表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恩人の彼の勘違い  作者: maruko


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/44

5

 アルチェの母、私の叔母であるカティリアは、今では二人の子を持つ夫人だが、令嬢時代は可愛らしい容姿と仕草から、学園では妖精などと呼ばれていたらしい。


 だが見た目とはだいぶ違う彼女の本性は、学ぶ事の嫌いな怠惰な令嬢だった。そして成長するにつけ、勉強嫌いなくせに悪知恵を働かせる事を覚えた。全く余計な頭脳である。


 両親には恋愛結婚がしたいと戯言を言い、婚約者を定めなかったのだが、()には本音を漏らしていた。一人に縛られたくないと、それは貴族令嬢に有るまじき思考。


 そして婚約者の定まらぬままを希望していたくせに、姉の婚約者を羨ましがり、それを奪い取るという愚行。姉から奪うというそれ自体を楽しんでいるように思えたと、その時の事を思い出し遠い目をして母は私に話してくれた。


 そんな叔母が狙った当時の母の婚約者は侯爵家の令息だった。

 叔母と違って、家族から相手にされなかった(気の毒)母は、一人でいることも多く、それは自然と彼女の足を図書室へと運ばせた。


 本を読むのが日課だった母は、知識だけを蓄えていく。それは孤独な母の習慣でもあったけれど、身に付いた知識は、神様から母への贈り物だったのかもしれない。

 成績の良い母の評判は上がり、侯爵夫妻の目に留まる。そして侯爵家からの打診で、母は侯爵令息と婚約を結ぶ事になった。


 それが羨ましいカティリアはあの手この手を使って、とうとう二人の婚約を解消させて、自身を後釜に売り込んだ。それは侯爵令息の希望もあって叶った。


 だが、学園の課題も()のを奪って提出していた勉強嫌いなカティリアが、侯爵夫人の心構えや夫人としてのマナー、家政など、いくら丁寧に教わった所でできるわけがない。

 侯爵夫妻と夫に、出来の悪さがバレたのは婚姻後だった。


 優秀な姉マティリアとは、雲泥の差の出来の悪さで、如何にも出来ないと判断した侯爵夫妻は、とうとう跡継ぎを次男に譲る事にして、母のかつての婚約者でカティリアの夫のレビンには、侯爵家の従属爵位であるマーカー子爵と領地を少しだけ付けて侯爵家から出したのだ。


 その話しを聞いたとき、母は胸がすく思いだったそうだ。しかも侯爵夫妻からの謝罪付きである。


 叔母にしてみれば、侯爵家の嫡男だったから奪う価値があったのだろう。母の二人目の婚約者も狙って奪ったが、彼は子爵家の嫡男だったのだ。吟味して侯爵令息を選んだのに、結局選ばなかった方の爵位にまで落ちた。

 計算違いもいいところだが、その時には二人目のアルチェを身篭っており、離縁しても良いことはないと考えたのだろう。その事で冷えた夫婦仲のまま現在も離縁はしていない。


 私は、王妃陛下のお茶会の数年後に、母から叔母と何があったのか聞かされたが、それをアーノルドには話していない。告げ口のようで嫌だった事もあるし、ある意味母の生家の醜聞にも当たる話だったからだ。


 だが彼はどこからかその話を仕入れてきたらしく、私は本当なのかと彼に聞かれた事があった。


 叔母が奪ってそうなったとは言わず、親の決めた婚約者を自身の気持ちだけで変更した為、侯爵家がそのような判断をしたらしいとだけ告げた。


 それを聞いたアーノルドは、私と婚約を解消するつもりはないと言った。

 だが、そのくせアルチェとは友人だと言い張りながらもイチャイチャしている。言ってることとやってることが合っていない。


 彼は一体何がしたいのだろう?


 セコズ伯爵家には従属爵位はないから、同じ目には合わないとでも思ってる?


 でもアーノルド()には、2つ下のショーンと同い年の弟がいるのに。


 ひょっとして、私の婚約者は()鹿()だったのだろうか?






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ