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冬の間の村の護衛  作者: ナロースタンス


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5/10

5

 昼下がりの午後、木漏れ日が差す中を森の中を歩いて進む。ダンジョンまで迷わないよう時折<セカンドサイト>を発動させ視点を飛ばし空から俯瞰で確認する。

 出てくるモンスターは今のところ歩く雑草、歩く枯れ草、歩く枯れ木の3種類。罠術を使うモンスターではない。罠術スキルは<串刺しの罠>のみで数も多くはない。罠術使いのモンスターである場合は森の中を徘徊しているはずだがそれらしいモンスターは見かけない。

 ダンジョンまで残り半分程度。森の中は人の通る道は既になく、獣道と膝丈ほどの雑草、木の枝が落ちている。手入れのされていない天然の森。

 その時だった。歩く枯れ木とは微妙に異なる気配を感じた。まだお互いの視界には入っていない。気配を感じた場所へ<セカンドサイト>で視点を飛ばすとモンスターがいた。腰の曲がったような印象を受ける歩く木。しばらく観察していると、歩き始めた。進行方向はこちらへと近づいてくる。時折進行方向を変えつつも近づいてくる。どうやら視線に気付いて排除するつもりらしい。

 お互いを視界に捉えるとモンスターはぶるりと震えた。左目には何も映らないが<魔術の目>で視力を確保している右目にはモンスターから透明なモヤモヤが出ていた。そのモヤモヤは空中をゆっくりと近づいてくる。その速度は森の中を吹いている風と同じ速度。モンスターは風上にいてこちらは風下にいる。

 そこまで分かればいい。風を利用しているなら風下にいてはいけない。風上に行くべきだ。

 モヤモヤから距離をとり、罠に神経を割きつつ大きく迂回して風上からモンスターに近付き、殴り倒した。

 倒れたモンスターは引っこ抜いて放置した植物がそうなるように、灰色になりボロボロになり崩れ去った。そして白いモヤになり人が早歩きする程度の速さで空中をゆっくりと進み始めた。その進行方向は目的としたダンジョンの方向ではない。おそらくもっと森の深い場所にあるダンジョンからやってきたモンスターだ。1体だったことから森の中を徘徊していてたまたまこの近くにやってきたのかもしれない。

 モンスターが倒れていた場所には香木が落ちていた。それを<アイテムボックス>に入れる。

 先ほどのモンスターのスキルは左目に映らなかったことから、おそらく目に見えない芳香物質。木は喋らないが芳香物質によってコミュニケーションをとる。

 例えば動物に葉っぱを食べられるとその動物にとっての毒になる成分を集め葉っぱを食べられないようにするのだが、それだけではなく仲間に危険を知らせるのに芳香物質を使う。この芳香物質は風頼りなのであらぬ方向に行ってしまうこともある。知らせを受けた仲間の木は動物に食べられないように毒となる成分を集め始めることで被害を抑える。

 虫に葉っぱを食べられると、その害虫の天敵を芳香物質で呼び寄せ害虫を退治してもらったりもする。害虫の種類は害虫が葉っぱを食べた際の唾液で判断している。

 先ほどのモンスターの芳香物質は仲間とコミュニケーションをとるものでもないし天敵を呼び寄せる類いでもない。風上から敵に浴びせようとしたことから状態異常系のスキルだろう。

 状態異常系のスキルなら対応する状態異常耐性系のスキルで防げる。レベル1につき1日1回無効にし、対応する能力値が上がり耐性そのものも上がる。勿論それをスキルストーンで取得するならならその分他のスキルは取得できなくなる。

 どんなモンスターにも対処するなら幅広いスキルが必要になるが、使える状況が限られたスキルは人気がなくスキルストーンの値段が安い傾向にある。

 安いドロップ品は人気がないので倒す人間も少なくなるし戦うセオリーやノウハウも失われやすい。それが戦う人間やコミュニティに致命的な結果になることもあるが、それは市場原理を受け入れているなら仕方のないことでもある。それを防ぎたいなら、それ相応の値段をつけるなりコミュニティが支援すればいいだけだ。コミュニティを維持し生存競争に勝ち続けたいなら。無理なら土地を全て捨てて逃げるしかない。命があれば再起できる可能性は残る。命さえあれば。

 そんなことを考えつつダンジョンへと向かう。出来る限り風下は避けて。

 

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