第二十三話 宴の開始
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こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます。〜もご覧になってください。
「あいつ!櫻に変な薬打ちおってました。」ヒロが苦々しく話す。
「媚薬か?」豊富がおちゃらける。
「豊富さん、本気でぶん殴りますよ。」カッとヒロが目を見開いて豊富を睨む。
「……ごめんて。」
場に似合わないボケで狐、狸コンビにも白い目で見られてる。
「私は、大和中で情報集めに回る。どうやら相手は、大和の妖怪狩りもしているようや。情報がまとまり次第協力してテロリストを捕まえるで。」そう言い残すと三条さんは、再び空間移動魔法で姿を消す。
「バケモノみたいな人ネ…。」茜茜が若干引いている。
「あのお方は、人なのでしょうか?」なぎさが怯えている。
「敵に回したらあかんタイプの人には間違いないで。それより!俺は、すぐに櫻の所に向かうわ!」そう言って扉を開けたら牛女がいた。
「アッシー君!これ!」手にしている手紙をヒロに見せる。
ヒロが目を通す。
「なぎさ!里が襲撃された!」その瞬間なぎさの顔から血の気が引く。
「すまん。櫻のことで視野が狭くなっていた…。亜人の誘拐に伊吹が一枚噛んでいたら真っ先に亜人が狙われるのにすまん…。」ヒロが落胆する。
「…櫻子がいたら…。」茜茜がポツリと話す。
「嘆いても始まらへんで!部隊を分ける!」豊富がパンパンと手を叩く。
「いや、あっちは人手が必要や。櫻の方は、俺が何とかします。豊富さん達は亜人の里に行ってください。」ヒロが静かにいう。
「でも、それだと…。」なぎさが揺れている。
里の安全と櫻子の安否で揺れている。
「俺は、大丈夫や。伊吹の手口やいやらしさを一番知っているのは俺や。なぎさは、亜人の里に行け。」そう言うとなぎさの肩に手を置く。
「ホンマに一人でええんか?」
「人数おったら櫻を人質にとります。あいつは、そういうやつです。俺一人で行かせてください。お願いします。豊富さん!」そう言うとヒロが豊富に頭を下げる。
静寂の中、猫達の声だけが響く。
「わかった。」豊富がヒロの意志を受け取る。
「そうと決まれば出撃や!相手の思い通りにばかりさせやんで!」そう言うと皆が立ち上がる。
ロッキーもついていく。
その姿を楓と紅葉と竜胆が見送る。
皆が、出ていった後。
うなーお。うなーお。と鳴く声が悲しそうだった。
場面が歪む。
四人が、ダンジョンの外を出る。
兜山からも戦火が見える。
兜山ダンジョンの両側の道は、神辺から逃げてきたのであろう。
車で渋滞しており、クラクションが響く。
「こっちは、子供がおるんや!なんとか通してくれ!」悲痛な母親の声が聞こえる。
「こっちもおるわ!早く進め!」男性が乱暴に言う。
殆どの人々は、車内に内蔵されているテレビで様子を伺いながら避難している。
車の中に人気のマスコットのぬいぐるみをぎゅっと抱いて泣いている子もいる。
手を合わせ念仏を唱えて拝む老婆もいる。
近くで爆発が聞こえた。
四人が素早く反応する。
渋滞の中にいた。
普通の姿の大学生の若者みたいな集団が爆弾を爆発させたのだ。
バンの中から少し柄の悪い連中が、五、六人出てくる。
男達が一斉に腕を掲げる鈴を鳴らそうとした瞬間。
「させないヨ!」茜茜が二、三人の頭を踏みつけながら鈴を蹴り上げる。
蹴り上げられた鈴をなぎさが大斧で切り付け真っ二つに切る。
大斧の柄を返して、鈴を拾おうとする男を切る。
素早く間合いを詰めたヒロが、ナイフで何人かの腕を切り落とす。
腕を切り落とした勢いのまま、一人の男の喉にナイフを突き刺す。
灰になって消える男。
そこで、やっと民衆が反応して悲鳴が上がる。
ヒロ達の攻撃を逃れた男が鈴を鳴らそうとするが、雷に打たれて黒焦げになる。
男の身体は、バラバラと崩れ灰となり消え去る。
豊富が槍を天に突き刺している。
雷魔法を使ったのだろう。
そうしていると、ヒロが一人を拘束するが灰になって崩れ落ちる。
「くそっ!なんの情報もなしやん!」ヒロが悪態をつく。
「こりゃ、もうコソコソしてられへんわ。」豊富が槍の持ち手を肩に置きながら話す。
「のう、ヒロ。好きなお姫様迎えに行くには、これぐらいド派手な宴な方がええやないか?」豊富が憎々しく笑う。
内心ブチ切れているのだ。
そんな様子がこちらにも伝わる。
「同感ですわ。豊富さん。こそこそせんとド派手にいきましょうか。」そう言うと足元の魔道具に魔力を流す。ゴーグルをつけて小銃を構える。ヒロの目に闘志が宿る。鬼神が軍人に加護を与える。
「そうと決まれば、空から一直線にいきますか。途中、羽虫退治や!嬢ちゃん達もええなぁ?」そう言うと飛行魔法を使い。四人が飛び出した。
残された人々は、去っていくヒロ達をただ眺めていた。
車内で拝んでいた老婆が、車からおもむろに降りて拝みはじめる。
「伝達者様や。」
「伝達者?なんそれ?」
「わしらを魑魅魍魎からお守りくださっている方々や。」
そう言うと戦火に消えていったヒロ達に向かってもう一度拝み。
深々と頭を下げた。
それに習って人々も深く頭を下げる。




