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ジャッキング・フォース  作者: まるマル太
第3章 迫り来る地球外生命体”ブルート”
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#第14話 もう一人の天才

#第14話 「もう一人の天才」




ジェネシス、及びカース・ディレンマの激しい戦いは続いている。


カース・ディレンマの壁型ビットを利用した攻撃は

“透過”を扱えるジェネシスに対して一切無効。

そのせいもあり、先ほどから

ディレンマは攻撃を避けて距離を取る事しかできていない。


最も、体内に手を突っ込み、

臓器を摘出するという必殺技を持つジェネシスとの接近戦は

圧倒的な不利な状況になる。


しかし、ジェネシスは敵に密着する形でしか

その必殺技を使えない。

したがって、浮遊能力を持つディレンマ相手には

相性が悪いとも言える。




・・・彼らの戦いを、

この俺、萩間(はぎま) 拓(たく)と

チャラい新人、中久喜(なかくき) 麗央(れお)は

SASを装着した状態で傍観する事しかできなかった。


人類の敵とされるブルート、

現反逆者である元隊長、

どちらの味方をすれば良いのか、

少なくとも俺には判断できない・・・。




「おいマスク君よ、そろそろ加勢するか?」

マンティスのSASを身に纏う中久喜(なかくき)が

声を掛けてきた。


「俺は萩間(はぎま) 拓(たく)。

 ・・・お前はどっちに加勢するつもりなんだ?」

「あっ、加勢っていう言葉が悪かったか。

 両方、倒そうぜ!!」

そう言い、サムズアップをかましてきやがった。


それは確かに、俺が思い付かなかった

個性的な意見に違いはないが・・・。




「・・・お前はバカか?

 俺らのSASの戦闘能力を考慮すると、

 ヤツらを圧倒できる性能は持ち合せていないだろう?

 どっちを敵に回しても死ぬぞ?」

「まぁまぁ、そーゆー事言わずによ!

 やってみないと分からないじゃん?」

そう言いながら、中久喜(なかくき)は

足元に落ちているフェニックスのチップを拾った。

・・・ジェネシスこと西園寺(さいおんじ)が先ほど捨てたものだ。


「ふー、どうやらまだ使えそうだぞ!」

「それが使えたところで何ができる?」

「ハッキリ言おうか!

 まずは俺があのカース・ディレンマのビットを無効化し、

 お前が一発かまして、

 隊長さんを利用してディレンマを倒す。」

・・・何を言い出すかと思いきや、

作戦にも何にもなっていない。




「中久喜(なかくき)、逃げるなら今のうちだ。

 どちらも俺らには興味が無さそうだからな。」

「おいおい!

 それじゃあつまらねぇよ・・・。

 お前はヤツらの戦いをただただ傍観してただけなのか?」

「何・・・?」

「俺はなぁ!もうヤツらの”攻略法”ってモノを見つけたぞ!」

「一体何を根拠に・・・。」


俺はもう心の中では

ここから逃げ出す準備ができていた。

しかし、中久喜(なかくき)の言葉で、

俺は方針転換せざるを得なくなるなど、

思いもしなかった。




「カース・ディレンマの生成する防御壁は

 熱に弱い事が証明された。

 ってコトは高熱の攻撃を放てば”隙”は作れる。

 そして、ジェネシスの透過は、隊長さんの説明通りなら

 あくまでも”細胞の移動”に過ぎない。

 つまりは、《攻撃範囲》を広げて

 移動後の細胞に命中させれば攻撃は普通に通るはず。

 ・・・どうだ?俺の名推理は?」

俺は絶句した。


チャラいマイペース野郎の中久喜(なかくき)に

これほどの分析ができるとは思わなかったのだ。




「・・・お前、ただのチャラ男じゃないな?

 今日会ってからの態度は演技か?」

「ハハハ!まさか!

 ただ・・・”経験”は豊富なもんで。

 さぁ、始めようか!」

そう言い、中久喜(なかくき)は

腰のドライバー刺さっているイフェクトチップを一枚引き抜き、

代わりに手にしたフェニックスチップを挿入した。


「お前、それはアーマーチップだろ?」

「こういう事もできるんだよ!!」

中久喜はレバーを作動させ、

チップを読み込んだ。



《ロードコンプリーション。

 アーマー・マンティス。

 イフェクト・パワード、パワード、エエエエエエエエエラー・・・。》


ドライバーが悲惨なエラー音を発したかと思うと、

突如、中久喜(なかくき)ことマンティスが握っていた

鋭いトンファのような武器が火花を散らし始めた。




「熱ィィッ!!」

マンティスはすかさずブーメランのようにトンファを投げると、

その軌道は正しく空中のカース・ディレンマへと向かい、

不意打ちではあるものの右肩付近へと命中した。


直後、トンファは弧を描きながらマンティスの手元へと戻る。


ディレンマのビットのような操縦機能は付いていないようだが、

中久喜(なかくき)は投げたトンファの軌道を完全に計算できている。




「チッ・・・手出しをしてくるとは、この命知らずが。」

ディレンマは回転する壁を6枚とも

俺とマンティスがいる方向へと発射した。


「さぁ、もう一撃行くぞ!!」

マンティスが火花を散らしたトンファを再度投げると、

それらは向かってくる壁を次々と突き破り、

操作主のディレンマへと迫る。


「何だと!?」

トンファがディレンマの顔面を捕えるのを確認した直後、

俺は専用武器チャーリングを腰から引き抜き、

その銃口を瞬時にディレンマに向け、引き金を引いた。


銃弾を防御する壁を瞬時に再生する事ができないディレンマに、

それを防ぐ術はない。


「クッ!!」

バランスを崩したディレンマが宙で不自然に揺れる。



「フッ、お前らもやればできるじゃないか。」

西園寺(さいおんじ)ことジェネシスは

くぐもった声でそう言いながら

負傷したディレンマ目掛けて跳躍する。


「くっ・・・身体が・・・!!」

ディレンマは滞空状態を維持しているものの、

先ほどの銃弾が急所に命中したのか、

回避の動きを見せない。


「死ね!!カース・ディレンマあああ!!」


・・・それは一瞬だった。


跳躍したジェネシスが

ディレンマに接した瞬間に凄まじい量の鮮血が飛び出し、

ジェネシスが着地すると同時に瀕死のディレンマも落下する。




「あ・・・ぐあああ・・・」

ジェネシスの手には

未だ血を噴き出し続ける真っ赤な心臓が握られていた。


「く・・・覚えて・・・おけ・・・。

 あの方の・・・計画の・・・」

胸部から大量の血を噴き出すカース・ディレンマは

そこで言葉を失い、完全に息絶えたのだった。




「・・・。」

ジェネシスはディレンマの最期には目もくれず、

右手に握った心臓を無言で見つめている。

しかし、それには俺も、

マンティスこと中久喜(なかくき)も目がいった。


・・・どう見ても、人間の臓器だった。


生命体である以上、

体内の構造は等しくならないとも限らないが、

それはありのまま、人間の心臓だった。


「どういうことだ・・・?」

ジェネシスは呟き、金属製のポーチのようなものに

その臓器を収納した。



「・・・悪いけどさぁ」

突如、中久喜(なかくき)が沈黙を破る。


「隊長、あんたは俺らが倒す事にした。」

「・・・ほう。

 私の長年の研究成果であるこのジェネシスを倒すと?」

彼はそう言い、両手の爪を瞬時に伸ばす。

右手にはべっとりとまだ温かい血がしたたり落ちている。


「俺らは東京パーマネント・ガーディアンスの犬ではないが、

 西園寺(さいおんじ)隊長が反逆者となれば

 今後、模倣者が出て壁の中の治安が悪くなる事も考えられる。

 それは俺らにとって嬉しい事ではない。

 ・・・その危険を防ぐためには、今ここで、

 あなたを殺害する必要がある。」

俺は中久喜(なかくき)が口出しする前にハッキリと答えた。


「貴様らが敵対する以上、手加減はしない。

 カース・ディレンマのようになる事を厭わないか?」




・・・別に、西園寺(さいおんじ)は

日本の征服などを企てている訳ではない。


ただ単に、この日本の現状を救うべく

単独でブルートたちを攻略する術を求めるという事だった。


しかし、その風潮は

東京パーマネント・ガーディアンスの司令部へ

名指しで対抗するものであり、

過激な思想へと変化する可能性は高い。

そうなれば、安全区であるはずの壁の中で

反逆者たちへの制裁を下す必要が出てくる。




・・・その争いは明らかに無駄事だ。




「・・・それが戦いってもんだぜ!」

俺が答える前に、今度は中久喜(なかくき)が言い放つ。

中久喜が俺と同じ考えで決心を固めたのかは不明だが、

コイツは見た目の雰囲気よりも

より多くの事を考えている。


「・・・良いだろう。

 お互い、恨みっこなしだ。」

「そこまでで結構です。」


突如、何者かの声が聞こえたかと思いきや、

1人の男が俺の背後にあたる木々の茂みから出現したのだった。


高身長、細身でメガネをかけた

ナチュラルショートヘアの思慮深そうな男。

見覚えがある。




「上戸鎖(かみとくさり)作戦指揮官・・・!?

 なぜこんなところにいる・・・?」

ジェネシスは驚きのあまり3歩ほど後退した。


現れたのは上戸鎖(かみとくさり) 祐樹(ゆうき)。

東京パーマネント・ガーディアンスの作戦指揮官であり、

SASを使う事を忌み嫌うフォーサーである。




「西園寺(さいおんじ)さん、先ほど、

 あなたの作戦実施記録に不可解な点を見つけ、

 第11小隊の後を追ってきましたが、

 案の定そういう事だったとは驚きです。」

メガネをいじりながら、上戸鎖(かみとくさり)は

口元に微かな笑みを浮かべた。


「・・・貴様らが悪いのだ。

 いつまでも現状は改善されず、

 SASを装着して戦わせては戦死者を出し続ける毎日。

 司令部に任せておけるほど、私は能天気ではないぞ?」

「フッ、戦死者云々は私も同感です。

 SASの開発者はさぞかし低品質なアーマーを製造しているのでしょう。

 SAS開発部門と、我々司令部を混同しないでもらいたいのですが。」

「連携が取れていない時点で司令部にも責任はある。

 そもそもSAS以外に一般人にとっての

 有効なブルートへの対抗手段がないのが問題だ。」

ジェネシスこと西園寺(さいおんじ)は

だんだんと口調が苛立ってきている。




「ならば、あなたを実戦部門ではなく、

 あらためて開発部門として迎え入れましょう。

 HR細胞をそのように加工できる技術があるのならば、

 おそらくあなたは素晴らしい武力開発ができます。」

「フザけるな!!

 お前ら司令部の犬にはならない!」

「残念です・・・。」


そう言うと、上戸鎖(かみとくさり)は笑みを消した。




「では、元HR細胞の研究者同士、

 けじめをつけるとしましょう。

 ・・・ジェネレイト!!」

そう叫ぶと彼の身体は黒い強化皮膚に覆われていく。


頭部には前方から後方へとV字を描く様に

大きめの装甲が装着され、

それに挟まれた頭部には

プラズマが走るように細かい模様が刻まれる。


顔は目部分に銀色に光るラインが通り、

それ以外のパーツは全て装甲で覆い尽くされる。


直後に、全身が隠れるように肩から漆黒のローブが生え、

そのローブにはDNA構造を模したかのように

対象色である白い模様が刻まれた。




「私こそがフォーサーゼイアー態、

 トランセンデンタル・オーガナイザーです。」

そのまま腕組みをして、目の前の敵を見据える。


ジェネシスは両手の伸びた爪を開閉させ、

戦闘体勢に入る。


「・・・その実力は噂で聞いている。

 だが、私の研究成果は伊達じゃないぞ。」











#第14話 「もう一人の天才」 完結






お読みいただきありがとうございますm(__)m


地球外生命体ブルートに支配された日本で、

殺し合っているのは【人間同士】だという事を

まだ第11小隊のメンバーは分かりません。


そして次回も人間同士(フォーサー同士)の殺し合いに。

前作の最強フォーサー

   VS

今作のチートフォーサー

強いのはどちら?

ぜひお楽しみに!

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