第9話:敵対デバッガー『クロノス』の強襲
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飛鳥創(So Asuka)と申します。
普段はITやAI関連の本なども書いているのですが、今回は「もしも現実世界がコードで動いていたら?」というサイバーSF小説に挑戦してみました。
どうぞ気軽に、肩の力を抜いて楽しんでいってください!
僕の放ったクロック制御パッチが、橋の崩壊を一時的に食い止めた。
「よし……! 摩耗計算のループ速度が落ちたぞ!」
だが、その直後だった。
——ドドドドドォン!!!
空から漆黒の雷が落ち、僕のコンパイル光が一瞬で打ち砕かれた。
「くあぁぁぁっ!?」
強いフィードバックショックが脳を直撃し、僕の身体が吹き飛ばされる。
「神崎!」冴先輩が僕を抱きとめた。
壊れかけた橋の中央、激しい紫のノイズの渦の中から、一人の男が静かに歩み出てきた。
銀髪に、スマートな高級スーツを着た男。
その瞳は、冷徹なクロック計算の光を宿していた。
「素晴らしい観察眼だな、日本のデバッガー・神崎蓮」
男の声は、まるで正確に刻むメトロノームのように静かで重かった。
「初めまして。私は『カルテル』の最高技術責任者(CTO)——クロノス(Chronos)。時間の計算量(Time Complexity)を司る者だ」
「クロノス……! お前がこの街の時間を狂わせている犯人か!」
クロノスは冷たく微笑むと、手元の銀色の端末を優雅に操作した。
「狂わせているのではない。最適化しているのだよ。人間という非効率な生物にダラダラと時間を与えるのはリソースの無駄だ。高速でオーバークロックし、最高の生産性を搾り取ってから破棄(Dispose)する。それが我が組織の結論だ」
「人間は……機械のCPUじゃない!!」僕は叫んだ。
「論より証拠だ」
クロノスが指を鳴らした瞬間、僕の視界全体が禍々しい赤色の計算量グラフで覆い尽くされた。
┌───────────────────────────────────
│ 【SYSTEM LOG / CODE】
│ // クロノスの時間攻撃:O(N^N) 指数関数的オーバークロック
│ while (target.IsAlive) {
│ target.ClockSpeed *= (long)Math.Pow(N, N); // 爆発的加速
│ target.BurnOut();
│ }
└───────────────────────────────────
『気をつけて蓮!!』アリスが悲鳴のような警告を上げる。『クロノスのコードは O(N^N) ——指数関数的に計算量を増幅させる悪魔のアルゴリズムよ! 普通のパッチじゃ、一瞬で計算量の波に飲み込まれるわ!』
「死ね、神崎蓮。時間の波の藻屑となれ」
クロノスが手を振り下ろすと、津波のような赤黒い時間の波が、僕と冴先輩に向かって襲いかかってきた!
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