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『菊理姫様!お導きを!』〜英雄の誕生〜  作者: ぽんぬ
第三章

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第五十二話 それでも聖女は笑う

毎日18時更新

こちらは、外伝となっております。


気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。

ぐにゃりと曲がる線路。


その上を鼻歌を歌いながら歩く櫻子。


数歩後ろをヒロがついて歩く。


夏の日差しが照りつける。


陽炎が二人を包み込む。


爆音が響く。


櫻子の白い頬に灰が舞い微かに色をつける。


それでも笑顔は崩れない。


「今日も暑いねぇ〜♩」


「あぁ。」


「あそこで燃えているからかな?」


「さぁな。」


「ちょっと行ってみようよ。」


まるで、楽しいお店を見るかのようにヒロを誘う櫻子。


そして、飛行魔法を使い爆発が起きている所へ向かう。


飛び立つ櫻子の背中を、ヒロはしばらく見つめていた。


櫻子の姿が小さくなる。


ヒロもその背中を追った。



敵兵の元に吹雪と共に櫻子がやってきた。


「やぁ、今日はどんな授業しているの?」櫻子が穏やかに敵兵に言う。


「うっうぁ!」突然現れた櫻子に驚く兵士が発砲する。


それを結界で弾き飛ばす櫻子。


ハサミを横に振る。


赤い閃光が走った。


一拍遅れて兵士の体が滑り落ちていった。




一人の永喜王朝の男が荒廃した神辺の街を走る。


その後ろを櫻子がゆっくり歩いている。


男が必死に走っているが、転んでしまう。


櫻子に向かって銃弾を打ち込む。


ハサミでいとも簡単に撃ち落とす櫻子。


「ば、化け物!」男が這いつくばりながら前に進む。


カタリ。


中学生ぐらいの子供がいる。


逃げ遅れたのだろう。


涙と灰で顔がぐちゃぐちゃだ。


男は、その子を捕まえると子供に銃を向ける。


「ヒィ!」子供の口から悲鳴が上がる。


「近づくな!こいつを殺すぞ!」兵士が櫻子に向かって脅す。


「ダメですよ〜。民間人に危害を加えるのは、ルール違反です。」櫻子がにっこりと笑う。


そしてーーー。



氷漬けにされた男の傍らで、震えている少年がいる。


笑顔の櫻子が、近づく。


「ごめんなさい。怖い思いをさせたね。君、お名前は?」


「橋下健吾。」


「健吾さんは、なんでこんな所にいたの?」


「魔法が…。見たかったんです。」下を向く少年。


「危ないから2度とこんな真似はしないでね。自衛官のところまで送るわ。」


笑顔の櫻子の背中をキラキラとした目の少年が見つめていた。



ーーーーーーー。



怒号と爆音が聞こえてきた。


敵兵の前に櫻子が現れる。


無言だ。


ハサミを振り上げ体を真っ二つにする櫻子。


時折、歌を口ずさんでいる。


踊るように兵士を虐殺する櫻子。


櫻子から逃げる兵士。


櫻子がハサミを投げてーーー。


返り血で真っ赤な櫻子が戦場にいた。



ーーーーーーーーー。


櫻子がシャワーを浴びている。


髪の毛の血の塊を丁寧に洗い流し、シャンプーで頭を洗う。


シャワー室から櫻子が出てきた。


髪の毛がまだだいぶ濡れている。


雫が床へ落ちる。


ヒロがソファに座り、甘いコーヒー牛乳を飲んでいる。


「しっかり、洗ったか?」


「………。」


「感染症とかあるから、気いつけや。血って案外汚いで。」


「………。」


櫻子が冷蔵庫からハイボールを取り出す。


一気に飲み干した。


「ここ手っ取り早く撃ち落としたいけど無理なのかな?」櫻子が神辺の人工島を見て言う。


「海坊主が船を沈めてくれたんや。そこで手打ちにしたれ。」静かにヒロが言う。



景色が遠のいた。


そして、時空の旅に入った。

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