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『菊理姫様!お導きを!』〜英雄の誕生〜  作者: ぽんぬ
第二章

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第四十話 魔女裁判

毎日18時更新

こちらは、外伝となっております。


気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。


場面が揺らぐ。

『覚悟して見よ。』白馬が忠告してくる。


うちは、黙って頷く。


景色が見えてきた。


体育館だ。そこにパイプ椅子を並べている。


舞台の下。


櫻子が頭を下げている。


「こんなの信じろって!あり得んやろ!」中年男性の怒号が飛ぶ。


「遺体すらない…。なんなら、その“魔石”もないのよね!うちの子は行方不明で…」そこで、言葉が切れる。


“どこかで、生きている。”その希望を捨てれないのだろう。


「申し訳ありません。」櫻子が光のない目で、謝罪をしている。


「あんた、魔法でどうにか出来ないの?魔法使いなんでしょ?」縋るような声が聞こえる。


「…申し訳ありません。魔法でも…助けることは…。」また、櫻子が頭を下げる。


「申し訳ない。申し訳ない。って!」そこで、一人の男が持っていた資料をグシャと丸めて櫻子に投げるける。


どかどかと櫻子の前まで行くと胸ぐらを掴もうとするのをヒロと丸山に止められる。


それでも尚、櫻子に掴み掛かろうとする男性。



ーーーー追悼式で、遺影を持っていた男だ。



「うちの子は…!あんたに助けを求めていたやん!テレビで見たで。なのに…なんで…。」嗚咽が漏れる。


「なんで、うちの子を見殺しにしたんやぁ…。」男が崩れ落ちる。


ゆっくりと櫻子が、膝をつく。


「申し訳ありませんでした。」手をついて土下座をする。


「謝れって言ってないねん!うちの娘を返してくれって言ってんねん!」


そこで、男が櫻子の肩を掴む。


「アンタやアンタのお偉いさんなら魔法で娘を返してくれるやろ?なぁ?」櫻子の肩を揺らす。


「申し訳ありません。…魔石化の魔法は、我々も初めてで…。小林ひなのさんは、もう…。」櫻子が弱々しく言う。


そこで、男が殴り掛かろうとしてヒロに止められ、体育館から追い出される。


「人殺し!お前やろ!ひなを返せ!」そんな悲痛な声が聞こえた。


男の剣幕に場が騒然となった。



しばらくの沈黙が体育館を包み込む。


一人の母親が立ち上がる。


「先生……。」


櫻子が顔を上げる。


泣かないように必死に目を見開き、唇を噛み締めている。


「うちの子……。朝、リュックを背負って、『明日から夏休みやぁ。』言って『いってきます!』って家を出て行ったきりなんです。」


声が震えている。


「それから、2日。帰ってきてないんですよ…。うちのれんは帰ってきますよね?」


櫻子が唇を一層噛み締め。


「……申し訳ありません…。」絞り出すように謝罪する。


母親が渇いた笑いをする。


「また謝るんですね…。」


その笑顔が崩れる。


「先生が悪いなんて思ってないです…。」


「でも…私、れんは…あぁぁぁぁ。」泣き崩れる母親。


ひと組の両親が櫻子に駆け寄る。


「伊達先生のおかげでうちの子は助かったんです!」母親が櫻子の肩を掴み礼を言う。


「助かった人間に何がわかるんや!」怒声が飛ぶ。


「うちの子やって、毎晩泣いている!友達が目の前で!石になったて!」父親が言い返す。




「そもそも…。なんで、この小学校やったん?」静かな声だ。


誰も怒鳴っていない。


「伊達先生がおったから、狙われたんとちゃうんか…?」


誰も反論しない。


「先生がいなかったら………。」


「うちの子、生きとったんとちゃう?」


冷静だが、怒りを帯びた声が櫻子に刺さる。


その瞬間。


人々の目が、疑念を抱き、疑問視し、勘ぐり、さまざまな方向から櫻子の体を貫いた。


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