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【バルドルの贈り物】

ドワーフの村で休息を取り数日後ーー


朝からバルドルに

呼ばれ工房に向かうエルゼ達。


「何の用だろうね?」


「それよりアグニードさん、

翼の方はもう治ったんですか?」


「あぁ、大体完治したぞ」


「そうですか、ドワーフの薬って、

かなり効くんですね」


「たしかにな、戦闘よりも

技術に長けた種族だからな」


そんな話をしているうちに

バルドルの工房にたどり着く。


なんだか嫌な予感がする…。


恐る恐る中へ入ると、

バルドルが待っていた。


「おお、来たか」


「バルドルさん、おはようございます」


「おはよう!朝からすまんな」


「それで何の用でしょう?」


「お前さん達に装備を作ったんでな、

良かったら使ってくれないか?」


「えぇ、いいんですか?」

ヘレナが驚く。


「ドワーフの装備となると、

かなりの代物だろうな」


「ではエルゼの嬢ちゃんには…」


バルドルが取り出したのは、

布面積の少ない踊り子衣装だった。


「この衣装を…」


すかさずアグニードがバルドルを睨みつける。


「……冗談じゃよ」


その場の全員が黙り込む…。


「意外と悪ふざけするのね」

イリアも残念そうだ。


「最低…」

リゼが呟く。


「ま、待て…」


「帰りましょうか…」

ヘレナが本気で帰ろうとする。


「だから待てと言っとる!」


エルゼはバルドルから、

警戒するように後ずさりする。


「性能は高いんじゃ!」


「そんな目でワシを見るな」


「私がこれ着るんですか?」


「あぁ、それはなとても軽く、

動きやすいのでお前さんの戦いに丁度いい」


「見た目で分かりますよ…」


「いや、だから」


「他のないんですか?」


「……」


「すまん、実はなそれの上に、

この装備を着るんじゃ」


「最初の薄い衣装が『魔導舞装』。

そして、その上に着るこれが『魔導戦衣』じゃ」


「二つを合わせて、

『魔導戦舞衣』と言う名じゃよ」


「エルゼの嬢ちゃん用に作った特注品じゃ、

薄いのに並の鎧ほどの防御性能もある」


「それに機動力や魔力を込めた

攻撃の威力も上がる」


「お前さんの戦い方に合わせて

仕上げてあるんじゃ」


と言って『魔導舞装』をエルゼに渡す。


「奥に着替え用の部屋を用意してあるから、

そこで合わせてみてくれ」


「……そっちの『魔導戦衣』は?」


「おっと、忘れてた…ほれ」


エルゼはバルドルを

軽蔑するような目で見つめた。


その後何も言わずに奥の部屋へ向かう。


「ふぅ…危なかったわい」


「何がです?」


「何でもありません…」


(言葉遣いまで変わってるぞ、バルドル)

とアグニードは思うが、放っておく。


「後はヘレナの嬢ちゃんと

イリアの嬢ちゃんの分も…」


「いりません」

ヘレナは本気で警戒している。


「いらないわよ」

イリアは呆れたように言った。


「なんでじゃ?」


アグニードがバルドルの肩を叩く。


バルドルが振り向く。


「少し話があるんだが、いいか?」


「お前さんまで…」


その後、バルドルは全員分の装備を順番に渡していく。

ヘレナ達はそれぞれ装備を受け取り、

着替え用の部屋へ向かった。


数分後ーー


エルゼが着替えを終えて戻ってきた。


すると…。


正座しているバルドルの姿が見える。


そのまま無言で横を通り過ぎるエルゼ。


全員無言で戻ってくる。


「ワシなんか悪いことしたか?」


沈黙が続く。


「そろそろ立ち上がってもいいでしょうか?」


「どうぞ…」


「後は武器じゃが、

これらは特に自信作じゃ」


「この島でしか取れない特殊な鉱石を

加工して作った」


と言い武器を渡していく。


「この剣は『魔導剣』

もうワシでは、これ以上の物は作れん」


「それはな、エルゼの嬢ちゃん専用武器じゃ

他の者では、まともに扱えんじゃろ」


「嬢ちゃんは魔法も使っとったようじゃからな。

力を込めても、魔力を流しても扱えるように打ってある」


(琴音、軽く振ってみな)


(うん!)


エルゼが剣を持ち数回振ってみる。


思ったより軽いのに、

剣先がまったくぶれない。


「すごい…こんな扱いやすい剣は初めてかも」


「ヒィ、斬らないでくれ」

バルドルが慌て隠れる。


「……」


「…本当に斬っていいんですか?」


「おや、違うのか」

バルドルが戻ってくる。


「ヘレナの嬢ちゃんには『魔導法衣』じゃ

魔力に馴染みやすい糸を織り込んで

威力より、制御と消耗軽減を重視してある」


「へぇ…、少し不思議な感じがします」


「テラの嬢ちゃんには『魔導水衣』じゃ

これも魔力に馴染みやすい糸を織り込んであるが

魔法増幅と詠唱効率を重視した装備じゃ」


「テラちゃん、男の子よね」


「なんと…」

驚くバルドル。


「みんな初めは間違えるよね!」


「えへへ、この服かるーい!」


「ごほん…、次はイリアの嬢ちゃん

これは機動力と弓の精度を重視して作った

『鷹眼の狩衣』じゃ」


「弓を持った感覚が馴染みますね」


「アグニード殿には『赤竜の翼鎧』じゃ

翼も守られ防御力も高い上に

火の力も高めてくれる」


翼を動かしながら答える。

「ふむ…悪くはない」


「リゼの嬢ちゃんには『剛拳戦衣』じゃ

籠手とセットの装備で

機動力と拳の保護を重視してある」


「確かに動きやすいわね」


「全部ワシの力作じゃ、

安心して使ってくれ」

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