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ジャッキング・フォース  作者: まるマル太
第5章 対立していた”2つの計画”
30/53

#第25話 2つの恐るべき計画

#第25話 「2つの恐るべき計画」






衛久守えくす慧仁具真えにぐま

東京パーマネント・ガーディアンス内で激戦を繰り広げていたその頃・・・。






――――――――――――――――――――――――――――――――――――






「・・・あれか。」

東京パーマネント・ガーディアンス司令官であるこの私、

明電めいでん 峰隆ほうりゅう

1人でSランクブルートである“ヴァルゴ”の元へと迫っていた。




壁内で“タウラス”という新たなSランクブルートが出現したことで

混乱が起き、SAS装着者たちを恐れおののかした。


彼らに無駄な負担を強いることになるのであれば、

私が1人でヴァルゴを止めることができたら、

それが間違いなく最適解となる。






私は自身の専用ビークル、“AMATERA”によって高速で走行できる。

他のSAS小隊が使用する装甲車と違うのは、

1人乗りで、しかも直立の状態で操縦するという点である。


そして私が降車することで、バトルモードへと変形し、

4輪駆動の自立型AIとして戦闘アシストが可能である。


また、アーマーモードに変形させ、

私のパワー増幅器として使うことも可能。




「覚悟しろ、ヴァルゴ!!」

私は単独の運転席で叫ぶと脇のレバーを思いっきり引き、

AMATERAをバトルモードへと変形させる。

変形が開始すると同時に運転室から飛び出し、

宙で5回転ほどしながら両脚で着地。

そのまま勢いで地面を滑走する。




・・・【強化鎧装きょうかがいそうTAKEMI】。

私が身体に纏う形で使用する戦闘システムである。


白をベースカラーとしたアンダースーツに

関節部分や胸部には銀色の装甲が張り巡らされ、

稲妻を思わせるかのような黄色いラインが身体の中央、

サイドに刻まれている。

後頭部にはAMATERAと合体する際に接続するための

1mほどの白い棒状パーツが2本、後方へと伸びている。

腰の両サイドには、銀色のさやとともに、

持ち手から刃身まで漆黒の、”高周波ブレード”が装備されている。




ちなみに、私は生身での活動時、

指定条件下で発生する”電磁バリア”を周囲に展開しているが、

この強化鎧装を纏う際には、干渉を阻止するために

バリアの展開を一時的に解除する必要がある。






30mほどの巨体を持つヴァルゴに向け、時速150kmほどで舗装された広い道路を滑走。

すれ違い際に鞘からブレードを2本引き抜き、ヴァルゴの脚に当たる動力部分を切り裂く。


・・・が、手応えは皆無。


「報告通り、表面に定常波を生成する事で衝撃を抑えているようだな。」

私の背後からバトルモードのAMATERAが飛び出し、

軽快な動作で左右へと進路を切り替えながら

ヴァルゴへと接近する。


バトルモードのAMATERAは、4輪駆動ではあるが

ガタイの良い人間が前傾姿勢を取っているような、人型を模したマシーンである。

両肩に当たる部分に大型のレールガンを各々搭載、

また、私が使うものと同一の高周波ブレードを武器として前方に射出することが可能。


両手でヴァルゴの進行を妨げようと押さえる体勢に入るが、

抵抗虚しく、ゆっくりと後方へ押し返される。




見る限りでは、ヴァルゴは

全長30mという巨体の迫力から予想できる通り、単純なパワー面でも驚異の存在だ。


しかし、突進以外の攻撃手段としては例の特異音波のみ。

非常に攻撃と防御のバランスは悪い。


攻撃面での確かな隙を突く事で、攻略できる可能性はある。




私は勢い良くアスファルトを蹴り、跳躍すると、

そのままヴァルゴの本体上部へと着地。


何の抵抗もせずに進行を続けるヴァルゴに向けて、

両手に握るブレードの斬撃を連続で叩き込む。


・・・しかし、ブレードは激しい反動と共に跳ね返され、

全くダメージが通っている様子はない。




・・・100回以上は斬り込んだだろうか。

もはやこのままでは私のスタミナの方が先に切れる。

そう判断した私は一度ヴァルゴから飛び降り、

ヴァルゴの進行方向前方200mほどの地点まで距離を取った。


大きな元国道の中心を、ヴァルゴはブレずに直進してくる。

迫り来る巨体に、私は恐怖を感じざるを得ない。


一体、どうすれば止められる・・・?


敵の防御壁の正体が判明している以上、

単純な物理攻撃で破壊できないことは明らか。

ならば衝撃に影響しない攻撃方法を試すしかないが、

今のところ、そのような攻撃手段は持ち合わせていない。




周りを見渡し、地形も考慮しながら策を練るが、

元市街地であるこの周囲に有効な攻撃手段はない。



・・・と、その時、

私による咄嗟の条件反射が引き起こされ、

近くにあった5階建てビルの屋上へと飛び乗った。


すぐさま轟音が鳴り響き、

アスファルトがめくり上がり、破片が飛散する。




「・・・何者だ!!」

ヴァルゴが放った攻撃ではないことは明白だった。


「ヴァルゴの破壊は、阻止しなくちゃいけないんだよねぇ・・・。」

私が飛び乗ったビルの隣のビルの屋上に人影が映る。


「貴様、人間か?」

視界に映り込んだのは謎の人影、

茶色を主とする迷彩柄のアーマー装着者だった。

腰にはSASのドライバーが装着されているが、

初めて見るアーマータイプだった。


頭部はレーサーヘルメットを角ばらせたような形状。

胸部を大きく覆うような形状の黒い大型装甲。

そして両肩には黒光りする大型のガトリング砲が2丁搭載されている。

更には、腰の左右の部分からロケットランチャーのような砲門が2丁伸びており、

とても歩けるような重量ではないことは分かる。


装着者は声質的に男性だ。




「・・・人間で何が悪い?」

「ブルートの味方をする気か。

 貴様は破滅主義者か、その類だな?」

「いや、俺はあくまでも”オメラス計画”の協力者だ。」

「・・・オメラス計画・・・?

 何か訳ありのようだ。

 もしや、ブルートすらも貴様らの陰謀によって作られた生物兵器だとは言わぬだろうな?」

「察しが良いねぇ・・・。」

男は乾いた笑いを漏らす。


「このままヴァルゴを野放しにすれば、

 東京パーマネント・ガーディアンスの住民が多数犠牲になる。

 貴様はそれを計画の一環として認めるのか?」

「はぁ・・・足りないねぇ・・・。

 もはやそれは目的を達成するための手段なんだよ。」

「これは、随分と残酷な思想をお持ちのようだ。」

「お前はさぁ・・・平和の意味をちゃんと説明できるかい?

 人類はね、今一度考えなくてはいけないのさ。

 平和の意味を。」




・・・平和の意味なんてものをしっかりと考えた事はない。

しかし、安寧を求めて今こうして戦闘に赴いているのは事実だった。




「どうやら、貴様を締め上げて色々と吐かせた方が早そうだ。」

私は両手のブレードを構え、戦闘体勢に移行する。


「司令官の割には荒っぽいねぇ・・・。

 計画の邪魔になる人間には容赦はしない。

 俺は・・・内垣外うちがいと 奏修そうしゅう

 東北パーマネント・ガーディアンスのQtainキューテイン

 ”冥漠砲帝めいばくほうていバレット・ホーク”だ。」

内垣外うちがいとと名乗る男が纏うアーマーの背部分から

肩翼2mほどの無機質な黒い翼が2枚展開する。

と、同時にジェットエンジンが爆音を立てて可動し、

ゆっくりと全身武器の巨体が宙へと浮かぶ。


「これはこれは、Sランクチップ使用者だったか。

 まぁ良い。

 私は自身の技術力がSASを上回る事を自覚している!!」

ビルの屋上から跳躍し、

そのまま風船のように浮かんでいくホーク目掛け、

2本のブレードを斬り付けた。

・・・はずだった。


ゆっくりと浮かんでいたはずのホークは瞬時に

ジェット機を想起させるほどのスピードまで高速化し、

その場から姿を消したのだった。


「何!?」

獲物を逃がしたブレードはビルの屋上の床を切り裂いた。

一瞬、計算が狂った影響で動きが鈍る。


その瞬間に背後に気配を感じた。


背後から激しい銃弾の雨を浴び、私は屋上へと転がるように倒れ込んだ。

すぐさま立ち上がり、180度体を回転させ、

両手のブレード裁きで迫りくる銃弾を全て弾き飛ばす。


それから5秒ほどで弾幕は止まった。




「・・・これは、やられたな。」


重火器による火力、飛行能力、かつ素早い立ち回り、

なかなか厄介なものを揃えた敵のようだ。


「平和は・・・守らないとねぇ。」

ホークはそう呟くと、腰の両サイドにある砲門を

私に向けた。


「これが貴様流の平和へのアプローチって訳か。

 笑わせてくれる!!」






















ーーーーーその頃、東京パーマネント・ガーディアンス内ではーーーーー






衛久守えくす!!」

慧仁具真えにぐまが変身したキュリアス・トゥデイは

7本の爪型触手を自在に操り、

衛久守えくすが変身したXDAYエックスデイオブディスペインを

追い詰めていく。


「・・・俺様をここまで追い詰めるとは、楽しませてくれるな!!」

衛久守えくすは両手首から5本ずつ、計10本生える槍型突起を防御に活かして立ち回るが、

蓄積したダメージが段々と体を蝕んでいた。


それでもなお、諦めるような様子はない。

むしろ、楽しんでいるようにも見える。




「この死に損ないが!いつまで持ち堪える気だ?」

トゥデイが触手の連撃を休めた時、

ディスペインは敵目掛けてまっすぐに走り始めた。


彼は一瞬で間合いを詰め、右手の5本槍を突き付ける。

が、目の前には触手4本を束ねた防御壁が展開され、

いとも容易く阻まれる。

その瞬間、残り3本の触手の打撃により、

ディスペインは後方へとはじき返された。




「くそっ・・・この野郎があッ!!」

ディスペインは悔しさを露わにし、

左手の槍を地面へと突き付ける。

槍の先端は地面へと食い込み、自ら機動力を失う体勢へと入った。

もはや、体力の限界だろうか。


「ほう、降参する気になってくれたのかな?

 ちなみに僕はまだ80%以上の体力を温存している。

 この意味が分かるかい?」

「・・・どうやら、ここまでのようだな・・・。」

ディスペインは両膝を付き、頭を下げる。


「そのポーズ、最高にお似合いだよ!!

 最初からお前が僕に勝てる訳がなかったんだ。」

「そうかもしれないな・・・。

 だが、そうなると・・・」


・・・その瞬間だった。


突然トゥデイの背後の地面から

黒い”柱”が高速で立ち上がったのだった。


それらはトゥデイの爪型触手5本を正確に切り落とし、

彼は予想外の襲撃に悲鳴を上げる。


「あああああああああああああああ!!

 何だ!?・・・何が起きたんだよ!?」

「そうなると、お前の情報は単なる間違いだって事だなぁ!!」

ディスペインは空いている右手をまっすぐにトゥデイへと向けると、

5本の槍型突起はまるでパイルバンカーのように瞬時に伸び、

残りの2本の爪も切り落とした。


「ぐああああああああ!!そんな・・・そんなバカな!!」

最強の武器である爪型触手を全て失ったトゥデイは思わず

その場に尻餅をつく。


「お前は最初、8本あった爪のうち1本を容易く失った。

 その時の条件を分析してようやく気付いた。

 確かに観察力や適応力は俺様よりも遥かに高い。

 でもな、偏差レベル100のお前は

 ”解答時間を極端に短くされた初見問題”に苦手意識があったんだ。」


「この僕が・・・最強の僕が・・・追い詰められたのか?」


絶望し、跪いたトゥデイを前に、ディスペインは容赦がなかった。


ディスペインは高速で接近するが早く、

敵の腰に巻いていたSASドライバーを突起で突き刺し、

トゥデイの体を渾身の力を込めて蹴り放った。


「ぐはっ!!」

変身が解けた慧仁具真えにぐまはボコボコに凹んだアスファルトへと投げ出された。




「お前が手加減をせずに最初から本気を出していたら

 俺様は瞬殺されていただろう。

 自身の力を過信した事による油断がお前の敗因だ。」

ディスペインの体は見る見るうちに元の衛久守えくすへと戻り、

慧仁具真えにぐまを見下ろす。


「こんな事が・・・ある訳がないんだ・・・!!

 僕は勝つために、制するために生まれてきたんだよぉッ!!」

慧仁具真えにぐまは怒りを前面に押し出した上で泣いている。


「普通の人間なんてものは使命など持たずに生まれてくる。

 だが、俺様たちは違う。

 ZZZZZファイブゼッツ社によって使命を与えられて生み出された。

 それ故に成功、失敗をより顕著に意識させられる。

 まったく不幸な存在だよな、被験体なんてものは。」

「僕は・・・その枠を超越して、この世界の真理に辿り着くはずだった!!

 ZZZZZファイブゼッツは僕という高度過ぎるものを生み出した・・・。

 僕は自分で考えている、感じている、楽しんでいる!!

 僕には自由があるんだよ!!」

仰向けのまま叫ぶ慧仁具真えにぐま

見下ろす衛久守えくすは何も言わなかった。


彼の使命である”平和の障害となるものの排除”は、

彼の自由の上で成り立つ使命なのか、

それとも、ZZZZZファイブゼッツによって作られた必然的な使命なのか。


彼自身には判断できなかった。




「いやー!!お疲れ、お疲れー!」

突如響く軽快な声に、2人はその声の方向を見据える。


チャラい風貌の男が一人、

半袖白シャツにデニムというカジュアルなファッションで手を振っている。


中久喜なかくきか。」

衛久守えくすは呟く。


ZZZZZファイブゼッツ被験体同士の戦い、非常に迫力があって良かったよー。」

中久喜なかくき 麗央れおはそう言いながら

背後に右手を回したかと思うと、

次の瞬間には拳銃を握った右手を再度見せた。


「なっ!?」

乾いた発砲音と共に、仰向けになっていた慧仁具真えにぐまの額から鮮血が吹き出した。




「ZZZZZの最高傑作だったそうだが、処分して良かったのか?」

衛久守えくす中久喜なかくきに歩み寄り、訊く。


「重要なのはすめらぎ 慧仁具真えにぐま内部の

 ブルート制御コード。

 これさえあれば・・・!!」

中久喜なかくきは真顔になると、

すぐさま口元に不敵な笑みを浮かべた。


「何やら、俺様が知らない計画が進行しているようだが?

 そもそも、俺様が日本に来てから貴様は指示役として動いているが、

 何者なんだ?」

衛久守えくすは怪訝そうな顔で尋ねた。


「そっかー!

 まだお前には言ってなかったかー!!

 俺は・・・ZZZZZファイブゼッツ被験体の”監視役”として

 アメリカ本社から派遣されている。

 日本人だけどね。」

中久喜なかくきは普段のようなチャラ男の表情へと変貌する。

表情だけでも相当な訓練を積まないとできないような芸当だ。


「なるほど・・・。正式な回し者って訳か。」

「でもさ、俺は監視役であるだけじゃなく、

 とある壮大な計画を秘密裏に実行に移すために日本に戻ってきた。

 そもそもの話、ブルートはZZZZZファイブゼッツ社の発明品だって事は知ってるかい?」

「何だと・・・?」

衛久守えくすは目を見開いた。


「俺は”アトランティス計画”を独自に進め、

 全人類を排除する。」

中久喜なかくきはヘラヘラした様子から一変して、

真顔で衛久守えくすを見据えた。











#第25話 「2つの恐るべき計画」 完結




お読みいただきありがとうございます。


チャラ男新人の中久喜なかくき 麗央れお

実はZZZZZファイブゼッツ社から派遣されてきた

被験体の監視役でした。

しかし、独自に謎の計画を練っており、

意味深な発言をしています。


ブルートを利用した”異なる2つの計画”が露わになり、

段々と展開も見えてきたと思います。


今後もぜひご覧ください!

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