032「異世界帰還者イッチちゃんねる〜第4回配信(同時配信)〜(6)」
mitsuzoです。
次回で第一章完結なのでどうせならということで土曜・日曜の投稿としました〜。
「そんなモブキャラ精神で会社で頑張った。でも学校と違って会社は甘くなかったよ。その結果がストレスによる脳震盪で死んじゃったんだけどさ⋯⋯。でもまーそのおかげで異世界に転生して今の自分に自信が持てるようになったんだ」
「イッチ様⋯⋯」
輝夜ちゃんの呟きが聞こえたのでチラッと見てみると、3人に中でも特に俺の言葉に一際反応しているように見えた。
「⋯⋯そうして俺は地球に、この元の世界に戻ってきた。さっきも言ったけど俺は異世界に転生して5年経っていたから年齢だと本当は25が実年齢だけど、地球に戻ってきた時間軸が『転生した時の時間軸』だから5年前⋯⋯つまり20歳ということになるわけで。そして5年前といえば俺が死んだ原因となった会社でまだ仕事をしていた時期で⋯⋯それが今の時間軸なんだ」
俺は「ふぅ〜」と一度大きく深呼吸をしてまた話を続ける。
「⋯⋯でも5年前と比べて『嫌なものは嫌と言う』『自分の意見を言うことを怖がらない』と考え方がだいぶ変わったから、元々ブラック企業だった会社にはその日に⋯⋯あ、それって2週間くらい前の話な? で、すぐに電話して会社に『やめる』って一言伝えてすぐにやめた。そんな辞め方は会社に迷惑をかけることはわかっていたけど、でもこっちだって散々上司に追い込まれてその結果がストレスが原因で脳梗塞で死んだんだから別にいいかなって思った。それよりも自分を大事にしようって思ったよ。こんな考え方ができるようになったのも異世界に行って自分に自信が持てたおかげだと思う」
ここで俺は一度話を切って背筋をピンと伸ばす。
「色々あったけど⋯⋯今では自分の境遇に本当に感謝してるよ!」
俺は全力の笑顔でカメラにみんなにそう伝えた。
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<異世界帰還者イッチちゃんねる>
:イッチ⋯⋯お前
:すげーよ、すげーよイッチ!
:あっち行って色々強くなったんだな
:涙腺がな⋯⋯脆いんだよ⋯⋯歳かな、はは
:イッチ⋯⋯イッチぃぃぃ!!!!
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<アンダーテイル公式ch>
:イッチお前⋯⋯すげーよ
:イッチぃぃ!!!!
:強くなったんだな、イッチ!
:ちくしょう⋯⋯目から汗が止まらねーんだがぁぁ!!!!
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ウチとアンダーテイルの視聴者らが俺の告白に対して優しい言葉をかけてくれた。
嬉しい。世界はこんなにも優しかったんだな。
「うん、強くなった、強くなったよ。まあそんなわけで元の世界に戻ってきた俺だけどこの世界に戻って最初に思ったのが『これからは自分を大事にしよう』ってことと、もう一つは『異世界で身につけた力を使って何か面白いことができないかな』ってことなんだ。どう? 異世界で身につけた『魔法』⋯⋯面白いでしょ?」
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<異世界帰還者イッチちゃんねる>
:面白過ぎるわ!
:最高だっての!
:魔法サイコー! イッチ最高ー!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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<アンダーテイル公式ch>
:面白いよイッチ! マジで面白いよ!
:ワクワクしかねぇっつーの!
:新人のくせにやるじゃねーか!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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両方のチャンネルのコメント欄から賞賛コメントが一気に流れてきた。
「ありがとう。そう言ってもらえるとマジで嬉しいよ。そんなわけだからこれからも俺は魔法や異世界の話はもちろん、あっちで身につけたものすべてを使って現代社会でエンターテイメントしたいと思ってる。だからこれからもどんどん異世界情報発信していきます。まる!」
パシャン⋯⋯!
そういって俺は浮かせていたウォーターボールを弾けさせちょっとした虹を作った。
「⋯⋯きれい」
輝夜ちゃんが即席の虹を見て淡い笑顔を見せ他の2人もまた虹をうっとりと見ていた。どうやら俺の演出に満足してくれたようだ。よかったよかった。
「そんなわけで、今日はここでお開きとしますね〜⋯⋯⋯⋯ってあれ? おーい真希名さ〜ん?」
ちょうど時間も1時間経とうとしていたので俺は配信を終了しようとしたのだが、真希名さんがボーッとして俺の話を聞いていなかった様子。
「はっ?! あ、ごめんなさ⋯⋯⋯⋯あ」
すぐに正気を取り戻した真希名さんだったが、少しボケていたのだろう、配信中につい言葉を漏らしてしまい、それに気づいた真希名さんがすぐに手で口元を塞ぐ。
「えっと社長、じゃあそろそろ1時間経つので配信を終了してもいい⋯⋯」
「「「いやここで配信終わらせるとかあんたは鬼かぁぁ!!!!」」」
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<異世界帰還者イッチちゃんねる>
:ちょって待てーい!
:いやいや待てよ!
:ここで終了はやめてくれぇー!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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<アンダーテイル公式ch>
:待て待て待て待て待て待て待て!
:いやいやいや! こんなタイミングで終わるなや!
:待て! 話せばわかる! ていうかもっと話してくれ!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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俺が再度真希名さんに配信を終了すると伝えようとしたら3人から⋯⋯いやさらには俺のチャンネルとアンダーテイル公式chの視聴者も含めた全員から総ツッコミされた。
な、なぜだ、解せぬ⋯⋯!
「ポーションやら魔法やらいろいろ仕出かして、さらにはあんな重いカミングアウトまで披露して、それでのほほんと配信終了できるなんて思ったら大間違いよっ!!」
ウズメちゃんからなかなかの剣幕で捲し立てられる。
「ウズメさんの言う通りです。逃しませんよ、イッチさん?(にっこり)」
椿姫さんからは張り付けたような笑顔ともの凄い圧を向けられる。さらには、
「イッチ様、いつものぶつ切り終了ダメなの!『NO MOREぶつ切り』なの!」
と、輝夜ちゃんからも正式な抗議が入ってしまう始末。
ていうか映画泥棒みたいに言うのやめたげて。
当然視聴者からも言わずもがなだ。
しかし——真希名さんは違った。
カンペ『イッチちゃんねるもアンダーテイル公式chも配信終了でよろ〜』
「「「えっ?! 終わるの!」」」
ここでカンペを観た3人が真希名さんのカンペに絶句。
しかし、実際イッチちゃんねるの配信終了はちょうどアンダーテイル公式chの配信終了にも重なるので3人は不完全燃焼ながらも真希名さんの指示に従うこととなった。
「みんなごめん! 時間的に確かにイッチ君のチャンネルもウチの公式chも配信終了の時間なの! だから今日はこれで終了となります」
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<アンダーテイル公式ch>
:えっ!? そ、そんなぁぁぁ!!!!
:ご、後生でござる!
:まーでもたしかに1時間経ってるもんな〜
:あっという間すぎる!
:体感5分
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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<異世界帰還者イッチちゃんねる>
:いつもどおりで草
:でも魔法を観せてくれたイッチは約束守る子
:まー実際イベント含めて2時間近くやっているからしゃーない
:イッチ、事務所デビューおめ!
:おめ!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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アンダーテイル公式chの視聴者はまだ物足りなさを感じているようだったが、ウチの視聴者は「いつもどおり」という腕組み後方支援ムーヴとだいぶ俺のノリに馴染んでくれたようだ。
配信終了のアナウンスを入れたウズメちゃんはいまだぐぬぬ顔をしていたが、そんなとき真希名さんからカンペが入る。
カンペ『次回の異世界帰還者イッチちゃんねるから輝夜ちゃんスタートでコラボリレー始めます』
「あ! みんな聞いて! 今、社長から次回のイッチ君の配信から輝夜ちゃんを皮切りにウチら3人とイッチ君で順々にコラボリレーすることが決まったよー!!」
これを聞いたウチとアンダーテイル公式ch両方の視聴者が大いに盛り上がる。
「まずは私とのコラボが最初になるから詳細が決まったらツイXで告知するのー!」
そして輝夜ちゃんがドヤ顔でツイXでコラボ告知をすることを宣言。
「う〜、輝夜ちゃんの次は自分とコラボして欲しいけどでも最後も捨てがたい〜」
「私もイッチさんとのコラボ楽しみだわ〜」
ウズメちゃんは2番手かトリかでガチで考え込み、椿姫さんは余裕のお姉様ムーヴを展開。
「ということで、本日はここまでとなります!」
「明日からはまた各自配信するからみんな応援よろしくお願いしますね」
「みんな、チャンネル登録・高評価よろしくなのー!」
そうして3人が配信終了のアナウンスを告げ、最後は、
「「「「アンダーテイル事務所設立2周年記念アニバーサリー配信でしたーっ!!!!」」」」
と、俺も含め4人全員で最後の決め台詞で締め括った。
こうして俺のアンダーテイルでのデビュー配信が終了した。




