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【戻ってきた悠人】

四体の異形の魔物に襲われるドワーフの村。


逃げ惑うドワーフ達を庇うように、

立ちはだかるドワーフ。

この村のリーダー、

『バルドル・アイアンロック』だ。


「くっ…仲間をよくも!」


部下とともに魔物と戦うドワーフ達、

だがその魔物の強さに手も足も出ない。


「何という強さだ…」


そこへ駆けつけるエルゼ。


「ここは私が何とかするから、

みんな逃げて!」


「おまえは…何でワシらを助ける!?」


「話は後よ、動けるなら他の人をお願い!」


「わかった…」


頷くバルドル、

他のドワーフの方へ走り出す。


必死に戦う琴音だが、

まだリヒータ王国での怪我が

完治していなかったために、苦戦していた。


「はぁ…はぁ…力が入らない」


地面に膝をつくエルゼ、

そこに魔物が襲いかかる。


「足に力が!?」


『アースバリア』

大地の魔力を帯びた半透明の障壁が、

エルゼの前に展開され、

魔物の爪が高い音を立てて弾き返された。


(大丈夫か琴音?)


(えっ…)


(悠人!?)


(心配かけたな)


(ううん、大丈夫って信じてたから…)


(そうか…とりあえず魔物を片付けるぞ)


悠人の声を聞いた瞬間、

体の奥に、少しだけ力が戻る気がした。


『鑑定眼』

『カースドデビル』Aランク

Lv50 悪魔系 付与『異界の魔呪』


『異界の魔呪』。

その名には心当たりがある。

ソレイユを操っていた呪法だ。


「魔物の強化に使われているのか…」


表に出ているのは琴音のままなので、

動きそのものに変化はない。


だが魔王となった悠人が戻ったことで、

魔力の防御、敵の分析、

さらに攻撃の補助も、

以前とは明らかに変わっていた。


そこへ駆けつけるヘレナ達。


「エルゼ!」


「みんな!?」


「大丈夫だった?」


「うん!」


エルゼ、アグニード、リゼが前に出る。

ヘレナ、テラ、イリアは、

後方から支援に回った。


アグニードが攻撃を防ぐ。


「くっ!」


「今よ!」

ヘレナとテラが魔法を魔物に叩き込む。


『アクアソード』

『ウインドショット』


魔物の体勢が崩れる。


そこへイリアの『爆裂矢』が炸裂する。


魔物が怯んだ隙に、エルゼとリゼで

とどめを刺す。


連携が決まり、

どうにか一体目を倒すことに成功した。


「やったね!」


「あと三体だ、気を抜くなよ」


ドワーフ達の避難が進み、

魔物達がエルゼ達を標的に切り替える。


残るは、Aランクの魔物が三体。

ここからが本番だった。


アグニード、エルゼ、リゼで魔物を引きつける。


アグニードとリゼで、

一体を必死に相手にする。


エルゼは、怪我を抱えたままだが、

二体を引きつけていた。


そこへバルドルも加わる。

「お前さん達だけに任せるわけにはいかん!」


バルドルが加勢したことで、

徐々に魔物を追い詰めていく。


(魔物もだいぶ弱ってきたようだ、

これ以上の戦闘はこっちが危険だ)


(琴音、限界が近い。ここで終わらせるぞ!)


(うん!)


「これで終わりよ、みんな離れて!」


エルゼの奥の手、

魔王化した悠人の補助による、

『フォトンアーク×20』。

その最大出力を五連続で放つ。


現状エルゼの最高威力の攻撃であった。


凄まじい威力に、

魔物達のいた地面が抉れ、

黒い外殻ごと光に呑まれていく。


「エルゼちゃん、やりすぎ!」


その威力に呆然と立ち尽くす一同。


エルゼがその場に座り込む…。

「はぁ…はぁ…」


(琴音、体は平気か?)


(うん…何とか)


(そうか…俺の魔力はもう空だ)


戦いが終わりドワーフ達が村へ戻ってきた。


しかし魔物に破壊され、

ほとんどの建物が、

住める状態ではなくなっていた。


「がははは、ワシらを何だと思っている?」


「この程度の状態なら、なんてことないわい」

とバルドルが言った。


「それより、お前さん達には迷惑をかけた」


「騙されたとはいえ、お前さん達を捕まえ、

話さえ聞かずに閉じ込めてしまった」


「帝国にはワシらの仲間も被害を受けていてな、

謝って許される事ではないがすまなかった」

とバルドルとドワーフ数名の謝罪をうける。


「まあ、ドワーフ達も騙されたのだからな」

とアグニードはほとんど気にしてない様子だ。


「うん、気にしないでドワーフさん達!」


「そうだね、悪いのはヴァルガノンだから」


こうしてエルゼ達はドワーフ達と和解し、

しばらくのあいだ村に

泊めてもらうことになった。


「せめてもの礼じゃ」


「幸い風呂は無事だったのでな」


案内役のドワーフについていくと、

そこには岩場に湧く天然の温泉があった。


「うわぁ…すごーい」


「街のお風呂とはやっぱり違うねぇ」


温かな湯に浸かりながら、

エルゼ達は久しぶりに

戦いの疲れを癒していった。


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