第六十七話 白銀に鳴る音
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こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。
部隊は北京町まで後退していた。
各小隊が、市街地戦のために準備している。
怒号が飛び交う。
雑居ビルの一室。北京町を見渡せる位置に丸山と上野がいる。
上野が双眼鏡を覗く。
魔術師部隊と天狗部隊が空を守り、自衛官と亜人・鬼部隊が建物に身を潜めている。
「ここまでは、田中の計画通りだな。」丸山が地図を見ながら話す。
「あいつ何者なんすか?」上野が尋ねた。
「元傭兵や。俺らと違って国際戦も経験している。」
「俺ら?」
「内宮は少し前まで内乱状態やった。俺はその時の経験が今生きてる感じや。」
「そっちって案外物騒なんやな。」
「そちらさんもね。上野は大丈夫なん?人を殺したことないやろ。」
「俺は、人道支援で長いこと中東におったから。まぁまぁ平気やな。」
「ふ〜ん。ともかく早く終わらせようや。」
爆撃が聞こえた。
「はじまったで。櫻子さんや田中が来るまで踏ん張るんや!」
そう言うと丸山は無線機のヘッドホンをつけた。
「こちら第三魔術師部隊。敵・道士部隊が南西方向に爆撃したのを確認。殲滅します。」
「こちら本部。了解した。南西方面の部隊は被害を報告せよ。」
上野もヘッドホンをつけて部隊を動かしはじめた。
櫻子が上空から戦局を見守りながら神辺タワーの入り口の広間に降り立った。
劉が燃え盛る業火を背にしながら櫻子に近づく。
「劉さぁん♩櫻子先輩ぃ♩」そこにアレクが近づいてくる。
櫻子が回復薬を飲んでいる。
一息ついた。
「伊達櫻子。せめてもの土産でお前ぐらいは連れて行くぞ!」劉が、大刀を構える。
劉は大ぶりの刀を右手で持ち上げ、左脚を上げる。
そうして、左手で目標を櫻子に定める。
櫻子も大剣ほどの大きさにしたハサミの持ち手を自分の顔の横に構える。
櫻子のハサミの持ち手にたぬきのマスコットが小さく揺れた。
アレクはその様子をニコニコと楽しそうに見守っている。
風が吹く。
遠くで爆音が聞こえた。
二人が同時に動いた。
劉が櫻子に切り掛かるが、櫻子はその攻撃をかわす。
かわした勢いで体を反転させながらハサミを振り下ろす。
劉の体が素早く消える。
櫻子が姿勢を低くする。
頭上から襲いかかってきた大刀をハサミで受け止める。
劉に向かって吹雪を打ち込む。
避ける劉にハサミを切り付ける。
ドサリと劉の左腕が落ちる。
しかし、血が出ない。
その代わりにすぐに再生した。
眉を顰める櫻子。
面白そうにニタニタ見ているアレク。
「おい!アレク!そろそろ手伝え。」劉がアレクに指示する。
「はーい!」
アレクは両手の指の間に注射器を出す。
「お薬の時間ですよぉ♩」櫻子に注射器を投げつける。
吹雪で凍らせる櫻子。
「ありゃ、対策されてる。」にっこり笑いながらアレクがいう。
しかし、楽しそうだ。
劉が再度櫻子に大刀を向けた。
ハサミで迎え撃つ櫻子。
アレクが櫻子に注射器を突き立てる。
櫻子は無言のまま、注射器を凍らせた。
アレクと劉の攻撃をハサミと魔法でかわす櫻子。
ーーーそこに。
「お姫様♩騎士さんを捕まえたんだけど、そんな事していいのかしら?」雉がヒロに注射器を突き立てながら話す。
櫻子がアレク達から間合いをとり、その姿を見る。
櫻子の喉がなる。
雉に縛り上げられたヒロが櫻子を見る。
「櫻!俺は大丈夫やから!」ヒロが叫ぶ。
「勝手に喋るんじゃないわよ。」雉がヒロの首筋に注射器の針先を食い込ませる。
注射器を一旦引き抜くとヒロを立膝に座らせた。
「とりあえず、彼氏さんには魔力抑制剤を打ち込んでるからいつもみたいに動けると思わない方がいいわよ。お姫様♩」
雉が櫻子に注射器を見せる。
「これが、お姫様にも打っていた魔封剤。彼氏君も結構な魔力持ちじゃないぃ♩どんな魔石になるのかしら?」雉がヒロの顔を撫でながら話す。
ヒロの顔が嫌悪感で歪む。
「何が望みだ。」櫻子が忌々しそうに尋ねる。
「神器をこちらに投げて投降しなさい。」
櫻子がハサミを裁ち鋏ほどの大きさに戻した。
見えないように菊理姫さまの糸をハサミにつけた。
雉の方に投げる櫻子。
それを拾い上げるアレク。
アレクと雉が目を合わせてにぃっと笑う。
「はい!ありがとう♩」
雉がヒロの首に注射器を突き立てて薬を入れた。
櫻子の顔が驚きと恐怖で歪む。
その瞳に、憤怒の色が戻る。
「騙したなぁぁぁぁぁ!」
櫻子の魔力が暴走する。
一瞬で辺りが雪景色に変わる。
辺りに櫻子の魔力が満ちる。
アレクが楽しそうにあたりを見る。
アレクに隙ができた。
櫻子はその隙を見逃さなかった。
神器を引き寄せる。
チャリン。
狸のマスコットが揺れた。




