焚書と旅立ち
I start adventure for now - Souji Yamato
若きクリスは、SF小説を、読み終えました。
やがて、クリスは、紙を取り出し、いつものように、自身の夢について、走り書きを始めました。
けれども、ふと、自分でも、SF小説が書けるか、試してみます。10行ほど書いてみると‥‥SF小説の初めの部分が、書けてしまいました。
そこで、クリスは、50行‥‥100行‥‥と、書き連ねて行きます。
しばらくして、クリスが、自分の文章を読み返してみると、それは、まだまだ、不完全ながらも、意外と面白そうなSF小説でした。
その後も、クリスは、書き続けて‥‥短編のSF小説が完成します。
こうして、クリスは、自身の才能に、自信を持ち始めました。
翌朝、クリスは、父親と母親にも、自作のSF小説を読ませようとします。
ところが、父親は、それを読みもせずに言います。
「そんなに、農業が嫌なのか?」
その言葉には、かなりの怒気が込められていました。
母親が、さっと、SF小説を手にして、かまどで燃やしながら言います。
「あんな、くだらない物は、消えたよ。
これで、あんたも、機嫌を直しな!」
「そうだな」
父親は、怒りを収めました。
しかし、今度は、クリスが怒り始めます。
「たとえ燃やされたって、また書いてやる!」
「出ていけっ!」
父親は、瞬時に激怒して、クリスを家から叩き出しました。
ですが、クリスの方も、怒りが収まらない様子です。
数分後、母親が、ドアから顔を出しました。
そして、クリスに、幾らかの現金を渡します。
「クリス、あんたは、世間の厳しさを、知った方が良い!
餞別をやるから、ひと月ほど、戻ってくるんじゃないよ」
「な‥‥」
クリスは、完全に、家から追い出されてしまいました。
ただ、その手には、それなりの金額が、握られていました。
すぐさま、クリスは、意地を張ったまま、駅馬車の発着場に向かいます。
丁度、そこには、隣りの街までの馬車がありました。
早速、クリスは、その馬車に乗り込みました。
すると、知り合いの商人が、話し掛けて来ます。
「クリス、お使いか何かか?」
「この村を出ることにした」
「何があったか知らないが‥‥子供が、あまり粋がるもんじゃないぞ!」
「ちがう」
「だったら、なんだ?」
「ひと月ほど、世間の厳しさを、知れだってさ‥‥」
「ははは、それは、良い機会だな!
お前は、大物になれるよ」
「‥‥」
程無くして、馬車が動き始めました。
隣りの街までは、半日程度の道のりです。
こうして、クリスは、15才にして、村を後にしました。
I start adventure for now - Souji Yamato




