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「カティ、婚約おめでとう」
私は嬉しくて心からお祝いの言葉を言ったけど、メイリンの顔色が少し悪く感じた、気のせいかしら?
「おめでとう」
その後、メイリンは普通にお祝いの言葉を言っていたから、気のせいだと思った。
そしてそれから婚約の経緯を聞いて、嬉しそうなカティに惚気られた。多分カティは無自覚で惚気てる。
友人になって日は浅いけど、カティのこんなにも嬉しそうな幸せそうな笑顔は、初めて見るかもしれない。
カティが、元婚約者に散々な目に合わされてきた年月は短いものではない。
なんせミスラン子爵領の災害は、領地の名を伏せられているが、災害の例として教科書に載るくらい前の出来事なのだ。
婚約の間、どんなに蔑ろにされても侮蔑されてもカティが耐えていたのは領民の為家族の為だ。学園に入ったら、とんでもないアルチェに嘘までばら撒かれた。どんなに辛かっただろう。
そんなカティが幸せそうに笑ってる。
私は胸が詰まりそうで、喜んであげないといけないのだから、泣いてはいけないと堪えると鼻の頭がツンと痛くなった。
「そうだ、レニファ。エルマール様が今度謝罪したいと言ってるの」
「謝罪?私に?」
エルマール様の謝罪って何だろう?
私は疑問に思い首を傾げた。
「ひょっとして、態度の事じゃない?前レニファ言ってたじゃない。カンテラ伯爵令息の態度が、みんなとは違うみたいって、何か嫌な態度でもされていたんじゃないの?」
「そうなの!レニファ」
私は、エルマール様が、私への挨拶が「ん、」だけだったり、避けられている事を二人には話していなかった。
話す機会もなかったし、見てれば分かる人は分かっていたから、二人も、特にメイリンは知っていると思っていたからだ。
それに、今はもうすっかり忘れていた。
でも謝罪がそれであるなら、自覚はあったんだなと思ってしまう。益々自惚れていたあの頃の私が恥ずかしい。
それはそうと、カティが怒ってるみたいだから、それを宥めなきゃ!
そんな事はないと言ってなんとか誤魔化したけど、少し不審そうだ。
でもそこでも、いつもなら納得行かないと結構しつこく聞いてくるメイリンが、直ぐに引き下がったのもメイリンらしくないなぁとちょっとだけ思った。
その後のお茶会では、婚約に伴ってミスラン子爵家の領地がなんとかなるかもという話になった。
ミスラン子爵家は、災害のとき領地の半分が水没してしまった。
復興にはかなりの金額が掛かる為、全てを復興することができなくて、未だにその場所は湖の様になってしまっている。
元は平地だったのに、突然その一帯が陥没してその上にありえない量の水が押し寄せたという。
その工事が着手出来そうなのだとカティが嬉しそうに言った。
「休んでいる間にね、領地に隣国からエルマール様とカンテラ伯爵が来てくださって、水没してしまった土地を見てくださったの。それで災害からかなり時間が経過したことで、なんとかなるかもしれないって仰ってくださったのよ」
嬉しそうに笑うカティ。
自然災害は、どの領地でも起こり得ることで、他人事だとは思えない。
でも実際に起こらなければ、その気持ちに本当には寄り添えないのかもしれない。
ただ、長年憂いていた領地が復興することが出来るなら良かったなと思った。
お茶会があった2日後、昼休憩のとき、私はメイリンから話があると言われた。
メイリンはその日、朝から様子がおかしかった。
ずっと深刻に何かを考えているみたいで、小休憩の時に聞いても話してくれなかった。
だけどとうとう話す気になったようだ。
何を悩んでいるのかしら?
「ねぇ、レニファ。あのね、聞きたいことがあるの」
「私に?」
「えぇ」
「何かしら?」
「あなた、もしかしたらローザン侯爵令息に、婚約を申し込まれてない?そして困っていたりしていない?」
メイリンは、ズバリと聞いてきたけれど、どうして私が困っていると思ったのかな?




