第三十四話 龍神の目覚め
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こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。
※また、作者がぶっ壊れ始めたので変な時間に変な風に投稿します。
謁見の間には静寂が漂っている。
首を垂れて平伏している者は、時代の流れと重みを感じている。
そこに場違いな声が響く。
「なりません!帝!その様な浅ましい者と手を取るなど!」謁見の間に聞き耳を立てていた佐竹が乗り込んできた。
平伏したままの櫻子の腕が動く。
再び佐竹が壁に打ちつけられる。
「お前は、ある日、ある時、いつもの様に過ごしていて…。」櫻子が威圧をかけながらゆっくり佐竹に近づく。
「命を奪われる事がどれだけ酷い事かわかるのかぁ!」謁見の間に櫻子の魔力が満ちる。
佐竹が失神する。
他の者も気を失わない様にするのが精一杯だ。
ヒロが動く。
「…櫻。…気持ちはわかる。でも、やりすぎや。こんな奴ほっておけ…。」何とか櫻子の側まで歩いたヒロが宥める。
櫻子の威圧が収まる。
佐竹がずるずると壁から崩れ落ちる。
「お見苦しい事をして申し訳ありません…。」冷静になった櫻子が元の位置に行き再び平伏する。
月の君と総理大臣の冷や汗が凄い。
場の静寂を破ったのは、近衛である。
「外宮の総理大臣どの外では、どのようになっておりますか?」
「警察のSAT部隊がほぼ全滅し、自衛隊を派遣しましたが…。帰って来た者は、ほぼいません。帰って来た者が持ち帰ったのコレです。」
総理大臣がスーツの内ポケットからハンカチに包まれた小さな魔石を出す。
「その者の証言で、人が石になったと…。我々には、テロに対して対抗する術がない。今は、上層部だけで秘匿してますが、国民が事態に気づくのも時間の問題かと…。」
「…このままでは、大和が滅んでしまう。そう、我々は感じてここにやって参りました。」月の君が重々しく話す。
ゴクリと誰かの唾を飲む声が響く。
「しかし、一度封印を解いてしまうと、もう元に戻す事が出来ません…。ステイツ合衆国との条約は如何なさいます?」九条が関白らしく政治の話をする。
「この非常時に政か!悠長にしているとうちの団員も櫻子君のように石にされるかもしれんのに!」徳田が怒鳴る。
「賊の目的は、より強い魔力持ちのようです。外宮が落ちたら次は、内宮の結界を破ってこちらに来るかも知れませんな…。」三条が分析する。
「先代の帝は…。平和を願ってこの封印を作りました。再び、民が戦に赴かないように…。」太陽の君が静かに話す。
「朕は、その願いを守り続けたかった。月の君も同じ考えであろうと思うが…。」太陽の君が月の君を見る。
月の君が静かに頷く。
「しかし…。戦場からこちらに向かって来たのなら事態は違う。」
「民を守れぬ平和に、何の意味があるのか…。」
「大和の全国民を守る為に、100年の封印を解く事にする。」太陽の君が静かに重々しくそしてはっきりと宣言した。
近衛が深く頭を下げる。
「御意。」
九条も続く。
三条。徳田。ライラ。ヒロ。
ーーーそして。
櫻子が、強く同意する。
誰一人、意を唱えない。
それが、この国の覚悟だ。
二人の帝が御簾の奥の方へ近づく。
御簾の後ろの壁に手を置く。
壁の模様が、動く。
月と太陽の紋章が浮かび上がる。
現れたのは、重々しい木の観音扉だ。
しめ縄が施され、厳重な結界が張られているのがわかる。
「まさか、我々の代でこのような事態になるとは、思いませんでした。」月の君が静かに言う。
「結界の貼り直し以外でこの扉を開けるなど…。魔法を使える朕でも予言出来ませんでした。」太陽の君が無念そうに言う。
ーーーゴゴゴゴ。
重苦しい音と共に扉が開く。
中は、祭壇と大和の国の形の模型が置かれており、その周りをぐるりと囲うようにしめ縄が囲われている。
上を見ると天井が高く、幾重ものしめ縄がかけられている、天井の先には空が見える。
しかし、多分帝都の空ではない、見たことがない淡く綺麗な青空だ。
先ほど休んでいた、高天原の空に似ている。
とても、神聖な場所だ。
魔素の密度が違う。
ここが国の中心と言う事がわかる。
祭壇に置かれている、鏡には、ヒビが入っており、勾玉は黒く変色している。
大和の地図には、所々赤い点がある。
神辺の点が赤黒く変化している。
他にも帝都、浪華、平城京、日向の国なども赤黒い。
「各地の結界も壊されているようですね…。」その様子を見て太陽の君が呟く。
「これは…早く封印を解いて、大和に龍脈の力を与えないといけませんね。」そういうとスーツのポケットから扇を取り出した。
「まさか、この神楽を舞う日が来るとは思いませんでしたね。月の君」太陽の君も扇を出した。
「…えぇ、100年舞う事がなかった神楽ですからね。」
二人は、模型を中心に扇を持ち一礼をする。
手にした、扇を優雅に広げる。
どこからか、お囃子が聞こえて来た。
太陽の帝と月の帝が神楽を舞う。
太陽の扇と月の扇が交差する。
お囃子が静かに厳かに鳴り響く。
二人の足の運びが円を描く。
龍脈が呼吸を始める。
太陽と月が昼夜を繰り返すように。
二人の神楽が、大和を巡る。
太陽と月の声に眠っていた龍が目を覚ます。
模型が光り出す。
赤黒く輝いていた場所が黄金の光に包まれる。
二人の神楽がゆっくり確実に大和全体を脈打たせる。
太陽の君と月の君の動きが大きくなる。
しめ縄が消えて行き、部屋がぐらぐらと揺れる。
模型の龍脈が光を帯びる。
二匹の龍の模様が浮かび上がる。
地面が大きく鼓動する。
ゴォォォォ……。
大和の模型が砕ける。
どこからか、清らかで力強い咆哮が聞こえたと思うとーーー。
砕け散った模型の中から、黄金の龍と白銀の龍が天へ躍り出る。
龍はぐるぐるとお互いの存在を喜ぶように絡み合い部屋を大きく旋回する。
咆哮を轟かせ、
高天原の空へ昇っていく。
その瞬間、大地そのものが息を吹き返した。
100年の眠りは、終わった。
真の大和がーーー。
今、目を覚ました。




