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午後の昼下がり森の中を進む。襲ってくる歩く枯れ木や歩く枯れ草を倒し、ドロップ品を<アイテムボックス>に入れ、森の中を無造作に仕掛けられている<串刺しの罠>を解除しつつ歩みを止めない。
森の入口から歩いて1日程度の距離を1時間程度で踏破しダンジョンに到着した。村から一番近い場所にあり、放っておくと村の護衛依頼に支障をきたす恐れがあるのでこうして様子を見に来た次第。
ダンジョンに入る前に、<水中呼吸>と<浮遊>のスキルを発動する。いきなり水中に投げ出された場合に備えて<水中呼吸>を。空中に投げ出された場合に備えて<浮遊>のスキルを発動しておく。ダンジョンに入った途端これらが解除される場合もあるが、それは仕方がない。
<障壁結界>と<魔術の鎧>も問題ないことを確認し準備を整えダンジョンに入る。
目の前の景色は草原だった。入った途端ダンジョン内の負荷がかかる。1秒につき1生命と1魂力が減っていく。それらを<命の源>と<魂の源>のスキルで減ったそばから瞬時に生命と魂力回復し続ける。ダンジョンの負荷を減らす方法がないなら減ったそばから回復すれば問題はない。
ダンジョンにはこの負荷があるので、なんらかの回復手段を持たなければダンジョンに長くとどまることはできない。ダンジョンに潜って一攫千金を求めるならなおさら的確にリソース管理を行うかそれら踏み倒せるほどの圧倒的な強者でもなければ到底常勝や生還は望めない。
遠目に森林がいくつか見える。さしあたりモンスターに襲われる危険もなさそうなことから<セカンドサイト>を発動させ、視点を飛ばす。空中から鳥が大地を見下ろすように俯瞰の視点でダンジョン内を見回す。
そのダンジョンは大部分が草原で構成され森林がいくつかのグループに分かれており、山や洞窟、川や湖などがあるウィルダーネスダンジョンなどと呼ばれるタイプだ。
見かけるモンスターの弱さから出来て間もない程度。
とりあえず一通り見て回るのが良さそうだが時間というリソースが足りないのでひとまず近場の森林地帯を目指す。
草原にいるモンスターは歩く雑草ばかり。襲ってくるモンスターだけを倒しつつ進む。罠の気配はないことから近場に罠術使いのモンスターはいない。あのスキルを使うモンスターがいると新人冒険者や一般的な村人は重傷を負うか死ぬ可能性が高くなるので低レベルモンスターの中では足切り性能が高い。もしいるなら村長への報告だけでなく危険性を伝え近づかないように言っておく必要がある。そこからどうするかは村長や村人が考えることであり、余所者が考えることではないし、その結果がどうなろうとも責任を持つのは彼ら自身だ。
近場の森林地帯からは歩く木が出てくる。こちらも問題はない。襲ってくるモンスターだけ殴り倒しドロップ品の丸太を<アイテムボックス>へと入れる。ダンジョン入口から最も近い森林地帯でも罠は感じられない。
そのまま森林地帯を突っ切り山へと向かう。出てくるモンスターはローリングストーン。岩が転がってきてひき潰そうとしてくる。ただそれだけの単純な行動パターンなモンスター。避けると方向転換してどこまでも追いかけてくる。捕捉されている限りは。足の速さに自信があるなら索敵範囲から逃げればいい。
向かってくるローリングストーンを拳で破壊した。ドロップ品は石ころ。何かの役に立つこともあるかもしれないので<アイテムボックス>に入れておく。
さて、あとは洞窟内と川と湖を見て回れば今の段階のダンジョンのことは大体わかるのでそれを終わらせてから村長に報告する予定。今のところ問題はないが、ローリングストーンだけは戦うと新人冒険者や村人は死ぬかもしれないので山に近付かないように言うくらい。ドロップ品はおいしくないので、あまり村の生活の改善にはならなそう。




