第二十七話 届いた声
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こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。
青白い光がます。
伊吹がニタニタ笑いながら手揉みをしている。
そこにーーー。
「櫻ぁぁ!」ヒロが窓ガラスを割って入ってくる。
バシャーンと物凄い音をたてながら、ガラス片が部屋に散らばる。
ヒロがスライディングしながら伊吹に向けて銃を向けて撃つ。
ポケットからロッキーがハサミを持ってきて櫻子の拘束を解く。
しかし、櫻子の光は収まらない。
「田中先輩遅かったですね♩もう、櫻子先輩は魔石になりますよ〜♩」伊吹が銃弾を結界で弾きながら両手をあげて笑う。
「櫻!」ヒロは拘束から解放された櫻子を抱き寄せる。
「あぁぁぁ!ゆるっあああああ!」
「櫻!しっかりするんや!」ヒロが必死に声をかける。
しかし、櫻子は悶えるばかりで、周りが見えていない。
櫻子の胸から発せられる光が増す。
蛇のような魔力が、高速で櫻子の体を巡りその身体を締め上げる。
青白い光に飲み込まれて、櫻子の輪郭がぼやける。
「櫻!」ヒロが大声で叫び、強く抱きしめる。
ーーーその時。
ヒロの手首に巻かれた組紐が淡く輝く。
組紐の光は、輝きを増して、櫻子から発せられる魔力を優しく包容するように被さる。
ヒロの手首からスルスルと組紐が解けて、櫻子の神器の組紐へ近づく。
櫻子の神器に結ばれていた組紐が、思いを聞き入れたようにほどけ、ヒロの組紐と絡み合い。
一本の長い組紐を編み上げる。
青白い不気味な光を暖かな新緑の木漏れ日のような光で満たしていく。
その組紐は、空中で櫻子とヒロを囲むように大きな円になる。
円はざぶんざぶんと水面へ姿を変え、櫻子達を囲む清流となる。
やがて、櫻子の光が落ち着いていく。
水は清らかに巡り、穢れだけを洗い流す。
まるで、筒状の川が櫻子とヒロを包み込んでいるようだ。
さらさらと巡る清流に合わせてるように、櫻子の光は少しずつ小さくなる。
清らかな森の中の小川に身を任せて熱った体を冷やすように櫻子の体を癒す。
胸の菊と波の紋章も薄くなってる。
「Diyana fasida」伊吹が叫ぶと初めて笑みが消えた。
伊吹が魔法を打ち込むが、川に流される。
「低脳の神もどきがぁ!」伊吹の顔が歪む。
ヒロは目の前の奇跡に言葉を失う。
ブツブツと悪態をつきながら伊吹が魔法を繰り出すが、全て川に禊がれる。
櫻子の瞼がゆっくり開く。
「……ヒロ?」櫻子は震える手をヒロの頬へ伸ばす。
胸の紋章は綺麗に無くなっている。
ヒロの顔が綻び、泣きそうになる。
しかし、一瞬で表情を変えてロッキーに声をかける。
「ロッキーようわからんけど逃げるで!」ロッキーがヒロの肩にちょこちょこと乗る。
ヒロは櫻子を抱き上げ、そのまま飛行魔法で飛び立つ。
「くそ!待て!」伊吹が川に手を入れる。
バラバラと腕が崩れた。
「ーっ!」伊吹が手を引く。
櫻子たちは、どんどん小さくなっていく。
その様子を悔しそうに見る伊吹。
「ふふ。ふふふふはっ!」不気味に笑い出す。
「どこに逃げても、必ずお迎えに行きますよ♩僕のお薬ぃぃ!」そこで、伊吹は狂ったように笑い出した。
景色が遠のきマーブル状の世界へと入っていった。
「白馬様、あれは?」
『高龗神様が手を貸してくださったのだ。姫様も高龗神様も同じ水を司るのでな。組紐の磐長姫命様が場を繋いでくださったのだ。』白馬が説明する。
しかし、名前が難しくてうちにはわからない。
白馬はため息をつく。
『其方は、まかり間違えても姫様に認められたのだ。ホツマツタエと古事記ぐらい学んでおけ。』
「そうは言っても神々の話は難しい漢字が多いし、言葉も難しいのじゃ…。西洋魔法塾の頃も苦手だったのだ…。」うちが下を向く。
『其方にわかりやすく言うと、加護を与えた眷属を助けるのに友に頼ったのだ。』
「それで、わかった。白馬様ありがとうなのじゃ!」
白馬は、はぁとため息を吐くとまた過去の世界をぽくぽくと歩き始めた。




