第8話:ゴールデンゲートブリッジのコード崩壊
お越しいただきありがとうございます!
飛鳥創(So Asuka)と申します。
普段はITやAI関連の本なども書いているのですが、今回は「もしも現実世界がコードで動いていたら?」というサイバーSF小説に挑戦してみました。
どうぞ気軽に、肩の力を抜いて楽しんでいってください!
空港に降り注ぐ紫色のエラー針——『オーバークロック・スパイク』。
「冴先輩!」
「任せときな!」
冴先輩が産業用タブレットを振り抜くと、僕たちの頭上に強固な暗号化パケットのシールドが展開された。
┌───────────────────────────────────
│ 【SYSTEM LOG / CODE】
│ $ iptables -A INPUT -p tcp --dport 8080 -j DROP
│ $ sysctl -w net.ipv4.tcp_syncookies=1
└───────────────────────────────────
——ドバババババッ!
敵の高速スパイクがシールドに激突し、火花となって消え去る。
「神崎! 敵の本体はここじゃねえ。ゴールデンゲートブリッジのメイン構造ノードだ!」
僕たちは空港を飛び出し、現地アーキテクツが用意した自動運転の黒いEV車に飛び乗った。
ハイウェイを爆走し、サンフランシスコの象徴である赤く美しい巨大橋——ゴールデンゲートブリッジへと向かう。
だが、橋に近づくにつれて、信じられない光景が目に入った。
橋の主塔が、まるでデジタル砂のように赤く崩れ落ち始めていたのだ。
橋の上に閉じ込められた無数の車。人々が車から逃げ出し、悲鳴を上げている。
だが、その走るスピードすら、オーバークロックによって常人の10倍の速さで体力を削られ、次々と倒れ込んでいく。
「酷い……! 人間の生命維持クロックを限界まで引き上げて、自滅させようとしてるんだ!」
『蓮、脳内コンパイルを準備しなさい!』
脳内で、アリスが急ピッチで敵の構造ログを解析する。
『敵はゴールデンゲートブリッジの構造関数 Bridge_Structure.Update() のタイムステップを小刻みにループさせて、1秒間に1万年分の摩耗計算を強制実行しているわ!』
「1秒間に1万年……!? だから金属が一瞬で老朽化して崩れてるのか!」
僕は車から身を乗り出し、暴風とノイズが吹き荒れる橋へ向かって手を掲げた。
(止めさせる……! 僕の脳内コンパイルで、世界のクロック数を正常に戻すんだ!!)
「脳内コンパイル……クロック制御パッチ(Clock Throttle Patch)……起動っ!!!」
——シュインッ!
僕の脳内から解き放たれた青い光のプログラムが、崩壊する橋の主塔へと吸い込まれていく!
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