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【交錯する意志】

大門を開け中に入る

そこにはエルゼ・リリーコーラルの姿が

近づく二人のエルゼ。


(琴音やっと会えた)


他には誰もいない どこにいるのだろう。


「琴音 大丈夫か?」


話しかける悠人 だが反応がない。


エルゼはずっとこちらを見つめている。


さらに近づく悠人だが

琴音がゆっくり動き出す。


キィィっと剣を抜く琴音。


(おい 琴音?)


琴音の瞳には恐怖と決意が混ざっていた。


そのまま斬りかかってくる

慌てて後ろに飛び退く

今までのダメージと疲労で

体が思うように動かない

悠人も剣を抜く。


(琴音 どうかしたのか? まさか操られてる?)


「悠人 ごめんね…」


琴音は剣を握る手を震わせる

それでも剣を下ろさない。


話しかけてくる琴音 

だが操られている雰囲気はない

いつもの琴音だった。


そのままスキルを発動する琴音。


〈腕力強化〉〈脚力強化〉…と

段々スキルを発動していく

悠人もやばいと思いスキルを発動させる。


「やめろ琴音!」


(無駄よ 諦めて戦うしかないんじゃない?)


(何か知っているのか?)


剣を振ろうとした瞬間、

幼い頃の琴音の笑顔が脳裏をよぎる

泣き虫で

いつも自分の後ろをついてきた妹

その琴音が自分を殺そうとしてくる。


何も言わないエルゼ

普段なら悠人側の方が強いが

ここに来るまでの戦闘で

今はかなり消耗している

なので戦いになれば

どちらが勝ってもおかしくない状態にあった。


そのまま無言で戦う

二人共短距離転移や身影動作がある為

一瞬の油断が命取りになる

それでも悠人に琴音は殺せない

今となってはただ一人の家族なのだ。


悠人は琴音の性格は知っている

人も傷つけるのも嫌う琴音が

こんな事をなぜするのか。


戦闘は尚続く

消耗が激しい悠人の限界は近い

このまま戦いが続けば

先にどちらが力尽きるかは明白だろう。


短距離転移を使った瞬間

視界が大きく揺れる

限界が近い 脚に力が入らず

膝が沈みそうになる。


(くっ どうしたらいい)


(あなた死ぬつもり? 生き残りたければ

琴音ちゃんを殺すしかないわよ)


とエルゼが言った。


(だまれ… お前の言う通りなんかに

するつもりはない)


(そう… 分かったわ)


そう答えるエルゼ

次の瞬間 体が光る。


スキル〈存在変化〉


入れ代わる悠人とエルゼ。


(何だ なんで入れ替われる)


(この体の主導権は私にあるのよ)


(だから私は表でも裏でもいつでもなれるのよ)


(なら 俺に代わったのはお前が… 何の為に)


(そうよ 私が代えたの)


(あなた達兄妹で殺し合わせる為かしらね

でもそれもできないようだから)


(もういいわ 私が…)


(琴音ちゃんを殺すから)


そう言った後戦いだす二人のエルゼ

戦闘はさらに激しくなる。


今までは主人格が悠人だったので

ためらいがあったエルゼだが

代わった事でそれもなくなった。


本気で戦う二人のエルゼ


スキル的には悠人側の方が多い

二人分使えるのだから

体力やダメージはあるが

それでも徐々に

エルゼが押し始める。


(やめろ! 琴音を殺すな)


もう反応しないエルゼ

いやできないのか

二人の力ほぼ拮抗している

悠人に反応すれば

負けるのはエルゼかもしれない。


死が近い二人

エルゼが勝負をかけスキルをさらに

発動する〈蓄積解放〉

琴音も発動する

元々攻撃力は高くないエルゼだが

このスキルを使えば威力は跳ね上がる

先に決めた方が勝つのだ

負けた方は…。


戦闘を続けダメージを溜める二人

だが次の瞬間 琴音がよろめく。


エルゼが距離を詰め

斬りかかろうとした時

魔法か飛んでくる。


〈アクアアロー〉


離れる二人のエルゼ。


そこへやってきたヘレナ テラ イリアの三人

だが二人のエルゼは見た目で判別できない。


「待って…どっちがエルゼなの?」


考え込む三人。


ヘレナ達は動けない

下手に攻撃すれば

本物のエルゼを傷つけるかもしれない。


琴音側のエルゼの瞳は青

悠人側も今はエルゼが表なので青くなっていた為

まったく違いがない二人のエルゼ

悠人が表なら赤なので違いがあったのだが…

それに琴音が普段は表になっていたので

そんな事もヘレナ達は知らないのだ。


これで誰も動けなくなる。


(みんな無事だったのか)


「みんなよかった…」


喜ぶ琴音 三人を見た琴音が微笑む。


(あら ヴァルも失敗したみたいね)


(やっぱりなにか知ってるのか)


エルゼが言うには

ヴァルガノンが三人を人質に

琴音に悠人を殺させるつもりだったのだと

当然琴音にそんな事はできないので

悠人を殺さないように戦っていたのだが

少なくとも悠人側は

エルゼに代わってからは余裕もなくなって

ほぼ本気だったようだ。


(もういいわ 悠人あなたには

ここで死んでもらいます)


そう呟いたエルゼは

ゆっくり自分の剣を見下ろす。


そして―


何の迷いもなく

その剣を自らの胸へ突き刺した。


赤い血が胸元から溢れ落ちる。


琴音にはなにが起こったのか分からない。


エルゼが倒れる。


(何を考えている……)


段々と感覚が薄れていく悠人。


慌ててエルゼに近づく三人

琴音はそれを見て呆然としている。


エルゼは目を閉じ瀕死だろう

テラが回復しようとするが効果がない。


(悠人? なんで…)


エルゼに近づく琴音

瀕死のエルゼ… 悠人を見て

涙が溢れる 


「しっかりして!」


声が震える。


どうして悠人が倒れているのか

理解できない。


自分はただ―

守りたかっただけなのに

エルゼに声をかける琴音だが

既に反応がない。


三人はどちらがエルゼか分からないので

なにも話さない。


エルゼの手を握る琴音

段々冷たくなったような気がした。


「悠人……?」


琴音は震える声で呟く

だが返事はない。


目の前にいるのはエルゼの姿。


それなのに、

どうしても悠人にしか見えなかった。


その時二人のエルゼの体が光る。


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