第14話:消失する歴史遺産と空間メモリリーク
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飛鳥創(So Asuka)と申します。
普段はITやAI関連の本なども書いているのですが、今回は「もしも現実世界がコードで動いていたら?」というサイバーSF小説に挑戦してみました。
どうぞ気軽に、肩の力を抜いて楽しんでいってください!
霧の中から姿を現したのは、全身を漆黒のデータコードで覆った男——『カルテル』ヨーロッパ支部長、ヌル(NULL)。
「初めまして、神崎蓮。そして伝説のインフラ屋、橘冴」
ヌルが細い指を掲げると、その指先から黒い無の波動が広がった。
「この街のあらゆる歴史遺産……ビッグベン、タワーブリッジ、そして人間の思い出。全ては使い古された非効率なオブジェクトだ。私が全て解放《Free》し、ガベージコレクション《Garbage Collection》へ送り込んであげよう」
——ゴゴゴゴゴォォォォン!!
ヌルの言葉とともに、ロンドンの象徴であるビッグベン(大時計台)の半分が、まるでデジタル砂のようにサラサラと崩れ、空間から消滅し始めた!
「ビッグベンが……消えていく!?」
「神崎! 呆けてる暇はねえぞ!」
冴先輩が即座に産業用タブレットを起動し、ロンドン全域のインフラ回線へダイレクトアクセスを試みる。
┌───────────────────────────────────
│ $ sysctl -w vm.max_map_count=268435456
│ $ iptables -A FORWARD -p tcp --dport 443 -j ACCEPT
│ [STATUS] Emergency Memory Buffer Allocated: 1024TB
└───────────────────────────────────
「あたしの予備メモリ帯域を全投入した! 10分間はビッグベンの空間参照をメモリ上に保持《Cache》できる! だが、これが限界だ!」
「冴先輩……ありがとうございます!」
『蓮! ヌルはロンドン地下の歴史的データノードを乗っ取って、空間のメモリリークを強制発生させているわ! 根本原因を特定しなさい!』
アリスのアドバイスを受け、僕は観察眼を極限まで研ぎ澄ませた。
視界に映る数万行のエラーログ。その中で、たった一行の歪んだメモリ割り当て関数が浮かび上がる。
┌───────────────────────────────────
│ void LeakSpatialMemory(SpatialObject target) {
│ target.Pointer = null; // 意図的な参照切断
│ GC.SuppressFinalize(target);
│ // リソース解放漏れによる崩壊
│ }
└───────────────────────────────────
「見えた……! ヌルの仕掛けた悪意あるメモリリーク関数だ!」
僕は足元のアスファルトを強く蹴った。
「行くぞヌル! お前の作った無のコードを、僕のリファクタリングで塗り潰してやる!」
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