第二十一話 糸の絡まり
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こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜アラフォー領主ですが、引退したいので伝説の姫巫女を育てます〜もご覧になってください。
白馬に連れられてポクポクとマーブル状の世界を歩く。
「白馬様、お願いがあるのじゃが…。」
『過去に干渉してはならない。過去への干渉は、神々の中でも禁忌だ。』
心が読まれているのか、白馬に却下される。
『お主が出来ることは、あの事変の中何が起きて、人々がどんな思いで過ごしたかを見届けるだけだ。』
また、色が形になりはじめた。
兜山のダンジョンだ。
住宅街に面しており、神辺から来る車が多い。
ヒロ達は認識阻害魔法を発動しながら入り口である岩の前まで来る。
「黒服のチェック入りまーす。」そこに派手なボディコンを着た牛女達がやってきた。
「櫻子ちゃんいないじゃな〜い。ここは、通せません〜。」語尾を上げながら怠そうに話す。
「その櫻が危ないんや!協力してくれ!」ヒロが牛女の前で土下座をする。
「ちょっと見っともない事しないでよぉ。」牛女がつまんなそうにネイルを見ている。
そこに蝶々の折り紙がやってくる。
牛女が怠そうに見るが、顔が険しくなる。
「………嘘でしょ!」牛女の顔から笑みが消える。
「ちょっとそこのアッシー!櫻子ちゃん危ないってホンマなの!」牛女がヒロの胸ぐらを掴む。
「さっき言うたやないか!櫻が攫われたんや」
「本当でしゅ!信じてくだしゃい!」ロッキーもヒロの隣で土下座している。
「今、件が外宮の四ノ宮駅で予言をしたわ。」
牛女が予言の内容をヒロ達に説明する。
「大陸からの渡来人って…。道士が神辺に潜伏しているかもしれないね。」茜茜の顔が険しい。
「緋色の服…。鋏刀ってハサミの事ですよね?やっぱり、櫻子さんでしょうか?」なぎさが考え込む。
「伝達者と内宮の騎士団の軍服は緋色やで〜。」そこに軽快な声が聞こえた。
見るとホストのような格好をした豊富がいる。
「豊富さん!なんでここに?」ヒロが驚愕する。
「今日は、非番や!マキから逃げ来た〜。
煮豚買っとたら、ヒロの車が爆速で走ってるやろ。おもろそうだから着いてきた!」そう言うと徐に豊富はピースをする。
「それより、ヒロ!櫻子はんが拐かされたって本当か?」豊富の顔から笑顔が消える。
「ホンマや!学校にこれだけが落ちていた。」ヒロが神器のハサミを見せる。
「丸山のおっさんの話はホンマになるかもしれん…。牛女!もう一度予言を教えてくれへん?ここの結界俺が貼り直しちゃる。櫻子はんみたいに上手くは行かんけどないよりマシやろ。」豊富が牛女に向き合う。
何なのよもう!と牛女が予言をもう一度話す。
「やばいかもな…。ところで、ヒロは何でダンジョンにおるの?」
ヒロは、簡単に事のあらましを豊富に話す。
伊吹が裏切った事。
伊吹に櫻子が誘拐された事などだ。
そして、兜山ダンジョンに櫻子との避難所があってそこを拠点に櫻子の捜索をする事を話す。
豊富は腕を組み、黙って最後まで聞いていた。
「なるほどなぁ。牛女。お願いやからダンジョンに通してくれへん?頼むわ。」そこで頭を下げる。
「豊富さんぐらいのVIPに頭下げられたら通さないといけないじゃないの!もう!」そう言うと牛女はダンジョンの入り口を開けた。
ヒロ達が遠のく。
景色がぐにゃぐにゃになり、マーブル状の世界へ入る。
「わしが、今知っている者が結構関わっているのじゃな。」白馬の背に乗りながらそんな感想をぽつりと話す。
『これも運命の糸の絡まりよ。何も絡まっている事は悪い事ばかりではない。人の言葉で言うところのそう“絆”と言うものだ。』白馬が静かに教えてくれる。
『この豊富と言う者も大夢の車を見ても無視しても良かった。でも、追いかけて来たのは何かあったと思ったのだろう。そうやって人を気にかけ、助け合うことで糸がもつれる事がある。』
「いい事なのだな?」
『いや、そうでもない。毎年、菊理姫様に“もつれた糸を解いてください”と願いに来るものが多い。』白馬が言う。
「じゃ、悪いものなのか?」うちが混乱する。
『善悪の問題じゃない。願う者の都合もある。』
「わからぬ。」うちが頭を抱える。
『私もわからぬ。人とは、本当にわからぬものだ。』そう言うとまた。
静かにマーブル状の世界を白馬が歩く。
うちは、再び過去の世界を彷徨った。




