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カイル殿下の恋心を知らされた私は、叶いそうにない殿下の恋心を気の毒に思ったし、またどうしてそんな合いそうにない人に恋しちゃったのだろうかと唖然ともしていた。
何故なら、メイリンは正義感も気も強めな人物なのだ。
もしも、家の柵やカティが強力に止めていなければ、とっくの昔にカティの元婚約者やアルチェに抗議して、もしかしたら手まで出ていたかもしれないと思うほどの人だ。
それをなんとか堪えて、影で支えることに徹したのは、ひとえにエドラー伯爵家とミスラン子爵家の事を考えたからだ。
メイリンが友情と正義感から、カティの元婚約者に抗議すれば、ミスラン家への援助が止まってしまうかもしれない。それにエドラー伯爵家に何らかの物理的な制裁があるかもしれない。元婚約者の家はそれなりに富豪で力のある家だったのだ。
そしてミスラン子爵家の負債は到底エドラー伯爵家にも、どうにもしてあげる事は出来ない額だった。
メイリンが動けば、彼女の正義感は《《余計な事》》になる恐れがあったのだ。
それにカティ自身がメイリンを巻き込みたくなかったのが大きかった。
自分のために友の家まで窮地に陥らせたくなかった。だから殊の外強く止めた。
そうして二人は、我慢に我慢を重ねて過ごしてきたのだ。
方やカイル殿下は、どうだろう?
正義感は、あるかもしれない。
自身の側近のただの想い人の為だけに、自身の力を使うほどだ。
いやこれは正義感ではなく友情なのかな?
うんメイリンとの共通事項発見。
だけどその後が残念じゃないかしら?
そもそもなんだけど、この隣国の留学生達、揃いも揃って残念では?
あっでもまだケビン様の事はよくわからないからこの方は保留。
エルマール様は、好きな人を他力本願とはいえ救ってあげようとはしたけれど、その後勇気を出せずにウジウジと思い悩んでいる?
殿下にきっぱりと言ってくれれば、私が被害に合うことはなかったのではないだろうか?
それかカティに告白してくれれば、良かったのだ。どちらでも私は絡まれずに済んだ気がする。
カイル殿下は、勘違いから猪突猛進すぎる。そしてその後がいけない。
メイリンとの接点が私へのうざ絡みだから、それを止めなかったって酷いわ!
ほうらね二人とも残念だわ。
どちらも結果的には、私の暗黒の学園生活を救ってくれた恩人でもあるけれど、それを差し引いてもちょっと⋯⋯。
「協力とはどんな形ですか?私はメイリンの意に添わないことはぜったいにしたくないんです」
「それはエドラー伯爵令嬢の気持ちを無視したりはしない。ただ殿下に少しでいいんだチャンスを与えて欲しいんだ」
「チャンスですか?」
私の問に、ケビン様は頷いた。
そんなの、隣国とはいえ王族なのだから、一言話したいと命じれば⋯⋯あぁそうか、それが嫌なのだカイル殿下は。
それが恋なんだ、すごいな恋って。
「今殿下の印象は最悪だろう?」
「えぇまぁ、そうですね」
私は遠い目をして答えた。
最悪だわ、本当にMAX最悪だろうと思う。
東屋の昼食の時、全く話題に登らないもの。それほどメイリンには、殿下の存在が不快なのだと思う。
「気持ちを伝えるのは、あの方に頑張ってもらうしかないけれど、きっかけすらもなければ、本当に今後結婚しないの一直線だ。それは避けたいんだ。殿下はああ見えてお人好しだし、悪い方じゃない。いい人かといえば非情な面も持ち合わせているから、少々黒いところもある。だが今回に限っては、我々も異例でどうしていいか持て余しているんだ」
私の遠い目に、合わせるようにケビン様も話しながら遠い目をしていた。
「二人がゆっくりと話す機会を設けてほしい。その手段に私を使ってくれてもいいから」
「あぁだから婚約ですか?」
「うーん、これだけの為にって考えて欲しくないんだ。だから始めにできれば別で考えて欲しいといった。会うきっかけが他にあればそうしてもらって構わないし、私と婚約したくなければそれでもいい。ただ、殿下の件だけは是非とも引き受けてもらいたい」
そう言ってケビン様は私に頭を下げた。
その行動が臣下というよりも、友情からのもののように私には思える。
カイル殿下の為に頭を下げることができる人。
私はケビン様をとても好ましく思った。




