#第41話 ツイン・ユニバース発動!!
#第41話 「ツイン・ユニバース発動!!」
・・・上戸鎖がサジタリウスと遭遇する10分ほど前・・・
旧岩手県の北川高校の校庭では、
この俺、萩間 拓が変身した
”乾坤統帝トゥデイ・ディクリース”
と、
オメラス計画の首謀者である
岡本 龍星が変身した
”黄金卿パーフェクト・パラダイス”
が激しい戦闘を繰り広げている。
「くっ!!」
岡本ことパーフェクト・パラダイスの動きは
1つ1つが俊敏で、回避や攻撃の手順が手馴れている。
おそらくではあるが、彼は
アーマー装着状態での戦闘経験が豊富なのだろう。
・・・だが、それでも俺の勝利が”無謀”とまでは感じられなかった。
岡本の動きには
経験者故の”クセ”が垣間見える。
人間はある動作に慣れると、
”潜在意識”へとそれを落とし込み、一種の自動化を実現する。
だが、それは動きの”単調化”に繋がらないと言えなくもない。
無論、俺にそれを読み解く類の特殊能力が備わっている訳ではないが、
これまで”オーバチャー”のアーマーを装着していた時には、
このような分析をする余裕はなかった。
今このように敵の分析を慎重に行える理由としては、
俺自身がSASの扱いを潜在意識に落とし込んだということもあるだろうが、
この”Sランク2枚挿しアーマー”がそれだけ強力で、
戦いを優位に持ち込めているという証拠に他ならない。
「萩間、これは俺の予想以上だ!!」
パラダイスの左腕に装着された巨大パイルバンカーの先端が迫る。
・・・彼は俺の胸部を狙っている。
・・・そして、ここで俺が右に避けることを彼は読んでいる。
・・・読んだ上で、攻撃の軌道をやや右へずらしているのが
彼の構えから読み取れる。
「何!?」
そう叫んだのは岡本だ。
・・・そう、俺はあえて左サイドへとステップを切り、
リーチの長いピッケルで下から思いきり切り上げる。
「ぐはっ!!」
「まだだ!」
俺はそのまま勢いを殺さず、
ピッケルの遠心力を利用し反時計回りに回転。
加速の威力も併せて、2度目のピッケルによる斬撃を見舞う。
パラダイスはそれでも大勢を大きくは崩さずに、
回転しながら校庭に着地した。
さすがに一筋縄ではいかないか。
・・・俺が完全に優性、という訳ではない。
しかし、俺は岡本の動きが読める。
それぐらいの余裕はあるというだけだ。
「・・・まさかこれほどとは。」
岡本ことパーフェクト・パラダイスはため息をつく。
「萩間 拓の天性の才能に加え、
U-SASドライバーによるSランク2枚挿しが
これほどの戦闘能力を誇るとは思わなかった。
特殊能力を無視すれば、お前の戦闘能力はQtainを遥か超えている。」
岡本はそう言うと、
何かに勘付いたように、俺に向けた視線を更に上に向けた。
・・・その時。
上空から隕石の如く紫の閃光が接近し、俺の目の前へと着落下した。
土煙がやや舞った後、
それは紫色のアーマーを纏い、着地した
陽遊 基と分かった。
「よぉ萩間!待たせたな!!」
「ようやく”中二病の神”の到着か。」
基が装着したアーマーは
ラボに展示してあった時と変わらず、ただならぬ迫力を放っている。
端的に言うなれば、ゴツいアーマーの要所要所に
角が金色の羊をデザインしたものである。
そして腰には左右に3本ずつ、計6本の太い槍を装備しており、
こちらも下半身を覆うほどのボリュームがある。
”夢幻貴王アリエス・ギャランティアー”の降臨だ。
「これは驚いたな・・・。
まさか陽遊 基が生きていたとは。」
岡本が驚きを隠さず、そう呟いた。
「フッ、今ここに、ロイヤル・ハイパワード・チューニクス再臨!!
5年前の復讐をしてやるぜ、岡本さんよぉ!!」
「”ブルートの制御コード”を渡せ。
オメラス計画は断念するんだな!」
俺は岡本に向かって叫ぶ。
・・・アーマーを装着した基の偏差レベルは”90”。
既に俺一人で岡本と
五分五分の戦闘が展開できている現状を踏まえると、
俺らに十分勝機はある。
「いくぞ萩間!!」
「あぁ!!」
そう言い、基ことアリエスは
ジェットパックで浮遊し、腰の槍を次々と引き抜き、
空中に投げていく。
それらは回転しながら彼の周囲に留まり、
攻撃準備が整ったように見える。
「萩間!こういう時には2人一緒に攻撃を仕掛けるのが常識だ!!」
「確かに、小さい頃、
そういう展開をヒーロー番組でみた記憶はあるな。」
・・・俺もピッケルを構え、岡本に向かって走り出す。
「”完成された世界の兆候とそれに基づく絶対的制裁”!!」
基はそう叫ぶと、背中のジェットパックをフル起動させ、
まるでどっかの日曜ヒーローが必殺キックを決めるように、
右足の裏をモンスターに向けて高速で接近していく。
彼の6本槍は円を描きながら彼の周囲を取り囲むように回転している。
技名は長すぎだが、それくらいのインパクトはビジュアル的にもある。
・・・俺は岡本に接近しながら、
自身の”技名”について考えていた。
・・・いや、頑張るところじゃないか。
「・・・”ツイン・ユニバース”!!」
遥か昔、ごっこ遊びをしていた記憶が蘇る。
・・・まさか、年齢25歳にもなって
こんな恥ずかしいことを経験する機会に巡り合うとは思いもしなかった。
恥ずかし過ぎて、脳が活性化している。
俺は岡本との距離を見極め、
ピッケルをありったけの力で振り下ろす。
「ぐっ!!」
ヒット!
そして、そのまま下に振り下ろしたピッケルを
今度はありったけの力を込めて真上に振り上げる。
アーマーを纏った岡本の身体が衝撃で宙に浮く。
タイミングよく、そこに基の必殺キックが炸裂!
岡本の身体はキックの直進方向に
凄まじいスピードで吹っ飛んだ。
彼は校庭の砂を巻き上げながら300m以上もの距離を転がり、
校庭を飛び出して、玄関前昇降口の段差で止まった。
「決まったぜ!」
「・・・あぁ!」
基は俺のすぐ背後に降り立ち、
互いのグータッチを交わした。
岡本の方を確認すると、
彼はアーマーの変身が既に解けた状態だった。
6秒ほどかけてやおら起き上がり、
ヨロヨロと校庭の方へ歩み寄ってくる。
・・・彼の腰のSASドライバーには所々にヒビが入っており、
かろうじて原型を留めている、というくらいだ。
もはや再変身は困難だろう。
・・・俺は、いや俺たちは、オメラス計画を阻止したということだ。
「俺は・・・伊集院には届かなかったという訳だ。
やっぱり、あんたは凄い。」
そう言いながら、彼は腰のSASドライバーをゆっくりと外した。
生身の岡本は
そのまま右手に握っていたSASドライバーを無造作に投げ捨てる。
「あんたには追い付けなかった、ということは痛いほどよく分かった。
だが、俺の存在意義は既に確立されている。」
「何を言っている・・・?」
岡本が”伊集院”という人物に対して
語りかけていることは、何となく察した。
・・・以前、調べたところ、
伊集院 雷人はこの世界では有名な人物であるが、
既に死去していた。
「・・・俺はあんたの、
伊集院 雷人の意思を継ぐだけだ。」
岡本がそう言うと、
どこからともなく、青色を基調とした無人の大型バイクが走ってきて、
彼の目の前に停止した。
そして、彼の左手には、
いつの間にかSASドライバーではない、
謎のベルトが握られていた。
バックル部分は金、ベルト部分は白の配色だ。
よくよく見てみると、基のベルトと形状が酷似している。
彼は遠心力を利用してそれを自身の腰に巻くと、
今度は右手に”電子辞書型”のアイテムを握った。
間違いない、基の変身アイテムと同型だ。
《Hello world!! Excuse me?
Answer、Answer、Answer、Answer・・・》
彼の持つ電子辞書型アイテムから
ガイダンス音が流れる。
「・・・シング・アゲイン!!」
《Certified!!》
彼はその電子辞書を
腰に巻いたベルトのバックルへと装填。
《Forcible execution!!
Identify your identity!!》
岡本の目の前に停止した
バイクのシートが開き、
内部から飛び出してきた大量のアーマーパーツが彼の周囲を回り始める。
顔は”龍”を擬人化したようなデザイン。
両肩からは金色の長いマントが伸びる。
全身を皮膚のように覆う装甲は黄金の”鱗”のような突起になっている。
腰には”細く白い剣”と
”刃部が平たく青い剣”、
を備えている。
「クリエイター・ノヴァイ・・・!」
俺のすぐ背後にいた基が呟く。
「喜べ、ここからは”手加減なし”だ。」
新たなアーマーを纏った岡本は
心なしか先ほどよりも声が低いように感じる。
「萩間、俺はアイツに消されたんだ。
当時は岡本が”特異点”になっていたせいで
能力が強化されていた可能性もあるけど、
単純な戦闘能力も強いはずだ。」
「なるほど・・・。」
・・・クリエイター・ノヴァイの偏差レベルは”92”。
先ほどの”黄金卿パーフェクト・パラダイス”と全く同じだ。
もし仮に、岡本の持つポテンシャルが
先ほどから計算されている”偏差レベル”に
全て反映されていたというならば、
今の状況で俺が勝てないとは考えにくい。
しかし、そうでないとしたら・・・。
偏差レベルの算出に、”隠し手が反映されない”としたら・・・。
「・・・お前のアイデンティティーを確立しろ。」
岡本がそう言った次の瞬間だった。
突然彼が姿を消した、かと思いきや、
俺は腹部に強烈な痛みを覚えた。
「ぐあああッ!!」
気付けば、俺のすぐ目の前で
岡本は白い剣を振るった直後だった。
・・・いつの間に・・・!?
「まさか・・・”ツヴァイブレイン”だと・・・?」
基はこれまでの気楽な様子を一転させ、
語気に焦りが見える。
彼はすぐさまジェットパックで飛び立ち、
6本の槍を順番に投げ放つ。
「無双夢想六槍、展開!!」
6本の槍は
次々と意思を持ったかのように回転し、
岡本へと襲い掛かる。
・・・すると、先ほどと同じように
岡本の姿は瞬時に消えた。
直後、回転する槍はほぼ同時に6本とも勢いよく弾かれ、
校庭に散乱した。
そしてその先には、
両手に剣を構える岡本の姿があった。
・・・今回はヤツの軌道が見えた!
しかし、”瞬間移動をしている訳ではないことが分かった”、
という情報が限界だ。
速い・・・!
さすがに速過ぎる。
1つ1つの動きは先ほど見抜いた
岡本のクセに沿っているかもしれないが、
アレだけ高速で動けば、複数の動作を連ねることができる。
途中で変更することも可能だ。
つまり、俺が彼の動きを多少予測できるという利点は
これでパーになってしまう。
「なんで・・・なんで岡本 龍星が
ツヴァイブレインを発動できる!?」
基は取り乱した様子で空中に停止したまま呟く。
その瞬間だった。
一瞬の閃光が俺の頭上に向かって放たれた、
かと思いきや、基は背中から落下した。
「ぐわっ!」
「俺は・・・太宰 健という男に、
伊集院 雷人の死滅した”ツヴァイブレイン”の分析を依頼した。
その後、限りなくそれに近い状態のHR細胞を
俺の脳に打ち込むことによって
”ツヴァイブレイン”を疑似的にではあるが自身に再現した。」
「なるほどな。」
そう答えたのはやおら起き上がった基だ。
「岡本 龍星は
5年前に死んだ伊集院 雷人の思想を継ぐために、
自身の身体に伊集院の一部を再現した。
その結果がさっきの高速移動、ってことだ。
萩間、これくらいで分かるよな?」
・・・どうやら、その”ツヴァイブレイン”というのが
岡本の強さの秘訣らしい。
「伊集院の開発したアーマーと
伊集院最大の武器、ツヴァイブレイン。
・・・それに頼るのは、俺の中で”最終手段”だった。
萩間、俺も貴様と同じく、
自分の”自己満足”に浸りたかったという訳だ。」
「・・・。」
俺は何も返せない。
「しかし、俺は・・・」
岡本ことクリエイター・ノヴァイの姿がまた消える。
「つまらない承認欲求で目的を見失ったりはしない!!」
「があッ!!」
敵の切っ先が見えた瞬間には既に痛みを感じる。
もはやそのレベルだ。
「萩間!!」
基ことアリエスが走り寄るが、
すぐに岡本に切り裂かれ、倒れる。
・・・まだだ・・・!
攻撃を受け止めて、その場で停止させれば
まだ対抗できる可能性がある。
高速移動を阻止すれば、十分戦える。
俺は武器を投げ捨て、
岡本に走り寄る。
あえて、彼の剣の間合いに詰め寄る。
「血迷ったか、萩間?」
その声が聞こえたかと思った瞬間に
岡本の姿が消える。
・・・今だ!
ヤツの剣の切っ先が一瞬だけ見える。
そしてそこに手を伸ばし、掴もうとしたその時だった。
「がっ!!」
突然、俺は背に一撃を食らった。
瞬時に振り替えると、
そこには剣を振り終えた岡本の姿があった。
・・・確かに斬撃を繰り出すところは見えた。
それなのに、そこから動作を変更して
背後に回って切り付けてきたというのか?
「クソ!!」
「見苦しいな・・・萩間。」
その瞬間だった。
俺は一瞬だけ聴覚を失う感覚に陥った。
その直後、これまで経験したことのないような痛みが全身を襲った。
・・・視線を落とすと、
俺の胸部には岡本が握る白い剣が突き刺さっている。
そして、その白い剣がみるみるうちに
鮮血でじんわりと染まっていく。
「さぁ、俺の動きが止まったぞ?
攻撃のチャンスではないのか?」
「がはっ・・・!!」
あまりの苦しさに、気を失いそうになるが、
必死で自分を奮い立たせる。
だが、”ダメ”だ。
これは・・・。
岡本が剣を抜いた感覚と同時に
俺は自動でSASの変身が解け、
そのまま校庭の土に顔面から倒れた。
苦しさに耐えられず、激しく咳き込み、
大量の喀血を引き起こした。
・・・おそらく、心臓をやられた。
2秒おきくらいに意識が飛びそうになるが、
必死に堪える。
敵はすぐ目の前だ。
ここで死ぬ訳にはいかない・・・。
俺は・・・完全なる何でも屋になるんだろう・・・?
・・・じゃあ立てよ、萩間 拓・・・!!
・・・意識が遠のく。
・・・もう痛みすら感じない。
・・・何も見えない。
・・・何も聞こえない。
・・・悔しいな。
こんな中途半端で終わるなんて。
俺は何かを成し遂げられたんだろうか?
結局、何も残せなかったのかもしれない。
・・・俺はもっとたくさんの人間から認められたかった。
・・・でも、もう手遅れだな。
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「萩間あああああああ!!!」
この俺、陽遊 基は
あまりの衝撃に立ち尽くしていた。
明らかに、もう彼は死んでしまっていた・・・。
「・・・陽遊 基、お前も同じ目に遭いたいのか?」
「岡本 龍星!!
俺は5年前、お前に中二宮Xレアについて話を聞いた時、
なんてカッコいい人なんだろうって思ったよ!
それが、今はどうした!?
なんでこんなゲス野郎に成り下がったんだよ!!」
俺は取り乱し、自分でもよく分からず叫んでいた。
「フッ・・・俺は一人でも多くの人間が笑顔になれる世界を求めていた。
自分から行動を起こすことで、その意識が広まっていくと信じていた。
しかし、現実は違った。
大切な人間が殺され、信じていた者には裏切られる。
人間は、俺が思っていたよりもずっと残酷な生き物だった。
だからこそ、”真の平和”を願うのは難しい。
俺は伊集院が死んでから、
世界中の悪人殺しをしていた。
しかし、それだけでは平和が訪れないのは明白だった。
人々の意識を変えなければ、平和は実現できない。
・・・そこで俺は密かに開発されていた生物兵器”ブルート”について知った。
それを踏まえて、俺が出した結論は、
全員の欲望を”生きる”という”人間原初の願い”に一元化させることだった。
そうなれば、人間は互いの価値を認め、
無用な争いを避けて互いを利用、すなわち団結し、毎日を過ごす。
”生きる”ことが何よりの幸福として作用する。
そう思った。」
「・・・それが、”オメラス計画”だというのか。」
「そうだ。
ブルートの脅威を俺が”制御コード”でコントロールし、
人々へ”適度な恐怖”を与える。
壁の中で生きる人間達は”生きる”ことが目的となり、
安全な壁の中で幸福を味わう。
皆が幸福を得る世界、それが”真の平和”というものだ。」
「パーマネント・ガーディアンスに入居できるのは
SAS変身者とその婚約者に限るっていうルールは、
その”皆が幸福”だというのと矛盾していないのか?」
「今はシステムが整備できていないだけだ。
これまではブルートが制御できなかったこともあり、
自由自在に計画を進めるには至っていない。
ちなみに、その問題はパーマネント・ガーディアンスの増設等で対処可能だ。」
・・・なるほどな。
さすが、岡本さんなりにちゃんと考えている。
皆の平和を願っている。
・・・でもな。
「でも、それは岡本さんの机上の空論だ。
現に、パーマネント・ガーディアンス間の連携は
全く取れていなかったらしいじゃねぇか。
恐怖で人間同士が協力し合うなんて保証はない!
壁の中でも平和なんて全然訪れていないようだが!!」
「最初のうちは問題が発生する。
それはどんなことでも同じだ。
俺は”理想郷オメラス”を完成させてみせる。」
その次の瞬間、クリエイター・ノヴァイの姿が消えたかと思いきや、
俺は上下左右に連続で次々と斬撃を受け、そのまま仰向けに倒れた。
「ガッ!!」
腰部分を見ると、バックルの電子辞書型アイテム、
DEADチェンジャーが破壊されており、
俺の変身はそこで解けてしまった。
「やっぱり、パワー重視のこのアーマーでは相性が悪いか・・・。
チクショー・・・!!」
・・・もう俺には手が残されていない。
まさか2度も岡本 龍星に負けるとは・・・。
岡本は仰向けに倒れる俺のすぐ目の前に立つと、
変身を解除した。
「陽遊 基、命だけは助けてやる。
せいぜい、俺が創造するオメラスで平和を享受するが良い。」
「そんなことは・・・俺にはできないんだよ!!」
俺は岡本の胸ぐらに掴みかかったが、
すぐさま片手で弾かれた。
俺は再び校庭へと仰向けに倒れる。
「なるほど、訳アリか。死んだのに生きている代償とか、か?」
「ウゼェんだよな・・・。」
岡本をありったけの力で殴りたい衝動に襲われるが、
俺はもう腕に力が入らなかった。
岡本は短い笑いを漏らし、
踵を返すと、校舎に向かってゆっくりと歩き始めた。
・・・悔しい。
・・・俺は、皆が何も考えずに
中二病でいられる世界を望んだだけだった。
こんな支配者なんて世界にはいらない。
でも俺の力では排除できない。
クソ!!
もう終わりなのかよ!!
せっかくあと一歩のところまで辿り着いたのに・・・!!
「・・・待て。」
その声に、岡本 龍星は
再度、踵を返してこちらを振り向いた。
・・・俺の声じゃない。
俺の後方から聞こえた。
じゃあ、誰かがここに駆け付けたということか?
そう考える間もなく、
岡本 龍星の顔は強張っているのが見えた。
俺もつられて仰向けのまま首だけで後方を確認する。
と、そこには長身の男が立っていたのだった。
黒髪の短髪、黒いロングコートに、
中にはレギュラーカラーの白いシャツを着ている。
下半身は黒い細身のスラックスで、
足元には黒い革靴、といった格好だ。
「お前は・・・!?
なぜだ・・・なぜ、ここにいるんだ・・・!?」
岡本は明らかに動揺している。
・・・その男には、俺も見覚えがあった。
5年前に見た、あの鋭い視線は、今も忘れずに覚えている。
でも、今ここに彼がいるのは明らかにおかしかった。
「伊集院 雷人・・・!!」
岡本 龍星がそう叫ぶと、
伊集院は微かに笑みを浮かべた。
「5年ぶりだな、岡本 龍星。」
#第41話 「ツイン・ユニバース発動!!」 完結
お読みいただきありがとうございます。
今回はメタ的に見ると
1作目の主人公 VS 2作目&3作目の主人公
という構図になっていて、ずっと書きたかったシーンでした。
岡本は実は自分自身の技術というものに拘っており、
頑なに奥の手を隠していましたが、
自身のオメラス計画を妨げられる危機に陥ったため、
最終手段としてツヴァイブレインと、
5年前に伊集院から託されたアーマーを開放しました。
その強さは圧倒的で、萩間を殺害後、
基すらも圧倒し、勝利を宣言します。
しかし、その直後、
5年前に死んだはずの伊集院が登場!
余談ですが、このシーンはこの作品で私が最も書きたかった箇所になります。
伊集院はなぜ現れたのか、
何が目的なのか、この先明らかになります。
残り3話、ぜひご覧ください!




