第二十二話 縁を辿って
毎日18時更新
こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜定時で帰りたい領主は、今日も魔法犯罪に追われます〜もご覧になってください。
色が形を作り出す。
兜山のダンジョンだ。
セーフティーゾーンだろうか?
魔物がいない。
中には、テーブルとソファ。
ソファには楓、紅葉、竜胆が寝ている。
竜胆がにゃにゃと忙しなく鳴いているのでロッキーが撫でて宥めている。
ホワイトボードに机。今の櫻子の執務室の本がないバージョンみたいな部屋だ。
「ともかく情報やな。」ヒロの額から汗が流れる。
「丸山のおっさんにダンジョンに来るようには言うたわ。今回、俺が神辺に遊びに来たんわな。あのおっさんに呼ばれてな。警察内部で不穏な動きがあるかもって話やったんよ。」豊富が話す。
「それって伊吹のことですか?」ヒロが言う。
「かもな。おっさんも怪我で伝達者を辞めやんといけなくなったから、櫻子はんに引け目があって相談できなかったと言ってたわ。まぁ、でもそれが返って功を奏した訳や。」豊富が地図を広げる。
「櫻子はんが勤めてる小学校はどこや?」
「ここです。」
その時、不意に豊富のスマホが鳴る。
「なんや三条さんやないか?まいど〜。」気だるそうに電話に出る豊富。
「はい。?緊急招集?大和中で同時多発テロ?ホンマですか!!……。浪華も!はい。櫻子さんですね。実は俺たまたま神辺に遊びに来ていて…。櫻子さん。帝都から来た伝達者が神辺でもテロを起こしていまして、それで…。櫻子さん、行方不明です。」三条に説明する豊富。
「それは、ほんまか?」
空間移動魔法を使って三条が現れる。
みんなギョッとする。
紅葉に至ってはシャー!と威嚇している。
「三条さん!びっくりさせないでくださいよ!」ヒロが言う。
「それより、櫻子さんの魔力がかなり弱くなってますが?」三条がダンジョンの様子を見ながら話す。
ヒロが、櫻子の神器のハサミを見る。
「確かに弱まってる…。」
ヒロが飛び出そうとするのを豊富がとめる。
「待てや!ヒロ!飛び出してどないする!」
「こうしてる間に櫻が苦しんでいるかもしれないじゃないですか!?」ヒロが悲痛に叫ぶ。
「田中君。落ち着け。気持ちはわかる。だからこそ私が来たんだ。貴船の社にいらっしゃる磐長姫命様の縁を結んでやる。田中君と櫻子君の縁の糸をたどって櫻子君を助け出しなさい。」ゆっくり静かに三条さんが言う。
三条さんは、組紐を出す。
輪がいくつも連なった組紐だ。
ヒロの手首に括ると櫻子の神器にも括る。
「その組紐は、一本の糸でできている。組紐に集中してみ、櫻子君が見えるはずや。」
三条さんの言葉にヒロが頷き、目をつぶる。
その瞬間。
ヒロの見えているものがうちの頭の中にも入ってくる。
ヒロの意識が一気に空へ
引き上げられる。
見下ろすと神辺の街が広がる。
鹿のような角のさらさらとした綺麗な鬣。
光に反射して輝く鱗。
古龍の背に乗っているようだ。
古龍は、神辺の人工島に進み大きな公園の横にある廃ビルに入る。
そこには、椅子に縛られた櫻子が見える。
伊吹が櫻子に楽しそうに注射を打っている様子が見える。
ヒロの目が開く。
「見えました!ここです。」ヒロが地図に丸を付けた。
ヒロの拳が震えた。




