015「魔法」
「ではいきますよ」
俺は右手の人差し指をスッと上げる。
「ファイアーボール」
ボッ!
俺の人差し指から2〜3センチほどの先に直径10センチほどの火の玉を出現させる。
「お、おおおお⋯⋯出た! 本当に出た!」
真希名さんが火の玉を見ながら興奮気味に叫ぶ。
「これは火属性魔法で初級のファイアーボールというものです」
「す、すごい⋯⋯ちゃんと熱を感じる⋯⋯」
真希名さんが火の玉の周囲で手をかざしている。
「ちなみに、術者の俺には熱は感じません」
「え! そ、そうなのっ?!」
「はい」
「不思議〜」
そうして軽く説明した俺は火の玉を消す。
「ね、ねぇ! たしか琢磨君って女神様から全属性魔法が使える力を貰ったのよね! だったら、他の属性も出せるの?」
「ええ。属性は土・水・火・風・光・闇の全部で6つですが出せますよ?」
そう言って、俺は今度は水魔法の初級魔法ウォーターボールをふわりと出す。
水のかたまりが俺の手のひらでふわふわと浮いている。
「え〜! 何これ〜! 大きな水のかたまりがフワフワって⋯⋯⋯⋯触ってもいい?」
「どうぞ」
「ふわっ!? これって本当に水のかたまりなんだね!」
「はい。ちなみに飲めます」
「飲めるのっ?!」
「ええ。なので水属性魔法を使える人は旅では重宝されます」
「なるほど〜」
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「いかがでしたか?」
「はぁ〜⋯⋯ただただ呆気に取られたわ。それにしても生きてて本物の魔法を拝める日が来るとは思ってもみなかったな〜。琢磨君、ありがとう」
「いえ、どういたしまして」
「それにしても、これってかなり凄いことだと思うんだけど琢磨君はこの力をどうしたいの?」
「どう⋯⋯とは?」
「だって、魔法使える人なんて世界でたった一人であることは間違いないし、この力があればなんだってできそうじゃない。例えば⋯⋯《《犯罪》》とか」
「まさかっ?! そんなことする気もありませんよ!」
「そう? 正直、琢磨君の持つ魔法の力ってアニメやマンガに出てくる魔法と似たようなものなのよね?」
「そうですね」
「であれば、もはやそれって『兵器』と同じじゃない」
「使い方によってはそうですけど、でも俺はそんな使い方をするつもりは1ミリもありません! ていうか、そもそもそんなのただ《《面倒くさいだけ》》ですし、それはすでに異世界で体験済みですし」
「あ〜⋯⋯なるほどねぇ」
「ただまあ、でもせっかくこんな力を使える状態で元の世界に戻ってきたから何かこの力で楽しいことに使いたいな〜と考えてて、それで思いついたのがYo!Tuber⋯⋯ライバーだったんです」
俺は真希名さんに素直に想いを打ち明けた。
「だから配信ではさっきのポーションもそうだけど、他の魔道具やアイテム、魔法も含めて、それらを全方位で利用して視聴者が喜んでくれる配信をしたいなと思ってます」
「ええええええっ!!!! ぜ、全方位で⋯⋯っ!?」
「はい! なので、異世界帰還者イッチはこれからも異世界情報をどんどん発信していく所存であります!」
俺は何となくビシッと右手を顔の横に持ってきて敬礼のような仕草を真希名さんに向けた。
え? なんでそんなことしたのかって?
そういうテンションだったからに決まってるじゃないか。
「すぅ〜⋯⋯⋯⋯ふぅ。よし全て飲み込んだ!」
突然、真希名さんがそんなことを宣言。
急にどした?
「急にどした?」
「すべて飲み込んだと言っている! 異世界帰還者イッチこと藤代琢磨君! 君が本物だったということをすべて飲み込んだ⋯⋯そう言っている!」
なんかよくわからんが、真希名さんが俺の言うことを信じてくれたようだ。
「ありがとうございます」
「うむ、苦しゅうない。ということで、ここからは次の配信、そしてアンダーテイルでのデビューについての話をしたいと思う」
真希名さんの調子が元に戻ってきたようだ。何よりである。




