第十六話 戦火の炎がジワリジワリ
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こちらは、外伝となっております。
気になる方は、本編の『菊理姫様!お導きを!』〜アラフォー領主ですが、引退したいので伝説の姫巫女を育てます〜もご覧になってください。
背景がぐにゃりと歪む。
色が形を取り戻す前に悲鳴と爆風が伝わってきた。
亜人の里だ。
家家が取り壊され、火が放たれている。
人々が這いつくばりなら逃げている。
小さな子供を抱えた猫の亜人が逃げるが、賊に捕まる。
「おっと!猫の亜人は人気なんだ。逃しはしないよ。ガキもいい商品になりそうだ!お前ら亜人は、耳と鼻塞ぐとなんも出来ねーな!」賊が話す。
「オスは殺していいぞ!生かしておくのは熊ぐらいでいい。メスとガキには傷つけるなよ!」怒号が飛ぶ。
長老が、外に助けを呼ぼうと紙飛行機を折る。
「長老さん!」そこに伊吹がやってくる。
「あぁ、伊吹さん。助かった。今、襲われていてーー。」
伊吹が長老の腹部に刃物を突き立てる。
「商品なんだから、勝手な行動しちゃいけませんよぉ。」爽やかな笑顔で刃物を引き抜く。
長老が腹部を押さえながら後ろによろける。
伊吹から逃げようと後ずさる。
「昔から思っていたんですよ。」笑顔のままゆっくり近づく伊吹。
「あなた達って、人間信用しすぎですよね。特に神辺の亜人は!人間を信用している!櫻子先輩のお陰ですねぇ!」とても愉快そうに伊吹が笑う。
長老が震える手で紙飛行機を拾おうとする。
ぐしゃり、と紙飛行機を伊吹が踏みつける。
「無駄ですよ。」一瞬冷たい目になる伊吹。
伊吹の顔が笑顔に変わる。
その笑顔は里で子供達と遊んでいた時のものと一緒だ。
ゆっくり、ナイフを振り上げる。
「その優しさもお人好しなところも。僕達が、利用する為にあるんですよねぇ。」
長老にナイフを振り下ろす時、うちは思わず目を逸らしてしまう。
目を開けると絵の具の世界にいた。
ホッと胸を撫で下ろす。
『大丈夫か?』白馬が心配している。
「うちは、大丈夫。」
『そうか、次に行くぞ。』
マーブル状の世界を進む。
次は、神辺の街だ。
四ノ宮駅に人が押し寄せている。
育田の社付近が閉鎖されて人々が非難してきているのだ。
そこにぽくぽくと不釣り合いな牛が歩いてくる。
顔は人、体は牛。
件だ。兜山の件がここまで来ているのは珍しい。
人々は、その不気味な姿に驚き。
件の周りには、不自然な空間が現れる。
【大陸より渡来してきた者に大和の民は、薬膳に変えられるだろう。対抗する術を知らぬ民が多く死ぬ。
ーーーーしかし、緋色の衣を着た女神が神から賜った鋏刀で渡来人を討伐するであろう。そして、民を導くのだ。】
そう、予言すると不気味に笑った。
一歩。
また一歩。
件が灰となって崩れ落ちた。
その場に残ったのは、風に舞う灰だけだった。
群衆の中に顔を隠した牛女がいる。
件の死を見届けると魔法でどこかに連絡を入れた。
蝶々の形をした折り紙が人々の上を飛ぶ。
しかし、人々はその姿に気が付かない。
件が消滅した場面をスマホで撮影している。
次にまた、爆撃が聞こえた。
悲鳴が、群衆を包み込んだ。




