第三十話 神域動き、神鳴る。
毎日18時更新
こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。
※作者ぶっ壊れてきたので時間意外もちょこちょこ投稿します。
色が形になりつつある。
ゴツゴツとした岩肌、テーブル。ソファ・ホワイトボード。
簡易的な折りたたみベッドに櫻子が寝かされてる。
側には、ヒロが櫻子の手を握っている、丸椅子に座り、うとうとと船を漕いでいる。
パチッと櫻子が目を覚ますとそのままガバッと起き上がる。
櫻子が起きた反動で、ヒロも起きる。
「櫻!起きたか!体はーーー。」ヒロから言葉がなくなる。
櫻子の目に不動明王の力が宿っているようだ。憤怒の表情の奥に子供達を救えなかった悲しみを隠しながら、櫻子の魔力が火焔のように立ち込め強くなる。
部屋いっぱいに満たされた櫻子の魔力に対してダンジョンそのものが呼吸を始めたかのように反応する。
楓達の毛が逆立ち、尻尾がピンっと立ち、小刻みに震えてる。
「ヒロ。帝の所に行くよ。ついてきて。」そうして空間移動魔法で消えてしまった。
猫達の尻尾がブルブルと激しく揺れる。
楓と紅葉・竜胆の三匹の尻尾が二又に割れた。
ロッキーはその様子を不思議そうに見つめている。
景色が遠のく。
また、色が形付き、輪郭がはっきりしてきた。
亜人の里を見下ろしている姿が見える。
「準備完了って感じネ!」茜茜が腰に手を当てて不敵に微笑む。
「じゃ、いっちょやりますか。」豊富が槍を持ち飛び出そうとした時。
大勢の黒い影が三人を襲った。
三人が、各々ガードする。
「叔父様!」なぎさが叫ぶ!
「なぎさ!無事だったんか!探したんやで!」狸の亜人がなぎさを抱きしめる。
「連絡入れなくてごめん…。こっちも必死やって。」なぎさがバツが悪そうに答える。
「怪しく妖艶な術がここから大量に流れたから賊だと思ったやん。けど、茜茜さんやったんか。」大きな狸の亜人が日本刀を収めながら茜茜と桃色の煙を見る。
「あら、いい男♩今度うちに飲みに来ない?」美久の母親のマミィが豊富から大剣を下げながら話す。
「マミィ!こんな時に営業しないで!」美久が叫ぶ。
「茜茜さんの術ですか!すごい!僕もやりたいです!教えてください!」なみが目を輝かせて話す。
酒池肉林の技を見たなみが、はしゃいでいる。
「狸の坊、やめておけ普通の体に戻れなくなるぞ。」そこに豊富がげっそりとして話す。
「なぎさ、そちらの方は?」なぎさの叔父が聞く。
「自己紹介が遅れたわ。俺は、浪華の伝達者・豊富翔太郎だ。」そう言うとバックルに魔力を通して身分証を提示する。
「俺は、族長の息子・寺田芝衛門や。なぎさの叔父でもある。浪華の伝達者様がなぜ神辺に?」芝衛門と名乗った亜人が話す。
「櫻子はんが、攫われた。俺は、代理や。」静かに豊富が言う。
「櫻子さんが!もしかして…。伊吹という奴が裏切ったんか?」
「なんで、知っているん?」
「何となく…。亜人の勘と言いますか。あの男からは、おかしな生命の匂いがする。気味が悪い匂いですわ。田中さんには、伝えたんやけど。櫻子さんに警告するのは、仲間割れになるちゅうて族長に反対されておりましたわ。」
「そうなんか…。その勘を櫻子はんにちゃんと伝えれたらな…。」豊富が槍を握る手に力が入る。
「そういや、あんたら何でここにおるの?里から逃げてきたんか?」豊富が疑問を投げる。
「わしらは、伊吹がどうしても信用ならんでな。それで、里ごもりの前に街に身を潜めていたんです。」
見ると、その他に20名ほどの亜人達が森からゾロゾロと出てくる。
「賢明な判断やな…。ここに来たんは、里の様子を見に?」
「せや。豊富さんも我らと同じ目的で?」
「あぁ、街で好き勝手やってる羽虫を退治しながら羽虫の巣を全滅しようと思ってなぁ。」そこで豊富が不敵に笑う。
「わしらも同じようなもんですわ。」にぃと芝衛門も笑う。
「じゃ、一緒にいきましょかぁ〜。」そこで、豊富が天に向けて槍を突き上げる。
雷鳴が響き漆黒の雲が渦を巻いて集まってきた。
「宴は人数が多い方がおもろいからなぁ!よっしゃ!みんな行くでぇ!」そう言って飛行魔法を使い空中に浮かぶと亜人の里に向かう。
亜人達が一斉に武器を構えて、それぞれの種族の咆哮をあげる。
山々に亜人達の魂が響く。
七甲山の魔素が、脈打つように応える。
亜人達の軍勢が炎と桃色の煙に包まれた里へ雪崩れ込んだ。




