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ジャッキング・フォース  作者: まるマル太
第4章 ZZZZZ(ファイブゼッツ)社からの刺客
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#第18話 化け物の復活

#第18話 「化け物の復活」






・・・俺は婚約者の郡川こおりかわ 晴乃はるのに対して

これまで隠していた真実を告げた。


俺はほぼ止まる事無く、

5年後の未来の話を吐き出し続けた。


郡川こおりかわが他の男に浮気をした事。

すぐに俺に気を戻した際には、俺から断った事。

それが原因で彼女は自殺未遂をして植物状態となった事。




・・・俺は自分自身の感情がよく分からなかった。


ブルートとの戦いで死線を掻い潜り、

疲弊していることはあるだろうけど、

俺は自分が少しおかしくなっていることを自覚していた。


郡川こおりかわは俺にとって最悪の女性に違いなかった。


それでも、今の俺には彼女が必要な気がした。





「・・・嘘だと思うなら嘘でいい。

 でも、俺はその後悔を忘れる事はない。」

「・・・。」

郡川こおりかわは真顔でじっと俺の目を見つめたまま話を聞き、

話が終わるとリビングのソファへと力が抜けた様子で座り込んだ。


「どうして・・・。」

郡川こおりかわはそう言い、

両手で頭を抱えた。


「どういう事だ?」

たく、見せたいものがあるんだ。」

そう言って、郡川こおりかわは自室へと急ぎ、

1分ほどで何かのノートを手に戻ってきた。


ノートの青い表紙は折れ曲がっており、

中の紙も最初の方がクシャクシャになっている。


「それは?」

「私の・・・日記なんだけど・・・」

そう言って震える手で彼女が差し出したノートを

俺は静かに受け取り、1ページ目を開いた。


・・・郡川こおりかわにしては汚くて、

随分と大きい字だった。

殴り書いたような感じだ。


「・・・これは・・・?」

俺は思わずノートを落としそうになる。


そこには汚い字で

《絶対に浮気するな。たくを裏切るな。》

とだけ書いてあった。

他のページには何も書いていない。




「凄い字だけど・・・これはどうしたんだ?」

「確かに、確かにコレは私が書いたの。

 でも、いつ書いたのか、なんでコレを書いたのかが

 自分でも分からなくて・・・。」

「どういう事だ?」

「自分でコレを書いたっていう自覚はあるんだけど、

 その記憶が抜け落ちている、というか・・・。」




・・・どういう事だろう?




この世界の郡川こおりかわがトチ狂って

書き殴ったと言えば理解できない話じゃない。


でも、これほど感情的にこのメッセージを残す必要があったのだろうか?




「・・・これ、たくの話してくれた

 未来の話じゃないかって思った。」

「安易に結び付けるのは良くない。

 証拠が何もないから。」

「でも・・・。」


不安そうな郡川こおりかわを抱き寄せ、

軽く頭をなでる。


凄く、懐かしい感覚。


この世界に来て、本能的に俺の身体は彼女を欲していた。






・・・でも、俺もノートの件は何かが気持ち悪かった。


郡川こおりかわ以外の何者かが

俺が未来から来たことを知っているのか?


それで彼女にこのメッセージを残させた・・・?


いや、それで何になる?

せいぜい、俺へのイタズラ程度の次元の話だ。


しかし、未来から来た俺を潰すために

何者かが動いているのだとすれば・・・。

それを伝えるために郡川こおりかわ

何らかの手段で操ったとすれば・・・。


もちろん、それが俺にとっての”敵”だとは限らないが、

俺は何か、嫌な予感がしていた。




















―――――その頃、壁内の入院棟では―――――




「くっ・・・」

「大丈夫ですか?上戸鎖かみとくさりさん?」

「はい・・・」


作戦指揮官、上戸鎖かみとくさり 祐樹ゆうき

極めて戦闘能力が高いフォーサーであるが、

不意打ちのように食らったヴァルゴの音波攻撃には

成す術もなく敗れた。


しかし、命は無事にこうして壁の中に戻ってきたのだった。




「10分ほどで精密検査の準備が整います。

 休んでいてください。」

看護師は頭を下げ、部屋を後にした。

上戸鎖かみとくさりは病室に1人きりとなった。




―――――――――――――――――――――――――




・・・ヴァルゴの攻撃を受けて以降、

身体の調子が極端に悪い。

未だにようやく歩けるくらいだ。


おそらく、脳に作用して

血流の乱れ等を引き起こす音波なのだろう。


体内にフォーサーのHR細胞を5つ持ち、

それによって身体機能を強化できる

私だからこそ耐えられたのだろう。

しかし、あれ以上攻撃を食らっていたら

下手をすれば死んでいたかもしれない。




・・・私は敗北したのだ。


私は現在、あのヴァルゴに「支配」されているも同然。


私の支配を横取りするものは

例え地球外生命体と言えども・・・許すつもりはない。




そんな事を考えていると、

病室のドアが静かに開いた。


ベッドに寝たまま視線を移すと、

そこには見覚えのある白衣姿の男が立っていた。




「どうもお疲れ様です、上戸鎖かみとくさりさん?」

SAS開発担当の神崎かんざき 高来こうらいである。


「奇遇ですね、あなたがお見舞いなど。」

そう言うと、神崎かんざきは軽く笑みを浮かべながら

近付いてくる。


「黙って俺の開発したSASを使用していれば、

 今頃こんな目には遭っていないでしょうね。」

すると、彼は白衣のポケットに手を突っ込んで

何か光るものを取り出した。




「・・・ほう、そういうつもりですか。」

上戸鎖かみとくさりさん、悪く思わないでくださいよ?」

神崎かんざきは右手にバタフライナイフを握り締めていた。


「前々から気付いていましたが、

 あなたは随分と私を嫌っているのですね。」

「フッ、当然ですよ。

 たとえ相手が11歳上の作戦指揮官とは言えども、

 俺の開発を讃えない人間は必要ない!」

そう言いながら、彼は手首を捻り、

ナイフの刃先を出す。


「まったく・・・最初は優秀な人材だと思っていましたが、

 結局は先を見据える事のできない幼稚な技術者ですね。」

「俺はですね、“我慢”するのが嫌いなんですよ。

 何かをする事で自分が我慢しなくて済むならば、

 俺は何も考えずにそれを実行します。」

「そうなると、あなたの精神年齢は中学生くらいが上等でしょうか。」

私の発言に対し、苛立ちを覚えた神崎かんざき

寝ている私に対してナイフをまっすぐに突き出した。


咄嗟に転がり、ベッドから落ちる事でそれを回避。


それを見た神崎かんざきは靴のままベッドへと乗り、

そこから私を踏み付けるように飛び降りる。

しかし、これも床を転がり回避し、

その勢いを利用して私は片膝立ちの姿勢になる。




・・・知ってはいたが、神崎かんざき

体術をわきまえていないために隙が多い。


生身でも十分対応できるほどであるが、

立つのもやっと、といった今の私の体調では

それが叶うとは断言できない。




無論、フォーサーへと変身する体力も残っていない。




「・・・この状況で言うのもなんですが、

 あなたに裏の目的があるのは何となく察していました。

 こんな事をしたらその目的にしわ寄せがいきますよ?」

私がそう言うと、神崎かんざきの動きが止まった。


「・・・俺に目的があるのはその通りです。

 しかし、俺が我慢しなくて良くなる方が

 優先順位が高いんですよ!!」

再び彼はナイフを突き出し、全体重を乗せるように飛び掛かって来る。


私はどうにか窓の下の枠を掴み、

それを支えにして

病室のカーテンへと飛び付き、

バランスを取りながら彼の突進を回避する。


彼はそのまま窓際の壁へと頭から突っ込み、

尻餅をついた。




「どれだけワガママな人生を歩んできたのか、驚かされましたね。」

やおら立ち上がる神崎かんざきに対して

私は挑発する。


・・・思ったより動きは単純。

しかも、頭に血を昇らせる事で更に隙を大きくできる。




「俺は頭が相当良いので、

 そこまで上手くいかない事なんて経験せずに育ってきたんですよ。

 だから、上戸鎖かみとくさり・・・お前を排除する!!」

彼が両手でナイフを握り、

カーテンに掴まっている私に向けて一直線に突っ込んでくる。


次の瞬間、天井で固定しているはずのカーテンがずり落ち、

私は掴まったまま床に突っ伏した。

顔面を打ち付け、かけていたメガネが割れる。


・・・運が悪い。


急いで体を動かそうにも、披露し切った体は

意識通りには動かない。




・・・刺される覚悟で目を瞑った次の瞬間、

なぜかは分からないが私以外の者の叫び声が聞こえた。



「ぐあああッ!!」

それは神崎かんざきの声だった。


私はうつ伏せの状態で床に倒れているために

その様子を確認できない。


だが、予想外の事態が起きているのは確かだった。





―――――――――――――――――――――――――




上戸鎖かみとくさりが刺される直前、

神崎かんざきは第三者によって顔面から殴り飛ばされたのだった。


「お前・・・いつからそこにッ!!」

「悪いな。

 さっきお前らが盛り上がっている時に

 普通に正面のドアから入ったのだが、気付かなかったか?」

黒いライダースジャケットを着こみ、

ボトムスには黒色のジーンズを着用したガッシリとした男。


「フザけるなあああ!!

 俺を誰だと思っている!!」

神崎は鼻血を白衣の袖で拭いながら叫ぶ。


「SAS開発担当の神崎かんざき 高来こうらい

 で合っているか?」

「その通りだ!!

 この俺をよくも気安く殴れたな?」

神崎は男を見上げる。


神崎の身長は180cmだが、

その謎の男は更に大きく、185cmにものぼる。




「・・・いや、お前・・・どこかで見た気がするが?」

「それは間違いだな。

 俺様は今日、この壁の中に侵入者として紛れ込んだ人間だ。」

「部外者か。

 なら、気のせいかもしれないな!!」

そう叫びながらナイフを構えて走り出す神崎かんざき

謎の男は手を出して制した。


「おっと。

 せっかくなんだ、コイツを使うっていうのはどうだ?」

謎の男は背後からSASのアーマードライバーと、

1本のチップを取り出した。


「部外者が俺の発明品を無断使用とは生意気な!!

 ・・・開発者に逆らう事、後悔しろよ?」

神崎かんざきがナイフを捨て、

白衣のボタンを開け放つと、

そこにはSASのドライバーが既に装着されていた。


すかさずUSBメモリを少し大きくしたようなアーマーチップを

ドライバーの右側に挿入。

3枚のイフェクトチップをドライバー上部に挿入。


《コネクティング。》

彼の腰のバックルから、暗いトーンの男性ガイダンス音が流れた。


神崎はそれを確認すると素早く

右手で腰のレバーを握り、右側へとスライドさせた。


「変身ッ!!」


《ロードコンプリーション。

 アーマー・シュヴァイツァー。

 イフェクト・バースト、バースト、バースト。》


ガイダンス音と共に、

すぐさま彼の身体に纏わりつく様に

硬そうな物質が覆い尽くし、

それを隠すように白いローブが首から垂れ下がった。

頭部はインカムのように伸びた白い左髪を模した装甲で口を覆い、

目部分も硬い物質に変化している。






それとほぼ同時に、謎の男は

アーマーチップのみをドライバーに挿入し、

レバーを右側へとスライドさせる。


「ローズ・・・ブレイク!」

謎の男は自身の身体の前で

両腕をクロスさせるように構え、そう呟いた。


《ロードコンプリーション。

 アーマー・エクセプション。

 イフェクト・・・ノースキャン。》


シュヴァイツァー同様、

男の身体は装甲となる物質が覆い尽くし、

濃い紫色の素体が出来上がる。

そこに腕や脚の各関節部分に銀色の補強パーツが取り付けられ、

両手にはそれぞれ2mほどの黒い槍が握られた。


槍は先端が円錐のように鋭利になっているだけのシンプルなデザインで、

まるで鉄パイプのような見た目。


謎の男の装着したアーマー自体、

体のラインが浮かび上がるような

シンプルなデザインで構築されている。




「ほう、何かと思えば

 Dランクチップの”エクセプション”ですか。」

「生憎、用意されたものがコレだったからな。

 だが、この2本槍というのは俺様にとっては

 どうにも相性が良すぎる武装だ。」

そう言い、エクセプションのアーマーを纏う男は

何度か両手の槍を握り直す。


「フッ、笑わせないでください。

 俺のチップは開発者権限のSランクですよ?

 Dランク程度、ねじ伏せられない訳がない。」

シュヴァイツァーは腕組みをして

挑発染みた笑いを漏らす。


「油断は死を招くぞ?

 俺様は、”一度目の命”を油断で落とした。」

「・・・まさか、貴様・・・?

 噂話だろうと聞き流していましたが、

 あの、ZZZZZファイブゼッツ社の被検体ですか?」

シュヴァイツァーがそう言うと、

エクセプションは堪えきれない様子で笑う。


「ハッハッハッハッ!!

 そうだ!

 俺様は記憶を失くしてまでこの世に蘇ったのだ!

 ・・・被検体あらため、

 時柳宋じりゅうそう 衛久守えくすだ。」


そう言い、エクセプションのアーマーを纏う衛久守えくす

シュヴァイツァーに掴みかかり、

そのまま2人まとめて窓を破壊しながら外へと飛び出した。







#第18話 「化け物の復活」 完結







お読みいただきありがとうございます。


今回は色々な伏線を多く入れられたように感じます。


そして、前作で殺されたはずの

前作最強クラスのキャラクター、

時柳宋じりゅうそう 衛久守えくすですが、

ワケありで今作にも参戦します。

理由は次回以降で語られる予定なのでお楽しみに!

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