第四話 人と妖の狭間
毎日18時更新
こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜アラフォー領主ですが、引退したいので伝説の姫巫女を育てます〜もご覧になってください。
また、ゆっくり白馬が歩き出す。
『次は、走るのでしっかり足を締めて、手綱を握れ』
うちが、白馬の言う通りにする。
また、マーブル状の世界を進む。
色が形に変わってきた。
今度は、山道だ。
2台のバイクが見える。舗装されていない山道を器用にバイクで走っている。
バイクの前には、老人が見える。
とんでもない速さで地面を滑るように走っている。
その人間離れした動きは、ただの老人ではない事は、確かだ。
「止まれ!そちらは、外宮の市街地だ!このまま進むのであれば条例により、お前を排除する。」櫻子が警告している。
ヒロが、老人に発砲する。
老人が止まる。
櫻子達も警戒しながらバイクから降りる。
「ホンマに伝達者なんか?」老人が話す。
あの速さで走ると思えないほど非力で無害そうな老婆だ。
「当たり前だ。これを見よ。」櫻子はバックルに魔力を込める。
そこに櫻子の写真と名前。そして、【神辺領地管轄伝達者】と表記されている。
ヒロも同じように見せる。
「伝達者なら孫の首なしライダーはどこに行ったか知らんか?伝達者と喋ってから姿が見えん。お仲間から何か聞いてはいないか?」老婆がすがる。
「私たちは、知らないが‥。」櫻子が戸惑っている。
「ホンマか?こんな人やったんやけど?」老婆が一枚の紙を見せた。
うちも覗き込む。
そこには、メガネかけている。オールバックなど書かれているが、子供の落書きのような人相がきがあった。
「ごめん。これじゃわからんわ‥。」櫻子が申し訳なさそうに言う。
「そんな‥。メリーはんもわからんって言っておって。うちどないしたらええんや。」老婆がしょぼくれる。
余程、孫が心配なのだろう。
「もしかしたら、民間の霊媒師に払われたかもしれへん。そうなったら、私達でもお手上げや。」櫻子が説明する。
「何でなん?人間の方がこっちにきたのに勝手に払うって!」老婆が怒りと憎しみで姿が禍々しくなる。
「落ち着けってターボーババア!人間にも色々あるんや!」ヒロが静止する。
「人間ばかり優遇しおって!」ヒロに老婆が飛びかかる。
すかさず櫻子が、ハサミで老婆を斬る。
コロンと魔石が落ちて、跡形もなく老婆は消えた。
ターボババアをあっさり討伐してしまった。
「公務執行妨害だね。」櫻子が冷たく言い放った。
櫻子が、一瞬だけ目を伏せる。
ヒロが魔石を回収する。
『少しだけ、時を飛ばすぞ。』
背景が歪むとすぐに形となって現れた。
これは、今住んでいる自宅だ。
でも、少し古い。
「あそこで、殺さんでもよかったんちゃう?」ヒロが甘いコーヒー牛乳を飲みながら話す。
「人手が足らん。仕方がないやろ。」櫻子はハイボールだ。
「そうやけどなぁ。恨みを買うだけやで。」ヒロも頭を抱えている。
ふと、部屋の隅を見るとロッキーと竜胆が仲良く寝ている。
良かった。楓達を保護施設に預けずに済んだらしい。
「その人手って人間じゃないとあかんの?」ヒロが徐にいう。
「はい?」
「別に妖や亜人に仕事割り振ってもええやん。」
「給与が払えませんが?私らだけでカツカツよ。」
「そうよなぁ。」また、頭を悩ませるヒロ。
櫻子は、ハイボールを煽るとその後に回復薬を飲む。
そして、さっさと寝室へ行ってしまった。
寝室にヒロが入ってきた。
櫻子の寝顔をヒロが優しく見ている。
ヒロが顔を近づける。
うちは、恥ずかしくて口元を抑える。でも、目は離せない。
唇が重なる寸前で櫻子の目がパチリと開く。
ヒロがそそくさとどこかに行った。
少し、がっかりした。




