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【墜落の先にある島】

『ラ・ジール王国』に行くことが決まり、

数日が経った。


ーー宿屋『砂風亭』ーー

エルゼは最低限、動けるまでに回復していた。


(悠人、一体何があったの…)


ここ数日何度か呼びかけるが、

返事はない。


胸の奥に悠人を感じることはできたが、

それが余計に怖かった。


そこへ入ってくるヘレナとテラ。


「おはようー、エルゼちゃん」


「昨日より体調は良さそうね」


「おはよう」


「うん、もう大丈夫、心配かけてごめんね」


「アグニードさんは?」


「イリアちゃんと一緒に、

色々買い出ししてるよ」


「リゼちゃんはギルドかな」


「買い出しが終わったらギルドに、

集合するって言ってたから」


「そろそろ私達も行こっか」


ヘレナとテラが部屋を出るのを確認して、

エルゼも後を追おうと歩き出すと、

激痛が走り壁に手をつく。


「はぁ…これ以上みんなに

心配はかけられないよね…」


小さく深呼吸をして、ゆっくりと歩きだす。


(回復魔法もまるで効かないけど、

理由には大体の見当がついてるのよね)


この体でどこまで戦えるのか、

肝心な時に動けなかったら

仲間が傷ついてしまうことが怖かった。


ーー『リヒータ王国ギルド前』ーー


エルゼ一行がギルドの前に着くと、

アグニード達が待っていた。

横にはアッシュもいる。


「これでみな揃ったな」

とアグニードが全員を見回す。


「ワシもついていきたいのは山々じゃが、

国がこの状態でギルマスまで

離れるわけにもいかんじゃろ」


「おじいちゃんはリヒータをお願い」


「任せろ、ワシも『拳聖』として、

これ以上無様な事はできん」


「うん、頑張ってね」


「準備が良ければ行くぞ」


アグニードの身体が光に包まれ、

大きな竜の姿へと変わった。


「え、何でこんな所に竜が!?」


突然の竜の出現に周囲がざわつき始める。


冒険者達が武器を構えて集まり、

通行人が逃げ惑う。


アッシュが叫ぶ。

「流石に目立つか、後はワシに任せて行け」


急いでアグニードの

背に乗り込むエルゼ一行。


「みんな乗ったよ」

リゼがそう叫んだ。


アグニードは即座に翼を広げ、

リヒータ王国を後にした。


それから数時間後ーー


眼下には、見渡す限り青い海が広がっている。


帝国領北側の海域。


かなりの高い所を飛んでいるので、

冷たい風が吹き荒れる。


「今ってどのくらいの場所かな?」

イリアが問いかける。


「丁度ラ・ジール王国とリヒータ王国の

真ん中くらいだろう」

アグニードが答える。


「やっと半分なのね」


その瞬間、激しい爆発音が鳴り響く。


それと同時にアグニードの体が大きく揺れ、

急降下していく。


アグニードの翼から黒い煙があがり、

黒煙が体を覆っていく。


「ぐっ…なんだ今のは!」


「きゃあ、今の何!?」


「みんなしっかりつかまってろ」


アグニードが辺りを見渡す。


「このままでは海に墜ちる、

なにかないか……」


イリアが叫ぶ。

「あ、アグニードさん、

少し北の方に島が見えます」


アグニードは島がある方向へ進路を変える。


「ギリギリいけそうか…

翼が言うことをきかない」


ーー帝国領北側の島ーー


アグニードは島の手前の海へ墜落した。

エルゼ達も激しく水面に叩きつけられ

海面が大きく跳ね上がる。


リゼが叫ぶ。

「みんな大丈夫!? 島まで泳ぐよ」


エルゼ達は必死に泳いで島へ向かう。


「ふぅ…一体なにがあったの?」

ヘレナがアグニードを見る。


アグニードの翼は焼けただれていた。


「アグニードさん!?」


テラがアグニードに近寄り回復魔法をかける。


「リリヒール!」

回復魔法の光が翼を包む。

だが、激しく傷ついた

翼にはほとんど効果がなかった。


「効いてはいるようなのに…」


呼吸が荒くなっているアグニード。


「たぶんこれは『対竜用魔法』の何かだろう」

アグニードが苦しそうに答えた。


アグニードが言うには、

『対竜用魔法』は文字通り竜系に、

致命的なダメージを与える魔法との事。


「回復魔法もあまり効果はないだろうから、

時間が経つのを待つしかない」


「ならしばらくはこの島に足止めね」

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