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【再現された魔王】

[ルナルロッカギルド内部]


エルゼがギルドにたどり着くと……

ギルドの中は、誰もいないかのように静まり返っていた。


「みんな、もう逃げたのかしら?」


(魔物がいるかもしれない、

気をつけろよ)


周りを警戒しながら奥へ進む……。


明かりもついていないので、

ギルドの中は薄暗く、視界も悪い。


「きゃっ」

エルゼが何かに躓く。


足元を見ると、魔物の死体が転がっていた。

「魔物の死体?」


(倒されて間もない。誰かいるかもしれないな)


奥から、警戒したような声が聞こえる。

「誰かいるのか?」


「この声は……ミラベルさん?」


「エルゼちゃん!?」


「よかった、無事だったんですね」


「他に誰かいるんですか?」


「いるわよ、ついてきて」


ミラベルに案内され、奥の

ギルマスの部屋へ入っていく。


ミラベルが床を開ける。


「この下よ、みんな地下に避難しているわ」


はしご伝いに下へ降りていくと、

明かりが見える。


下の部屋に着くと、

アリアンネやギルドの職員達、

そして冒険者数名が身を潜めていた。


「来てくれて助かった。

今、みんなで話し合っていたところだ」


「それで、外の魔物は、

どこから来ているのですか?」


ミラベルが答える。

「詳しいことはわからないけど、

魔の森の奥から来ているみたいなの」


「街の方もギルドの職員と冒険者で、

対応してはいるがどれだけもつか……」


「ランクの高い魔物と戦える冒険者は、

そんなに多くはない」


アリアンネが切り出す。

「エルゼちゃん、お願いがあるの」


「私と魔の森へ行ってくれない?」


「街の防衛戦力も残さないといけないから、

最低限の戦力で行く必要がある」


「分かりました」


「ありがとう……」


「時間が惜しい、今すぐ行こう」


「はい!」


アリアンネとエルゼは、

ギルドの入り口へ移動する。


「安全の為、ギルドの前の魔物を片付けたら、

魔の森へ走る」


「途中の魔物はいくら倒してもきりがないから、

雑魚は無視しよう」


エルゼは頷く。


ギルドを出ると……。


ギルドの前には、Bランク級の魔物が大量にいた。

その中には、Aランク級と思われる魔物も数匹混じっている。


アリアンネが高速で片付けていく。


(琴音、体力はなるべく温存していこう)


(分かったわ)


エルゼもアリアンネの後を追い、魔物の群れへ飛び込んだ。


魔物を躱しながら突き進むアリアンネとエルゼ。


魔の森にたどり着くと、

そこには、数えきれないほどの魔物が、

ルナルロッカへ向かって押し寄せていた。


「何なのこの数!?」


「これだけの魔物がどこから……」


その時聞こえる不気味な声。


「あら……たった二人しか来なかったの?」


声のする方へ視線を向ける二人。


「また会ったね、エルゼちゃん!」


そこにいたのは、カミラ・ローレイン。

以前アリアンネを攫った人物だ。


アリアンネが、カミラを睨みつける。

「この魔物たちは、あなたの仕業なの?」


「いいえ、正確には私じゃないわ」


「私の能力(スキル)は知っているでしょう?」


カミラの隣に、見知らぬ男が姿を現す。


(何だあいつは……)


悠人が鑑定する。

ゼルヴァディオン

Lv60 古代魔族 職業:魔王


「ふふ、これを倒さないと

魔物は止まらないわよ」


「それじゃあ、私は失礼するわね」


カミラの足元に転移魔法陣が現れ、

その姿が消えていく。


(琴音、気をつけろ)


ゼルヴァディオンが右手に武器を作り出す。

巨大な斧が現れる。


「あんなの直撃したらまずいわ、

とにかく動きを止めないで」

アリアンネが呟く。


「いくわよ」


戦闘が始まると、

アリアンネとエルゼは、

ゼルヴァディオンの周囲を駆け回り、

次々と斬りかかった。


ゼルヴァディオンが斧を振るって反撃するが、

二人は紙一重で躱しながら、

左右から何度も斬り込んでいく。


(カミラのスキルで再現されてるんだったな。

なら、油断はできないな)


エルゼのスキルが発動し、

斬り込むたびに攻撃の威力が増していく。


存在転化によって現れた半身が、

魔導錬成で二丁の魔導銃を作り出す。


(援護する。琴音は戦闘に集中してろ)


両手の銃口に魔力が集まり、

魔力の弾丸が連続で撃ち出された。


魔法弾はゼルヴァディオンの肩や腕に命中し、

斧を振るう動きがわずかに鈍る。


巨大な斧を振るうたび、地面が砕け、衝撃が森を揺らした。


それでも二人は足を止めない。

いや、止まれない。

何度も斬り込み、

少しずつ魔王の動きを鈍らせていく。


やがて、ゼルヴァディオンの片膝が地面についた。


ゼルヴァディオンの体から、

禍々しい光が脈打つように溢れ出す。


ルナルロッカに向かっていた魔物が、

一斉にエルゼ達の方へ押し寄せてきた。


「そんな、魔王だけでも精一杯なのに……」


迫りくる魔物の群れを前に、

アリアンネは言葉を失う。




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