収束12
「あーあ、全く。何やってるんだ?俺は」
ギャーーーーーーーーー!!!!!
落ちる体は真っ直ぐに下で大口を開けて待っている地獄へ向かう。相手を見据えて自慢のナイフを腰から引き出し構える。
この状況なら考える必要もねぇ、死んだ。
瞳を閉ざすと後方からの異音が耳へ届けられた。そいつは吉報と男はニッカリと口を歪ませ、血走った瞳をこれ以上ない程に開かせた。
天龍とまみえるその一瞬。
口の中へ落ちる男の起動が天龍の頭部の方向へ急にそれた。驚く天龍は男をしっかりと両眼で捉える。男の背からある筈のない大きな両翼が広げられ、その姿は悪魔そのものであった。
「よう。元気そうだな、テメェの驚く面は何度見ても飽きねぇぜクソ蛇!だが悪いな」
男はナイフに目一杯力を込めると、天龍の金色に光る両眼の間を通り抜けざまに切り裂いた。
「両眼だけ頂いてくぜ」
吹き出す鮮やかな赤を全身に浴びながら男は地面に向かい落ちて行く。
「お前のお陰で最後に面白いもん見させてもらったぜ」
同じ色に染まったワイバーンはもう殆ど意識が無い様子で共に落下していた。男の言葉を聞いてか聞かずか、ワイバーンの頭上には星印が浮かび上がった。
「は、モノ好き同士一緒に堕ちるのも悪かないかもな」
暴れ回る天龍に足を向け、悪魔は地獄へと帰って行った。




