23
学園の現学舎から旧学舎までを結ぶ道。
道の右側には、低木が植えられていて反対側は花壇になっている。
旧学舎へと歩を進めると、低木が途中で途切れる場所があり、目印のように平べったい石がある。
その目印を右に折れて少し進むと古い小屋が建てられている。
その裏手には小さな花壇と池、そしてお目当ての東屋が存在する。
メイリンとカティは、初めてその場所を知った時、感嘆の声を上げていて、私も秘密の場所を二人にお披露目出来た事が嬉しくもあり得意気でもあった。
「こんな場所があったなんて!」
「これってきっと穴場っていう所よね」
それぞれが持参したランチボックスを広げて、誰にも気兼ねすることなく、私達は食事とお喋りを楽しみ始める。
少し前まで、私がユリアとここで昼休憩を過ごしていたと二人に話すと、カティはもっと早く知りたかったと言い、メイリンは気の毒そうに私を見た。
「でも良かった。今日からはここで過ごしましょうね」
メイリンの言葉に私とカティは頷いて、それからそれぞれのランチボックスから、一つずつおかずを交換するという、友人通しらしい初のイベントを私は体験した。
何故ここに来る事になったのか
それは、カイル殿下絡み対策だった。
相手が隣国の王族ということもあり、あまり強く意見できない私は、ほとほと困り果てていた。
何度も何度も、丁寧に言葉を選び勘違いだと告げても、殿下の耳は筒のように私の声をすり抜けるようで、言葉が届かない。
そして、そんな私に新たな敵?が現れた。
ミーティナ・ルベラ公爵令嬢だ。
彼女はどうやらエルマール様に好意を持っているようで、食堂でのカイル殿下と私のやり取りを見て、勝手に私をライバル認定してしまったのだ。
本っ当にいい迷惑だ!
彼女とは同い年ではあるけれど、クラスメイトではない為、被害は少ないものの、彼女の友人枠なのか取り巻き枠なのかは知らないけれど、同じクラスのユシュリー様が、ミーティナ様の代わりとばかりに口撃してくる。
こちらも応戦したり、メイリン達も間に入ってくれたりしていたけれど、正直言えば休憩のたびに神経をすり減らすのに疲れてしまったのだ。それにメイリンやカティにも申し訳ない。特にメイリンはおなじクラスでもあるから、私のせいでお溢れ被害にもあっていた。
それを回避する為に、私が二人にこの場所で休憩をすることを提案したのだ。
ここなら、ミーティナ様はともかく、カイル殿下は知り得ないと思ったし、ミーティナ様が不快だと思っているのは、カイル殿下が私にエルマール様を薦めることなのだから、それが見えなければユシュリー様がうざ絡みしてくる事もない。
一石二鳥だった。
私達は平穏な学園生活を取り戻した!
かに見えた。
東屋で昼休憩を過ごすようになって、丁度一週間ほどが経過した日。
我がクルーズ家に、思っても見ない人の先触れが来た。そして、驚く事に、その先触れを私に齎したのは、他でもないお父様だった。




