第二十四話 脅威の形
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こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われています〜もご覧になってください。
マーブル状の世界を進む。
『ここからは三条について行くので覚悟しろ』そう言うと白馬がなみ足をする。
うちは、体勢を低くし、鞍を足でしっかり抑える。
空間が歪む。
三条は、崩れたビルの瓦礫の上に立っていた。
焦げた匂い。火薬・ガソリン・それに鉄の匂いが鼻を刺す。
消防や救急・警察のサイレン。
救急隊の怒号が飛ぶ。
泣き叫ぶ子供の声。
警察の特殊部隊が各所で被害状況を確認し、逃走したテロリストを追っている。
三条は、おもむろに足元に転がっている魔石を拾う。
「三条さん〜」巨乳のメイド服の人がきた。女の見た目だが、声がおっさんだ。
「ライラか。どうだ?」
「西の都だけじゃありません。大和全体でテロが起きているようです。それにテロ現場では、魔石が落ちてますわ。これ。」そう言うとライラが魔石を渡す。
「あと、梅手駅のラビリンスがものすごく不安定になってます。」ライラが困ったように言う。
「豊富君を神辺へ残した判断を………間違えてしまったやろうか?」三条が顎をこすりながら考える。
その刹那。
ーーーーーリーン!と怒号の中。
静かな鈴の音が、聞こえる。
三条がすぐに異変を感じ結界を張る。
物凄い爆風と光があたりを包む。
光が収まる。
音が消えた。
警察の特殊隊員も、救急隊も、助けを呼ぶ声も、
誰一人いない。
バラバラと魔石だけが地面を転がっていく。
その様子を三条は驚愕に目を見開く。
「なんやこれ!」
「……お薬の材料でーす♩」そこに艶っぽい声が聞こえる。
振り返ると前下がりのショートカットで片目を髪の毛で隠している女性がいる。
黒のパンツに大胆なタンクトップは胸元がガッツリ空いている。
その胸に鳳凰の刺青が彫られている。
ジャケットに袖を通さないで肩に羽織り、優雅に歩いてくる。
「貴方、三条奏さんよね♩私、貴方にもお薬になってほしいの♩」とても楽しそうだ。
「素敵な女性のお誘いを断るのは気が引けますが、貴方のお誘いはお断りさせてもらいましょうか?」そう言うと三条は、一歩踏み込み、大地を砕く。
足元から黒い閃光が一直線に女へ走った。
閃光が女の不敵な笑みを捉えようとした時。
女の影が消える。
「あら、残念。可愛いお姫様はもうすぐお薬になりそうよ。」女が三条の後ろに回り込み耳元で囁く。
三条の顔に焦りと驚きが滲む。
「ライラ!」三条が叫んだ。
「はいよ!」ライラが狐火を出す。
空間移動魔法を使い三条とライラが逃げる。
うち達も三条を追う。
そこは、お上との謁見の間の前だ。
150年前に帝都で見たそのままの部屋だ。
三条が立ち上がると謁見の間を力任せに叩く。
「帝!無礼ですが申し上げます!三条です!今回のテロはただの外宮の内乱ではありません!帝!謁見をお願いします!」式部官が怪訝そうに扉を開ける。
「三条殿、何をそれほど…。それにそんな獣を」ライラを見た式部官が怪訝そうに顔を顰め口元を袖口で抑える。
「どけっ!」三条は式部官を退かす。
中では、別の式部官が帝と謁見していた。
三条はずかずかと帝の御簾の前まで行くと式部官を払いのける。
「無礼をお許しください。どうしても今すぐに帝に大和の現状を報告したく参上いたしました。」三条が取り乱しつつも御簾の前で膝まづく。
「三条…。其方が、そのように慌ててどうした?」三条の声に応じ、御簾の奥から帝が姿を現した。
「失礼ながら、この映像を見てください。」
三条は、マジックバックから布を取り出すと魔力を通して先ほどの映像を見せる。
「これは……。」帝が言葉を無くす。
「内宮だけで隠密に活動するだけでは、賊に出遅れます!どうか外宮の帝と手をお取りください!」三条が力強く言う。
「それに…。我らの友の忘形見が攫われて賊の手の中に…。」三条が苦しそうに話す。
外からバタバタと謁見の間に人が入ってくる。
「無礼をお許しください!騎士団の中でも神器持ちが、何者かに拐かされました!」緋色の軍服を着た大男がドタドタと入ってきて帝と三条を見比べる。
そして、帝にひざまづくとキッと帝を見る。
「テロの様子を伺っておりましたところ、怪しい賊がやってまいりまして…。隊員の神器持ちだけを的確に攫って行きました。」
謁見の間に沈黙が流れる。
これは、外宮だけの戦いではない。
大和そのものが戦場となったのだ。




