016「初めての共犯作業」
ゲリラ投稿、とりま今回で一旦止めますね。
ス、ストック⋯⋯ががががが!
「まず琢磨君がアンダーテイルの新人としてデビューするのはイッチちゃんねるの『第4回配信』からにしたいと思っているの」
そうして、真希名は琢磨のデビューについての計画を話しはじめる。
「最初は琢磨君が本当に異世界に行っているなんて思わなかったから、次の第3回配信で異世界に行った証拠を出すと言ったとき本当に大丈夫なのか聞く予定だったんだけれど⋯⋯まぁ杞憂だったわね」
「えっと、その⋯⋯ごめんなさい」
「いえ別にいいの。まーいずれにしても次の配信は注目されてるし、だからそのまま琢磨君がやろうと思っていたそのポーション実演をすればいいと思う。⋯⋯まぁ、それだけでも凄いことになると思うけど」
「そうですか?」
「⋯⋯異世界ボケも大概にしなさい? 魔法はもちろんポーションの回復でさえこの世界からしたら物理法則を軽く無視した超常現象みたいなもんなんだからね?」
「う⋯⋯すみません」
真希名が「大概にせえ」とギョロっと睨んで異世界ボケしている琢磨を注意する。
「それでお願いしたいのは、次の次⋯⋯『第4回配信』のときなんだけど冒頭でライバー事務所と契約したってことと次回の配信でそこからデビューすることを話してほしいの⋯⋯要するに《《宣伝》》ね」
「あ〜なるほど」
「ただ、その時『アンダーテイル』の名前は伏せてほしい」
「え? なぜですか?」
「サプライズにしたいのよ。《《外にも内にも》》」
「外にも内にも?」
「ええ。そのほうが所属ライバーの子たちの素のリアクションが見れるからよ。そのほうが絶対に面白い!」
そういって力強く豪語する真希名。それと同時に、
「あとは、まぁ期待させといて事務所名言ったら『は? アンダーテイル? 知らね』って視聴者に悪いというか、私にもダメージというか、双方共にキツいから⋯⋯ははは」
と、苦笑いしながら虚空を見つめる真希名さん。
あ、察し。
「えっと⋯⋯はい。わかりました」
「ありがとう。ちなみに琢磨君のデビュー⋯⋯お披露目はアンダーテイル設立2周年の記念イベントと一緒にやる予定です」
「え? 2周年記念イベント?」
「そう! 我が事務所アンダーテイルは設立して今度で2年目になるんだけど、ライバー事務所としてはまだまだ新人も新人。だからこの2周年記念イベントで大きな爪痕を残したいと思ってるの!」
真希名の瞳に力強い光が灯る。
「で、その大きな爪痕を残すべく私は魅力的な新人を探していた。そして⋯⋯⋯⋯琢磨君を見つけた」
「⋯⋯真希名さん」
「琢磨君もこのイベントきっかけに世に出て欲しいの! そのための協力は惜しまないわ! どう、やってみない?!」
真希名が前のめりに琢磨に気持ちを伝える。
「で、でも、新人なのにそこまで大々的にお披露目されるのは、ちょっと規模感が大きいような⋯⋯」
新人に対してここまでの扱いはある意味贅沢であり、それは琢磨を認めているということでもあるのだが、しかし琢磨からすればデビューでいきなりそんな大舞台に立たされるなぞさすがに思ってもみなかったため弱気な言葉が出るのも無理なかった。
そんな弱気な発言の琢磨の手をガシッと力強く掴む真希名。
「大丈夫、あなたはできる子! お母さんは信じてます!」
「いやお母さんって何っ?! ていうか意味わかんねーわ!」
「ダイジョブ、ダイジョブ、最初ダケ。最初ダケダカラ」
「おい、犯罪匂わせワードやめろ」
「ごめんごめん。でも本当に琢磨君なら大丈夫だから。本番は私もいるし何かあったらフォローする。だからお願い!⋯⋯⋯⋯やってみない?」
一瞬考える琢磨——。
(真希名さんは信頼できるしライバーを大事にする事務所であることは自分にとってもありがたい。ただ新人にしては扱いがちょっと分不相応でツラいけど⋯⋯⋯⋯でもそんな真希名さんの期待には答えたい!)
「⋯⋯わかりました。やります、やってみます!」
琢磨は真希名の計画に乗ることを決めた。
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「真希名さん」
「何?」
「さっきの話一応OKはしましたけど、でも男の俺が所属ライバーさんと絡んでも大丈夫なんですか?」
そう、ライバー同士のコラボなどはよくあること。しかし『異性』であれば話は別。しかも女性だけの事務所の中に1人俺のような男が入るのはかなり危険だと思う。
「記念イベントってアンダーテイルの公式チャンネルで配信するってことですよね? それだと『なんで新人が男なんだよ』ってなって絶対に反感⋯⋯炎上しますよ?」
「まーそうでしょうね」
「ええっ!? そ、そうでしょうねって⋯⋯」
「《《最初は》》ね?」
「え?」
どゆこと?
「琢磨君には記念イベントで魔法を披露してもらいます」
「ええええっ!? そこで!」
「さらに、配信は琢磨君のチャンネルとアンダーテイルの公式チャンネル『アンダーテイル公式ch』での同時配信でいきます。そうすればあなたのファンが絶対に援護射撃をしてくれる⋯⋯はず?」
「いや、《《はず?》》ってそこ疑問形っ!?」
「大丈夫よ。そもそもアンダーテイルは『面白いものを世界に届ける!』というキャッチフレーズのもと始まったし、それは公式サイトや公式チャンネルの看板にもはっきりと書いてあるわ。⋯⋯私はアンダーテイルを女性だけのライバーで固めるなんてしたくないからね」
「い、いや、真希名さんがそうでも、視聴者が同じように思ってくれるかどうかは⋯⋯」
「まー賭けでもあるわね。でも、所属ライバーは顔が可愛いだけの子達ではないし、視聴者もそれをちゃんと理解して彼女たちを応援してる」
「⋯⋯」
「それにライバー業界は『男性ライバー』が少ないからぶっちゃけ今回琢磨君がファンに受け入れられればその男性ライバー枠はあなたの⋯⋯そしてアンダーテイルの《《独壇場》》となる!」
「! た、たしかに⋯⋯」
「大きな賭けかもしれない。でもそれだけのリスクを背負ってでも挑む価値があると私は思っている!」
「ま、真希名さん⋯⋯」
凄い! この人はそこまで考えて俺を⋯⋯。
「⋯⋯まいりました。真希名さんの話聞いて俺めっちゃワクワクしてます!」
観念した俺は全力で白旗を上げる。
そんな俺を見た真希名さんがドキッとするような妖艶な笑顔で一言。
「うふふ。私と琢磨君二人の『初めての共犯作業』ね」
「っ!?」
ドキっ⋯⋯!
こうして、真希名さん計画のもと俺たちはデビューに向けて動き出すのであった。




