収束10
ギャーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
「なななな、何だよ今の音!!!」
「耳が痛かぁぁ…足も腰も震えが止まらんべぇ」
「きっと天龍だ。どうやらまた空へ飛び出した見たいだな。今のうちに登りきるんだ!さ、タロ。ヤムも立って!もうひと踏ん張りだ頑張れ!」
「「はい!シュガー殿!」」
※ ※ ※
「おい、どうしたんだ!?すまない、もう少しなんだ頑張ってくれ!」
ワイバーンはさっきの加速に最後の力を込めてくれていたのか口に泡をため、羽ばたきももう殆ど動かしていない状態だ。
「コイツはもうダメだな。」
「そんな事言っている場合か!このままじゃ落ちるぞ!それに天龍が向かって」
「わぁってる、喚くなうるせぇ…ヤツめいいタイミングで気付きやがったな」
この状況でも上機嫌に大声で笑いたてる男に狂気と共に何故か安堵を感じている自分に無性に腹が立ち、両頬を強く叩いた。じんわりと伝わる痛みと熱が頭を冷やしてくれる。
「分かった。アンタに任せるよ。」
「へぇ…ならこっちもそろそろ本気出してやろーじゃねぇか!!」
男が叫んだ瞬間にワイバーンの上昇スピードが少し上がったきがした。
それに比例して、今までよりも揺れが激しくなっている気がする。男は手網を操りグランドツリーと平行に飛行していたワイバーンを90度傾け、グランドツリーと丁度垂直になるような向きに変えた。
するともう動いていないワイバーンの翼や体全体に強い上昇気流がぶつかり、ワイバーンの体を持ち上げ始めた。
飛んでいるというより、ふわふわと浮かび上がっている感覚に気分が悪くなる。
「一体この上昇気流は何なんだ!?こんな風さっきまで吹いて無かったろ?」
「なら逆に聞くが、お前鳥籠の中で風が吹くのは何でだと思ってたんだ?」
確かに、前から疑問だった。周囲全てを囲われているこの鳥籠。そこに風が入る隙間などある筈もない。しかし風は確かに吹いていた。
そういえば、南の森でトトと飛行した際途中から完全に無風になっていた。逆に風をよく感じたのは中央の森に入った時だ。ならば必然と風は鳥籠の中央に寄れば寄るほど強く吹いているという事になる。
「そうか!天龍だ!天龍が風の正体って訳だな!!」
「そうだ。奴の周りには風が渦巻いてやがる。なら根本的な話、奴はどうやって飛んでんだ?」
「はぁ?そんなの龍だから何かの力でとか何とかじゃないのかよ!!」
「降参か?」
「誰が降参なんて言った!ん〜、ヒントは無いのかよ!」
「ブー、時間切れ。GAME OVER。お前今死んだ。」
「ガキかよ…いいから答え教えろよな」
バギッ!!
そうだ、馬鹿な事を言い合っている場合では無かった。
大口を開けて下から迫り来る死の存在を完全に忘れていた。
「あっぶねー、喰われるかと思ったぜ。本当呆れる程間の悪い奴だなテメェわよ!!さっさとくたばりやがれってんだ。」
「クソ!食われる前にさっきの答え教えろよな!!」
「あぁ、そうだったな。羽だ。」
「はぁ!?何処に羽なんて着いてるんだよ!嘘つくな!どう見たって白い大蛇だ!」
ギャーーーーーーーー!!!!!
「うるっせぇ!!どいつもこいつも喚き散らしやがって刻むぞゴラァ!!」
「暴れてる場合か!そんな事してないで、何か策考えないとこのままじゃ、まとめて奴の胃袋行きになるぞ!」
「ッチ、んな事ガキに教わらなくたって分かってんだよ。いいか、情報は命だ!いや、命よりも大事だと思え。それぐらいそのちっこい頭に刻み込んどけ。羽だって言ってるだろ!見えねぇが確かに着いてやがる、等間隔に何翼か。見えねぇから正確な数や材質は分からんが、どうやら羽ばたいた時の風圧が風を生み出していやがるみたいだ。」
そういえば、最初に天龍と向かい合い掠めるようにすれ違った時、前方には何も無いのに不自然に大回りして避けていたな。あれは翼に当たらないようにしていたのか。
『生きたいなら、死ぬことだ。』
「アンタ、それを――。」
「何か言ったか!?」
「いや。行こう!頂上へ!」
「はッ!いい面しやがって」
一体、どれだけ繰り返してきたんだ――。




