第五十八話 踏み越える一線
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こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。
アレクの姿になった冬馬は、警備員に軽く挨拶をするといつもアレク達が入る一階奥の部屋へと入る。
入った先には、階段が下へ伸びている。
冬馬は、音を立てず慎重に階段を降りる。
もう一つ扉があった。
ゆっくりとドアノブを回す。
閉まっている。
解除魔法を使う。
カチリと静かに開く扉。
「簡単すぎる…。やっぱり…。」
手をドアノブまで伸ばす。震えている。
冬馬は一度手をグッと拳を作ると意を結したように扉を開けた。
中には、培養液で満たされた巨大なカプセルが並び、機械と接続されていた。
機械まで近づく冬馬。
機械上部の窪みに魔石がセットされている。
冬馬はそれをスマホで撮影した。
次に近くにあった資料を目にする。
一枚、一枚、手早く撮影する冬馬。
辺りを見渡す。
奥にもう一つ扉があった。
認識阻害魔法をかける冬馬。
静かに扉に近づく。ゆっくりとドアを開けて中の様子をスマホごしに確認する。
赤い布切れを見つける冬馬。
中には誰もいない。
するりと中に入り、音もなく扉を閉める。
赤い布は、見覚えのある物だ。
震える手で布を拾い上げる冬馬。
緋色の軍服・肩章に刻まれた階級・胸章・見覚えのあるエンブレム。
そして、【井伊】という名前。
「悪い子ねぇ。」雉が冬馬に抱きつく。
「…!?」冬馬が空間移動魔法を使う。
冬馬の体に電流が走る。
「っ!?」アレクの姿が解けた冬馬がうずくまる。
「一匹だけ?しかも神器持ちじゃないじゃない…。」がっかりした声で雉が話す。
冬馬は、軍服をかき集める。
雉はそれをつまんなそうに見ながら鞭を打つ。
雉の鞭を避けながら、空間移動魔法で軍服とスマホを転送した。
「人以外は通すみたいですね…。」
「ふーん。……で?」雉の鞭が冬馬を襲う。
冬馬が、ギリギリの所でかわす。
「小野冬馬。江州の法務伝達者。聞いたわよ。妹さんうちの兵士に可愛がってもらったんですってね♩」楽しそうに鞭を打ちながら雉が話す。
「お前らぁぁぁぁ!」冬馬が火炎魔法を繰り出す。
目の前が見えなくなる。
ニヤリと雉が笑うとドアノブに手を伸ばした冬馬を鞭で捕らえた。
鞭で吊り上げられる冬馬。
「まぁ、私が指示したんだけどね…。娯楽も必要でしょう?」そうして冬馬に近づき顔を撫でる雉。
冬馬の顔が憎しみに歪み、雉の顔に向かって唾を吐く。
一瞬驚いた顔になる雉、だが眉を顰めて冬馬を平手打ちする。
「直ぐに魔石にしてあげるわ。若返りの薬ぐらいにはなってね。」注射器を出す雉。
「お薬、生意気な目に打ってあげましょうねぇ。」冬馬の目に注射器をゆっくりと近づける雉。
ドオォォォォォン!
雷鳴が轟き部屋が揺れる。
「何!?」雉が驚いて顔を上げた。
バリバリバリバリ!
轟音が再び響き部屋が揺れる。
ドンっとドアが開く。
「冬馬!迎えに来たで!」豊富が入ってきた。
後ろには丸山がおり、雉に向かって銃口を向けた。
雉の鞭が冬馬から解かれて豊富を捉える。
「冬馬!今のうちや!」丸山が冬馬を起こし、ドアへ向かう。
豊富が雷魔法を撃ちながら雉に槍で切り付ける。
雉は、鞭で軽やかに避ける。
「豊富翔太郎!神器を二つも持つ警ら伝達者!」雉の目には豊富しか見えてない。
その隙を突いて丸山と冬馬が部屋から脱出する。
その様子を豊富が見て後退し始める。
「させないわぁ!」雉の鞭が豊富に向けられる。
「なんや!綺麗な人に名前覚えられて嬉しいなぁ!でも、今は遊んでられんのじゃ!」そう言って雷魔法を連続で撃ちつけ壁を壊す。
雉に向かって崩れ落ちる壁。
「行くで!」豊富が丸山の後を追って走り出す。
瓦礫の中から鞭が飛ぶ。
豊富の首に巻き付く。
「豊富さん!」冬馬が叫んだ。
「いいから行け!証拠を!送れ!」豊富が冬馬に叫ぶ!
その顔はお前の働きを無駄にするな!そう冬馬に伝えていた。
冬馬は、一瞬怯んだ。
しかし、出口に向かって力強く走り出した。
その姿を豊富が見送る。
「ちゃんとやれよ…。冬馬。」
しばらくして、崩落が落ち着いた。
土煙が晴れる。
瓦礫の中から雉が現れる。
「海老で鯛が釣れる?って言うのかしら?大和では。」雉が豊富に馬乗りにのしかかる。
「いい男♩遊んでからにしようかしら♩」
「あぁ、遊んでやるわ。でも、俺、女が上なの嫌いやねん。ケツ向けろよ。突いてやるわ。」豊富が太々しく言い放った。
そんな豊富を見て舌なめずりをする雉
景色が遠のきマーブル状の世界に入った。




