で出来る事は最後まで諦めずに向き合っていこうと決めました。」
「そうか…お前ならきっと国民も信頼を寄せる国母になれると私は信じている。
後は、王太子になられたジークフリード殿下と力を合わせたら良い。」
「父様…ありがとうございます…」
大ホールの扉が開き、ジョゼフと共に入場したフィーリアの美しさに両脇にいた貴族達から感嘆の声が幾つも上がった。
フィーリアが前を見ると先には婚礼用の真っ白な王族の正装をしているジークフリードの姿に、フィーリアの心臓はまたドキドキと大きな音をたてた。
ジョゼフの腕からジークフリードへフィーリアの手を渡される時、ジークフリードはジョゼフへ呟く。
「生涯を掛けて守ります…」
「頼みましたぞ…殿下…」
その言葉にフィーリアの堪えていた涙が一粒零れ落ちていった。
自分は周囲の人達になんて愛されていたのだろうかと再認識した。
そして、目の前にいるジークフリードはずっと幼い頃から自分の事を慈しみ大切にしてくれた。
自分もその気持ちを返せるだろうかと思い、そしてそれ以上の気持ちを送ろうとフィーリアは思った。
国王陛下の座っている玉座の前まで進み一段高い場所へ上がると深く膝を折り二人とも正式な礼をする。
国王陛下であるウォルターが立ち上がると。二人の後ろに控えている貴族達を見届け人として言葉を発する。
「ジークフリード・レトリアル、フィーリア・ウェストン。
両者は生涯を掛けて共に手を取り合い国を栄えさせお互いを支え合う事を、ここにいる者達へ誓えるか?」
「私、ジークフリード・レトリアルはフィーリア・ウェストンを妻として妃として求めこの国の為共に歩んでいく事を誓います。」
「私フィーリア・ウェストンはジークフリード・レトリアルの妻として、妃としてこの国の為に支え共に歩んでいく事を誓います。」
「ここにいる者達を見届け人とし、二人の婚姻を認める。力の限りこの国を栄えさせる事を願う。
そして、今日からフィーリア・ウェストンをフィーリア・レトリアルと改め王太子妃として任命する。」
フィーリアの頭に王太子妃に贈られる代々伝わるティアラを国王のウォルターから乗せられ、そしてジークフリードと向き合う。お互いの瞳の色の石を乗せた指輪が国王から渡される。
ジークフリードからフィーリアへ贈られるのは、琥珀とルビーの二つの石が飾られた指輪であり、フィーリアからはサファイアの石を飾った指輪をそれぞれの指へはめた。
そしてフィーリアのベールをジークフリードはそっと上げる。
涙で潤んでいるフィーリアの瞳を見つめ柔らかい笑みを見せたジークフリードはフィーリアの唇へ軽く口付けた。
「ここに、レトリアル王国王太子ジークフリード・レトリアルと王太子妃フィーリア・レトリアルの婚姻が成立した事を宣誓する。」
その国王の宣誓に割れんばかりの大きな拍手が大ホールに鳴り響いた。
国民達へ向けて婚姻後王宮のバルコニーで姿を見せる為に大ホールから場所を移したジークフリードとフィーリアは時間までバルコニーのある部屋で一息をついていた。
「ジーク…立太子おめでとう。任命式緊張した?」
「ああ…空気感が全く違うし、これからの責任の重さを考えるとな。
フィーも婚姻式緊張していたな。」
「うん…漸くジークとの婚姻式と思ったけど…嬉しさもあったけれど…それよりも私も責任を大きく感じてしまって…
でも…それでもやっぱり嬉しかった。」
ジークフリードはフィーリアのその言葉に笑みを深める。
「俺もだよ…」
隣に座るフィーリアを引き寄せたジークフリードはフィーリアを抱き締める。
「ジーク…?」
「フィー…俺の隣で歩んでくれる事を望んでくれてありがとう…
愛している…」
「私もよ…私を選んでくれてありがとう…」
フィーリアはジークフリードを見つめると涙を溢れさせながらも笑顔を向けて言葉を紡ぐ。
「ジーク…ずっと…愛しているわ…」
二人の距離が近付き唇が重なる。
ジークフリードとの口付けを交わしながらフィーリアの頭にぼんやりと浮かんだのは幼い頃ジークフリードから何度も読んで貰ったお気に入りの絵本の事であった。王子様とお姫様が物語の最後にハッピーエンドで結ばれるお話。それはまるで今の自分とジークフリードの事のように感じた。
そして…ジークフリードも自分の腕の中にいるこの大切な存在に対して心の中で強く誓う。
───この先もなにか壁にぶつかったのならこの日までの事を思い返していこうと思う…
この…愛は永遠の約束であるから……
君の愛が得られるのであれば、何時までも君へ愛を乞うだろう…
俺の事をいつも救い、存在を認めてくれた天使…
俺の大切な唯一無二の存在である愛しい天使の君へ……
生涯を掛けて愛し守ると誓う…
だから君も…
俺の事を生涯愛して欲しいと願う……
fin…
ここまで読んで頂きありがとうございます。
そして、沢山のブックマーク、評価を頂き感謝です。
誤字脱字報告もありがとうございます!
ジークフリードとフィーリアのハッピーエンドで最終話となりました。作者は基本ハッピーエンドが大好きですので、このお話のエンディングは婚姻式でと決めて作っておりました。
一先ず今回のお話で本編は完結とさせて頂きますが、後日談を少し書けたらいいなと思いますのでまだ連載中とさせて頂きます。
後日談を載せ終わりましたら完結扱いにしようかと思います…
初めての『小説家になろう』様での投稿にもかかわらず、足を運んでくださる方が沢山おり本当に感激しております。
まさか、初投稿作品がランキングに入るとも思っていなかったので…震えてしまいました。
まだまだ拙い文章で文章作りの壁の高さに悩みましたが、もっともっと精進していきたいと思います。やっぱりお話を作る事がとても楽しいのです。そして、その自分で作ったお話にこんなに反応が返ってきた事に嬉しくて感動でした。
今後もお話を綴っていきたいと思いますので、この『黒き獅子は天使に愛を乞う』の後日談を含め新しいお話も出来上がりましたら活動報告にてお知らせ致しますね。もし、宜しければまた覗いて頂けたら嬉しいです!
先ずは後日談ですね!
他にも何かこの『黒獅子』のお話の中で読んでみたいな~と、思ったエピソードがあれば教えてください。全ては難しいかもしれませんが、私が作れる範囲のお話に出来そうなエピソードであれば参考にさせて頂きたいと思っています。
本当にこのお話を読んで頂きまた応援して頂きありがとうございました!
一ノ瀬 葵




