第12話:世界の深層(第2巻クライマックス)
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飛鳥創(So Asuka)と申します。
普段はITやAI関連の本なども書いているのですが、今回は「もしも現実世界がコードで動いていたら?」というサイバーSF小説に挑戦してみました。
どうぞ気軽に、肩の力を抜いて楽しんでいってください!
「0.0000001秒……! どんなに高速なパッチでも、間に合わない……!」
量子ノードから放たれた青白い解体光線が、僕たちの足元から空間を消去し始めていた。
だが、僕は諦めなかった。
(諦めてまるか……! 僕は東京で佐藤さんを救った! 葵を取り戻した! 冴先輩と一緒に時間を守ってきたんだ!!)
僕の脳内で、熱い魂が爆発する。
(0.0000001秒が限界なら……僕がその瞬間のさらに内側へ飛び込めばいい!!)
『蓮!? 何をする気!?』アリスが叫ぶ。
「アリス! 僕の脳内意識のクロックを、量子重ね合わせ状態に同調(Sync)させてくれ!」
『そんなことをしたら、あなたの脳が量子の藻屑になって戻れなくなるかもしれないのよ!?』
「僕を信じろ、アリス!! 僕たちは最高のパートナーだろ!!」
アリスが一瞬目を見開き、それから力強く頷いた。
『……了解よ、神崎蓮! あなたの脳神経と量子ノードを全同期(Full Sync)させるわ! 飛びちなさい、世界の最深部へ!!』
——ギィィィィィンッ!!!!
僕の意識が、時間の概念すら存在しない『量子のゼロ地点《Zero Point》』へとダイブした。
そこは、光も音もなく、純粋な『論理(Logic)』だけが存在する美しく静かな世界だった。
目の前には、地球全域をフォーマットしようとする青い量子コード。
僕は、微笑んだ。
(見えたよ……量子コードの、たった一つの欠陥(Glitch)が)
僕は、脳内のすべてのエネルギーを注ぎ込み、最後のパッチを刻みつけた。
┌───────────────────────────────────
│ 【SYSTEM LOG / CODE】
│ // 蓮×アリス:量子無効化パッチ (Quantum Re-Boot)
│ public class QuantumReBoot : IQuantumPatch {
│ public void ResolveSuperposition() {
│ // 重ね合わせ状態を『希望』の観測値へ確定
│ QuantumObserver.Observe(State.EternalHope);
│ }
│ }
└───────────────────────────────────
「世界のバグを……リブート(RE-BOOT)しろぉぉぉぉっ!!!!」
——ズドドドドドドドドォォォォン!!!!!!!!
量子のゼロ地点から解き放たれた希望の光が、青いフォーマット光線を完全に塗りつぶし、逆流していった!
「な……なにぃぃぃっ!? 量子の観測値を固定しただと……!? 馬鹿な、私の量子フォーマットがぁぁぁっ!!」
敵の叫びとともに、巨大な量子ノードが黄金の光となって砕け散った。
───────────────
大激闘が終わり、朝日がシリコンバレーの青空を包み込んだ。
「はぁ……はぁ……はぁ……っ!」
無事に戻ってきた僕と冴先輩。
地上に出ると、風が心地よく吹き抜けていた。
『やったわね、蓮! 量子ノードのバグを完全にデバッグしたわ!』
アリスが脳内で飛び跳ねて喜ぶ。
「ああ……僕たちの勝ちだ、アリス!」
冴先輩が笑いながら僕の背中をバシッと叩いた。
「へっ、大口叩くだけのことはあるじゃねえか、神崎。全米を救っちまったな」
だが、僕たちの戦いはこれで終わりではなかった。
空を見上げると、さらに遠い世界の彼方——ヨーロッパ、そしてアジアの空の向こうに、かすかなバグの予兆を感じ取ることができた。
僕の手の中で、黒い端末が静かに未来を指し示している。
「行こう、アリス、冴先輩」
僕は晴れやかな笑顔で、未来への一歩を踏み出した。
「世界中にどんなバグが潜んでいようと、僕たちのコードで、全部エレガントに書き換えて見せるさ!」
(第2巻 完)
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