表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジャッキング・フォース  作者: まるマル太
第4章 ZZZZZ(ファイブゼッツ)社からの刺客
21/53

#第17話 真実を告げる時

#第17話 「真実を告げる時」




・・・俺たち第11小隊が帰還してから

既に2時間が経過した。


時刻は16時を回っている。




俺はチャラい新人である中久喜なかくきと共に、

明電めいでん 峰隆ほうりゅうがいる司令官室へと出向き、

Sランクブルート出現の事実や、

隊長である西園寺さいおんじの裏切り、

新たなワイズブルートとの遭遇についての旨を伝えた。


今はその話も終わりそうな流れになっている。




「・・・なるほどな。」

明電めいでんは腕組みをして頷く。


配置としては、俺の横に中久喜なかくきが座り、

テーブルを挟んで司令官と対面している。


「君たちの話は興味深くもあり、残念でもあった。

 礼としては何だが、こちらからも新情報を提供させてもらおう。」

司令官の明電めいでんは、男性としては少し高めのハリのある声で、

思わず耳に入れてしまう様な声質だ。


「ワイズブルートの件だが、ケツァルコアトルスが吐いた情報によれば、

 ヤツらは”元が人間である者達”との事だ。」

「・・・ワイズブルートが・・・人間?」

俺は思わず呟いていた。


「確かに、日本語は随分と滑らかだと感じていましたが。」

「私も聞いた時には驚いた。

 精密な検査を行っている訳ではないから

 真実か否かは不明だが、信憑性は高いと判断した。

 くれぐれも、口外は避けてくれ。

 情報は私が任意の相手に伝えている。

 ・・・さて、早急にヴァルゴの対策を講じなければならない訳だが。」

明電めいでんは話題を切り替える。


「ヴァルゴ討伐作戦を明日にでも決行する。

 本日18時にこの司令本部棟にて全体会議を開く。

 もちろん、ヴァルゴの特性を知っている君たちにも

 本作戦には参加願いたい。」

「・・・構いませんが。」

「俺もOKでーす。」

中久喜なかくきは気怠そうに返答したが、

司令官はその事には構っていられない様子で話を進める。






・・・それから5分後、

司令官との臨時の打ち合わせが終わり、

中久喜なかくきと俺は各自が自宅に戻るために進路を分かれた。


東京パーマネント・ガーディアンスの居住区は複数個所に分けられており、

彼とは自宅が逆方向だった。




「はぁ・・・。」

自宅の玄関前に着いたは良いが、

なかなかドアを気安く開けられない。


この時間軸では彼女を通り越して”婚約者”となった

あの忌々しい女の顔を見るのには嫌気が差している。


でも、難しい事を考えられるほど体力が余ってもいなかった。

日中の戦闘で今すぐにでも眠りたいぐらいには疲れている。




「お帰りーー!!」

ドアを開けて1秒足らずで響く例の女の声。


すぐさま駆け付けてくる足音を聞き、

俺は思わず視線を自身の足元に落とした。


たく、今日もお疲れ!」

形式上は俺の婚約者、郡川こおりかわ 晴乃はるの

満面の笑みを向ける彼女は、

時間軸が異なっても原型と大差ない。


「・・・あぁ。」

いっそ、向こうから嫌いになってほしい。

早く離婚でも持ち出してくれないものか。


「お腹空いたでしょ?ご飯できてるよ!」

「分かった。」

俺はそのまま右腕を引っ張られる形で

居間へと連れていかれた。




・・・だが、そこで俺は思わず息を呑んだ。




「あ、お邪魔しています。」

上下紺スーツを着込み、見るからに真面目な容姿の

初対面の男性がソファに腰掛けていたのだった。


「・・・どなたですか?」

「え・・・萩間はぎまさん、忘れたのですか?」

困った。

どうやら向こうは俺の事を知っているらしい。


「ごめんなさい。さっきも言ったけど、

 たくは記憶を失っているから・・・。」

郡川こおりかわが庇ってくれた。


個人的には、自分の記憶が消えているという事よりも、

自宅に他の男がいるという事の方が気持ち悪かった・・・。




「悪いけど・・・出て行ってもらえますか?」

俺は気付けばその男をまっすぐに睨んでいた。


萩間はぎまさん、”例の計画”についても忘れてしまったのですか?」

「・・・計画だと?」

俺は自分でも気付かず、更に視線を鋭くしていたらしい。

男の顔がこわばった。


「・・・失礼しました。

 記憶が戻ったらお話しできればと思っています。」

男性は立ち上がり、

何度か頭を下げて玄関から去っていった。






30秒ほどで、見送りにいった郡川こおりかわ

リビングに帰ってくる。




「・・・郡川こおりかわ、あの男はお前の知り合いか?」

「いえ、知らないけど、たくに用事があるって言ったから

 少し待ってもらってたの。

 あれー?たく、もしかして嫉妬しちゃった?」

郡川こおりかわが俺を下から覗き込む。




・・・冗談じゃない。

俺はもはやこの女に好意がない。

ただし、トラウマを克服できたと言えば

それは真っ赤な嘘だ。




「・・・違う。」




郡川こおりかわ

元の時間軸で俺と交際していたが、

他の男子に気移りして、別れた。


しかし、その後、

2週間ほどで再び俺と縁を戻そうと言い寄ってきた際、

彼女は俺に断られた事で自殺を試みて飛び降りたが、

死ねずに植物状態で生かされる身体になった・・・。




「大丈夫だよ!私はたくがいないとやっていけないから。」

「・・・そんな事もないだろ。」

「いやいや、たくがいなかったら私死んじゃうよー!」

その言葉に、俺の本能は

無意識に過剰反応した。


「・・・黙れよッ!!!」

明るい彼女の表情は瞬時に凍り付いた。


「え・・・?」

「・・・悪い。疲れてるんだ。」

俺は気付けば心臓が高鳴っていた。

身体中から汗も滲み出ている。


たく・・・?」

彼女は不安そうに俺の両手を掴んだ。


「何があったかは分からないけど、

 私が相談に乗れる事なら何でも乗るよ。」

そう言って、俺の目をまっすぐに見上げる。




・・・そうだった。

郡川こおりかわは普段元気な様子を見せているが、

俺が悩みを抱えていると

すぐ真面目に相談に乗ってくれた。

頭も非常にキレて、一般的な女子文化にありがちな、

同調するだけのような回答はしなかった。




本当に・・・彼女が”浮気”さえしなければ

俺にとって最高の相手だったに違いない。




「・・・何でもないよ。」

俺の口から出てきた言葉は

彼女を逆にたぎらせた。


「何でもなくない!!

 あんなたくの顔、初めて見たもん!」

真剣そうな眼差し。

心配しているのがよく分かる。


その懐かしい表情を見て、

俺はどうした事か、”僅かな希望”を抱いていた。




・・・彼女の”浮気”を完全に防ぐ事さえできれば

この女は再び俺が認める存在になるのではないだろうか?


あのあってはならない歴史を、

俺は覆す事ができるのではないだろうか?




・・・そのためには絶対的な説得力が欲しい。

だから出すしかない。

俺の"切り札"を。




「・・・誰にも言わないって約束してくれないか。」

「・・・うん。」

そう言い、俺は息を軽く整える。

そして、郡川こおりかわの目をまっすぐに見据えた。




「俺は・・・5年後の別世界から来たんだ。」










#第17話 「真実を告げる時」 完結



お読みいただきありがとうございます。


今回の話ではバトルシーンはありませんでしたが、

主人公、萩間はぎまの性格を決めたと言っても過言ではない

婚約者とのやり取りを書きました。


遂に未来から来た事を

過去の人物に告白してしまった萩間はぎま

この先どうなるのか、ぜひお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ