第七十話 破壊
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こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。
次に見えてきたのは、元テロ対策本部だ。
そこでは、櫻子は黙々と仕事をしている。
側にはヒロと丸山がいた。
「早くこんな所出て行きたいわ。」櫻子が吐き捨てる。
「まだ冒険者組合の建物立っとらんだから仕方がないやろ。」ヒロが答えた。
そこにノックが聞こえた。
「どうぞ。」
完璧な笑顔の櫻子。
「あ!あの冒険者登録したくて!」書類を持ってきた青年が声をかける。
「ありがとう。でも、今は仮登録なのそのことは知ってるかしら?」
「はい!」
「でも、一応、説明させてね!」笑顔で登録を終わらせた櫻子。
青年が出て行ったらスッと真顔になる。
「はい。これ。」その書類を丸山に渡す。
一息吐くと椅子に座りなおす櫻子。
その様子を複雑な表情で見つめるヒロ。
そして、丸山とヒロの目が合う。
次に見えて来たのは領地庁の喫煙所だ。
ヒロと丸山がタバコを吸っている。
「そっち大丈夫か?」丸山が尋ねる。
「俺は、戦場は慣れてますが、櫻が…。」ヒロが煙を吐きながら話す。
「まぁ、そうよな…。」
「丸さんは大丈夫なんすか?」
「俺は、学校卒業してからずっと内乱におったから。その時に比べるとまだ殺してない方や。」
「俺もっすね。スナイパーって確実に殺すから。」
「上野さん容態どうなんすか?」ヒロが丸山に尋ねる。
「生きてるで、この前見舞いに行ったら腕立てしとった。」丸山がタバコを吸いながら話す。
「でも、右目あかんくなったんですよね?自衛官続けるんすか?」
「こっちに来たいみたいや。」
「心強いっすね。」
そこで、ヒロがタバコを消す。
「俺、仕事戻りますね。」
丸山が手をひらひらとふる。
そうして、もう一本タバコに火をつける。
「少し、ゆっくり吸っていくか…。」
次に自宅のリビングで食事をしているヒロと櫻子がいた。
櫻子は食事の途中なのに酩酊状態でうつらうつらしている。
その様子を足を組みながらヒロが見ている。
「…櫻。寝るんやったらベッド行こう。」
「…まだ、残っている。」そうしてハイボールを煽る。
ハイボールの缶が落ちてガシャンと音が鳴る。
櫻子が神器のハサミを大剣ほどにして構える。
「はっはっ」肩で息をしている。
ヒロが櫻子ハサミをゆっくり降ろさせる。
「…櫻。」
櫻子がヒロを見る。
そうして、冷蔵庫から新しいハイボールを出すとまた飲みはじめた。
「眠れない…。」
「魔道具使ったらえぇやん。」
「あれじゃダメなんよ!」叫ぶ櫻子。
様子を見ている楓達が体を跳ねさせる。
「人が…血が…。あぁぁぁぁ!」両手を見ていた櫻子が頭を抱える。
「そんな事ない!今までも殺してきた!今までも平気だったんだから!」
櫻子の魔力が溢れる。
「大丈夫や…。櫻子。」ヒロがすぐに抱きしめる。
そして、魔道具を作動させて強制的に眠らせた。
「ヒロ…。ママ上…。」楓がなんて話していいのか言葉が出ない。
「大丈夫や。今回は、離れやんから。」櫻子を抱き抱えたヒロが楓に話す。
ベッドに櫻子を寝かせるとリビングに降りて。
猫又達をブラッシングした。
次に見たのは…。
追悼式だ。
秋風が吹いている。
あの日から何ヶ月経ったのであろうか?
神辺第一小学校の校庭に献花台が設置されいる。
壇上の上にも白い菊の花の祭壇が飾られてる。
黒い喪服を着た櫻子とヒロがいる。
僧侶の読経が静かに流れ、線香の香りが漂う広場。
写真を持ち泣く両親。
助かった子供たちも涙を流している。
「被害者ズラしているけどお前やろ!」男の怒号が飛ぶ。
「お前がおったからひなは死んだんや!」
あの父親だ。
人々が騒然とする。
「やめろ!」丸山が止める。
櫻子の目から光がなくなる。
取り押さえられながらも男が叫ぶ。
「何が!英雄じゃ!」
「人殺し!」
その時、櫻子の中の何かが壊れた音がした。
ーーーー次に見たのは…。
自宅のリビングを這うようにトイレに向かう櫻子の姿だった。
もう、歩く気力すらない。
しかし、排泄はしないと。
なんで?
なんで?
生きてるの?
うちの中に櫻子の気持ちが入ってくる。
櫻子の絶望で目が開けられない。
しかし、目を開けないと…。
目をなんとか開けて見た光景に息を呑んだ。
櫻子が二人いる。
這いつくばりながらトイレに向かっている櫻子とそれを氷の目で見つめている櫻子。
二人には細く頼りない糸が繋がっている。
「白馬様…。あれは?」
『この時の櫻子の体は魂が抜けかかっていた。姫様の糸でかろうじてこの世に止まっている。』
その光景に涙もでなかった。
這いつくばる櫻子を見ている櫻子がこちらを見た。
うちと目が合う。
息を飲む。
真っ白な目をしていた。
あの時の吹雪がうちの心を襲う。




