025「アンダーテイル設立2周年記念アニバーサリー配信(3)」
コメント欄では琢磨に対しての興味で盛り上がる中、スタジオではまた違った方向で盛り上がっていた。
「え? か、輝夜ちゃん、彼⋯⋯イッチ君のこと知ってるの?」
天乃ウズメが輝夜に対して恐る恐る聞くのに対し、高天原椿姫は、
「輝夜さん⋯⋯彼は何者なのですか? ちゃんと答えてくださいね?」
と、視聴者と同様琢磨に対しての強い興味が沸いたようで、輝夜に対して「逃しませんよ」とでも言いたげな圧を向け質問を投げかける。
「あ! 興奮のあまりイッチ様のことが言葉に出てしまったの⋯⋯」
そういって、輝夜がしょぼんとしょげた。
「輝夜さん? どうしてそこでしょぼんとなるのですか?」
「もしかしたらイッチ様の邪魔をしたんじゃないかって思ったの⋯⋯」
「邪魔? なぜ邪魔になると?」
「わ、私の口から、正体を言っちゃったから⋯⋯」
そんな輝夜の言葉に、
「いえ、そんなことないですよ、輝夜さん。むしろ助かりました、ありがとうございます!」
琢磨が満面の笑みを浮かべて輝夜にお礼を述べた。すると、
「ひ、ひぃぃ!? イ、イッチ様からそんな感謝の言葉をもらえるだなんてぇぇぇ!!!!」
輝夜が顔を真っ赤にして直立不動となる。
「えっ?! 何、そのリアクション!」
「か、輝夜さんがそこまで⋯⋯」
輝夜のリアクションに「信じられない」という表情を浮かべる二人。
そんな、いまだ落ち着かない状況の中、真希名がバンバンとカンペを叩いて4人にカンペを見るようアピール。
その真希名のリアクションに気づいた4人がカンペを見るとそこには「コメント欄を見ろ」と一言。4人がコメント欄を見ると、
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:異世界帰還者イッチちゃんねる⋯⋯ね
:え? このイッチって異世界に転生してそこから戻ってきたってこと?
:嘘乙
:嘘じゃねーよ。イッチのチャンネルのアーカイブ確認しろや
:はぁ? そんなことあるわけないじゃん!
:それがあるんだよ!
:だからアーカイブ見ろって!
:アーカイブ見てから反論せーや!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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気づくと視聴者同士で軽くバトる展開に。しかしそのくらい現在視聴者間ではイッチの情報がそれなりに広まっているようで、いつの間にか話題は「イッチって異世界に転生して帰ってきたって本当?」という話で盛り上がっていた。
そんな視聴者のやり取りを見ていた天乃ウズメが思わず、
「は? 異世界に転生して帰ってきた? な、何の話してんの、みんなっ!?」
と、さもありなんな驚きを持って反応。さらにその隣にいた高天原椿姫も、
「イ、イッチさんって本当に何者⋯⋯なの⋯⋯?」
と、ここにきてついにキャラクター口調が崩れるくらいには余裕が消えていた。
そんな中、ずっと様子を見守っていた琢磨が言葉を紡ぐ。
「えっと⋯⋯それじゃあそろそろお話してもいいですかねぇ?」
さっきとは異なり今度は視聴者たちは琢磨の言葉に何も反応することはなかった。
むしろ、琢磨の次の言葉を早く聞きたいとでもいうかのような沈黙が流れている。
そんな場の雰囲気を感じ取った琢磨は一度深呼吸した後、
「では、さっそく始めますね〜」
そういって琢磨はのほほんとマイペースで話し始めるのであった。
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「改めて初めまして。イッチと申します。この度アンダーテイルの所属ライバーとしてデビューすることとなりました。まだまだひよっこの配信初心者なので暖かく見守っていただければ嬉しいです」
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:まともかw
:ん? なんだまともじゃないか
:初々しい
:ちょっと可愛い
:あらかわ
:礼儀正しいのは好ポイント
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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琢磨が改めて丁寧に挨拶をすると、最初と違い視聴者たちも好印象を持った様子。さらに横にいる2人からも、
「へ〜、すごい丁寧な挨拶。しかもすごく真面目そう」
「あらあらまあまあ。良い子じゃないですかぁ」
と、そんな琢磨の丁寧な挨拶に初見とは異なり好印象な様子を示すウズメと椿姫。
ちなみに輝夜は「イッチがアンダーテイルからデビュー」「生イッチ」の余韻をまだ引きずっているようで顔を伏せながらムフフ顔でまだ悦に浸っていた。
さて、そんな最初の登場よりも穏やかな空気が漂う中、
「チャンネル名は『異世界帰還者イッチちゃんねる』といって、転生した異世界での体験談やエピソードなど《《ちょっとした小噺》》をお送りしておりまして⋯⋯」
と、琢磨がチャンネルの紹介を始めようとしたところ、
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:待て待て待て待て待て待て待て待てぇぇ!!!!
:いやちょっと待ったらんかいっ!!!!
:ちょ、待てよ!
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「ス、ストップ! ストーーーープ!!!!」
「待ってください、イッチさん!」
視聴者とスタジオが「待て」でシンクロして琢磨の話が止められる。
「ん? どうしました?」
「『ん? どうしました?』じゃないから! あんた⋯⋯イッチ君そこ簡単に流すとこじゃないから! むしろ話はそっからだから!」
「そうですよ、イッチさん?『異世界帰還者』というパワーワードをサラッと流させてあげるほどこの空間はまだ出来上がっていませんからね? ちゃんと説明してくださいませ?(ニッコリ)」
「ひぇ⋯⋯は、はひ」
2人の圧に思わず魔王と対峙したときのことを想起させられるイッチ。そんな2人に内心怯えていると、
「イッチ様!」
「ん? お、おおお⋯⋯輝夜さん!」
ここで唯一の理解者である長月輝夜が正気を取り戻し声をかけられた琢磨。
この時、針のむしろ状態で孤立無援だった彼の心に一筋の光明が差した⋯⋯かのように見えたが、
「はい、そこぉ!」
ウズメが輝夜にズビシと指を差す。
「輝夜ちゃん! ある意味話が聞きたいのは輝夜ちゃんもだからね!!」
さらに、ウズメの後からも、
「そうですね。輝夜さんがなぜイッチさんを知っているのか、それもちゃ〜んと教えてくださいね?」
「ん? 別にいいの。でもその前に⋯⋯⋯⋯イッチ様」
椿姫もまた柔らかい口調ではあるものの軽く圧を出して問うも平然とする輝夜。その輝夜が琢磨に声をかける。
「えっ?! は、はい、何でしょう輝夜さん?」
まさか自分に話しかけるとは思っていなかった琢磨は驚きながらも輝夜に反応する。
「あのイッチ様、私が説明していいの?」
「え? どうしてそんなこと聞くんです?」
「⋯⋯もしかしたらイッチ様が自分から何か説明したいとかあるのかなぁ〜って。だとしたらイッチ様の段取りを邪魔することになるんじゃないかって思ったの⋯⋯」
輝夜が琢磨に対し、何ともしおらしい態度で接していると、
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:お、おい? 輝夜ちゃんのあんなしおらしい態度、初めて見たんだが?
:上に同じ
:その上に同じ
:なんで輝夜ちゃんそこまでこいつに傾倒してんの?
:え? まさか2人って付き合ってんの?!
:は? マジかよ!
⋯⋯
⋯⋯
⋯⋯
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今度は視聴者が輝夜について色々騒ぎ出した。




