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『菊理姫様!お導きを!』〜英雄の誕生〜  作者: ぽんぬ
第三章

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第六十二話 反攻のプレリュード

毎日18時更新

こちらは、外伝となっております。


気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。

次に見えてきたのは…。


ビルの一室でヒロが、ライフルについた望遠鏡を覗いている姿だ。


その先は、大聖堂だ。


丸山がやってくる。


「壁しか見えんやろ。それで見えとるんか?」ヒロに尋ねる。


「透視魔術を付与してあります。」短く答えるヒロ。


「田中ってスゲェわな。華族だったら豊富さんや櫻子さんに並ぶで…。」


「神々の名前覚えるの嫌ですわ。それに…。丁寧な言葉遣いとか食べ方とか…。色々性に合わないです。」


「俺かて適当や。その辺りは…。」


「俺の昔話してかまん?」いきなり丸山が切り出す。


「俺、すぐ忘れますよ。」


「それが良いんやん。俺って、子爵家の三男坊で、魔力も少ないから華族学校で馬鹿にされとったんよ。」


「……。」ヒロが黙ってスコープを覗く。


「そんな俺を、よう庇ってくれる令嬢がおった。その人は、学園では誰にも優しくて【聖女】って言われていたんや。俺、コロッとそのご令嬢に恋して、華族学校の紫苑の花畑で告白してな。」


「……。」


「紫苑の花畑から仲間ワラワラ出てきて“ドッキリでしたぁ〜。”って」


「“貴方に優しくした方が、周りの男に好かれるでしょ!そっちの方が聖女らしくないかしら?”って笑われたわ。」


「……それが、何なんですか。」ヒロが丸山を睨む。


「………。」何も話さない丸山。


「櫻も!そんな女や!言いたいんですか!」ヒロが丸山の胸ぐらを掴む。


「やっぱり、田中が櫻子さんの事ようわかってるやん。」


「なんで、戦場の聖女を演じたかーー。」


「なんで、田中の前だけいつもの櫻子さんなのかーー。」


「お前しか櫻子さんの隣に居れんのじゃ!」


「だからな。」


「辛いやろうけど。」


「側に居たりよ。」丸山の目に涙が光る。


ヒロの喉が小さく鳴った。


掴んでいた丸山の胸ぐらをゆっくりと離す。


そうして、またライフルを構える。


「今は、豊富さんです。櫻が頑張ってくれたんやから…。」


「せやな。早く終わらせて、帰ろうや…。」丸山がヒロの肩を叩く。




景色が滲む。


大聖堂の中だ。


縛られた豊富の前にアレクがいる。


とても楽しそうに記録をとっている。


イエジーがネイルを見ながら木製の長椅子に座っている。


そこに丸めがねの男がやってきた。りゅうだ。


りゅうはまだ魔石になっていない豊富を見る。


「おいアレク!何でコイツまだ生きているんだ!」豊富を指差す。


「えぇ、だってしぶと面白くてぇ!」アレクがおちゃらける。


そんなアレクを見たりゅうが、アレクの胸ぐらを掴み大刀を構えると壁まで押し付ける。


「やっやだな!りゅうさん。マジになっちゃって。」


「あの女が覚醒した。ここも見つかってるかもしれない。」


「櫻子先輩がですか!来てくれますかねぇ♩」


「そんな余裕はない!早くあいつを魔石にしろ!」大刀を豊富に向けるりゅう


「何よ、そんなに慌てて。」イエジーが立ち上がる。


「他の国がこの戦いに本格的に参戦してきた…。父さんを捕まえようとしている。」りゅうが答える。


「あら、それは…。」


そう言って雉は薬を豊富に打つ。


豊富はすぐさま禊の祝詞を唱え始めた。


舌打ちするりゅう


豊富の口を掴み大刀を構えーーー。


豊富の舌を抜こうとした、

その瞬間ーー。



豊富が桃色の煙に変わる。



「っ!」素早くりゅうが反応する。


ドンッ!


大聖堂の扉が爆ぜた。


「突入!」三条の怒号が響く。


素早く影に消える三人。


石の祭壇の陰には、茜茜が豊富を毛布で包み介抱している。


「翔太郎!大丈夫カ!迎えに来たヨ!」茜茜が心配そうに豊富を見る。


豊富は弱々しく震える手で茜茜の胸に手を当てる。


唇は震え、顔色は真っ青だ。


でも口元だけは、いつものように笑おうとした。


そうしてーーー。


「あぁ〜。…おっぱい。」


茜茜の目に涙が滲む。


「アンタ!バカヨ!」


パァン!


大聖堂に平手打ちをする音が響いた。

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