【ダンジョン崩壊】
ダンジョン崩壊まであと10分
圧倒的な数のノードデスを引き付け
仲間を先に脱出させたはいいが
取り囲まれるエルゼ。
それでも出口に向かい戦っていく
スキルが増えたおかげで
新しい戦闘スタイルができるようになった。
今は表に琴音が出ているので
悠人がサポート役だ
魔力固定化で剣を作り
剣には〈魔力波動〉て魔力付加しておく
〈存在転化〉で自身を具現化して
琴音の上からそれを降らせる
自分で投げたり
琴音が手に取って
斬撃を飛ばしたり剣をそのまま投げつけたり
二人で戦えるようになったので
数が相手ならかなり楽な戦い方だ。
他のスキルも併用し片付けていくが
そこまで弱い敵ではないので
中々へらせなかった。
琴音が剣を掴み、そのまま回転。
放たれた斬撃が黒い群れをまとめて両断する。
だが切り裂かれた隙間を埋めるように、
新たなノードデスが。
斬っても斬っても後ろから這い出してくる
通路そのものが黒い群れで埋まっていた。
「はぁ…はぁ… 流石に多すぎでしょ!」
(既に5分はたったかな)
(琴音 どうする気だ?)
(えぇーと…)
(策なしか)
悠人は別に驚かなかった
琴音の性格上予想していたことなので。
段々大きい岩が落ちてくる…
もう時間がなさそうか。
ゴゴゴゴ… 天井が軋む。
仮にノードデスがいなくても―
琴音の全力疾走でさえ、出口まで5分近くかかる。
もう、間に合わない。
崩落音が近づく…
通路が激しく揺れ
足元に亀裂が走る。
琴音は静かに出口の方向を見る。
(出口…?)
悠人が何かに気付いた。
(あ―そうだ琴音 そっちじゃない)
一方その頃―
場所は変わり『アルクレティア帝国 王の間』 王座にはゼファー・イグナディア
その前にヴァルガノン・ダクスブレイド。
「陛下 リリーはよかったのですか?」
「問題ない それよりお前が
逃げてきた方が驚いたぞ」
「別に逃げたわけじゃないんですけど」
「同じことだ 相手が生きている以上な」
「もう死んでると思いますよ?」
「ふん まあいい」
「ノードデスを大量に使うことになりましたが
代わりに良いものを見つけたので」
「ほう…」
「ではこれで失礼します 陛下…」
部屋を出ていくヴァルガノン。
(そう言えばエルゼと一緒にいた子供…)
(テラとか言ったか まさかあの村の生き残り)
「……いや、全員始末したはずだ」
「僕がそんなミスをするわけがない」
『一方帝国のダンジョン出口付近』
「ここなら安全かしら」
テラはダンジョンの方をずっと見ている…
「もう時間がないわよ」
無情にもダンジョンが崩れ落ちる
テラはその場に座り込む。
「そんな…」
誰も何も話さない…
時間だけが過ぎていく。
その時空から何か近づいてくる。
空を覆う巨大な影。
次の瞬間、轟音と共に赤い竜が降下した。
…どうやらアグニードだ。
アグニードと合流する ヘレナはアグニードに
今までの事を説明する。
「まだ希望はあるかもしれん」
テラが起き上がりアグニードを見つめる。
「何かあるんですか?」
「ふむ ワシら竜はな人間より遥かに
長く生きる」
「意味が良くわからないのですが…」
「要は人間でも知らない事を知ってるって
ことだな」
「まあ 可能性があるってだけだがの」
「エルゼちゃんは生きているかも?」
頷くアグニード。
「ここはダンジョンと言っても
普通のとは違ってな 言わば通路だな」
「通路?」
「そうだ 行ってみるか?」
「うん!」
その言葉だけで十分だった。
テラは涙を拭い、
赤い竜へ駆け出す。
希望があるなら―
行く理由は、それだけでいい
アグニードが飛び立つ
そこに行く理由はそれだけで十分なのだから。




