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母親通しが姉妹だというのに、私とアルチェが初めて会ったのは、お互いが10歳になる歳だった。
王妃様主催のお茶会だった。
母はその日を見据えて、充分に準備をしていたようで、王宮の庭園で会った時、母は怖いほどの笑みを溢していた。
母とその妹であるマーカー子爵夫人は双子だ。
お祖母様譲りの髪色と瞳の色は同じなのに、二人は顔の作りがハッキリ違っていた。
ゲットン伯爵であるお祖父様に似た母とお祖母様に似た叔母さま。
性格は正反対だそうだ。
物心付いたときから甘え上手な叔母さまに、お祖父様もお祖母様も、そして姉妹の兄である伯父さまや使用人達まで、皆が叔母さまの味方だったという。
彼女の失敗や醜聞は全て母がした事にされ、それを皆が信じる。とうとう婚約者まで叔母の毒牙に掛かった。しかもその後に結んだ婚約者も叔母に籠絡されるというおまけ付き。
人生に絶望する母を救ったのが、父のトニー・クルーズだった。その頃父はまだ令息だったから、悪評広がる母と婚姻するまでは、相当苦労したようだ。
今では母にとても優しく、理解者でもある前クルーズ伯爵夫妻である祖父母も、始めの頃は母の醜聞を信じていたそうだ。
父の苦労のかいあって、二人は結ばれ今に至る。母は婚姻後、実家のゲットン伯爵家とは縁を切るとばかりに疎遠になっていたから、私は母方の祖父母や伯父叔母には、会ったことがなかった。
お茶会で初めて会ったアルチェは、淡い黄色のデイドレスを纏っていた。
その横には悔しそうにこちらを見る、初めて会う叔母の姿もあって、私や母を憎々しげに見ていて、母の黒い笑みも怖かったが、叔母の視線も怖かった。
あとで、その日の夜の夕食の席で、嬉々として母が父に話していたから、理由はわかったけれど、子供ながらにも姉妹の確執を垣間見て、私はその日の夜は眠れなかった。
叔母は母よりも優位に立ちたい私質で、家族で出掛ける時はいつもお揃いを強要してきていたそうだ。祖母に似た小動物の様な可愛らしい顔立ちの叔母に合わせた衣装が、祖父似の整った顔をした綺麗系の母に似合うはずがない。
似合わないドレスは、一人ならそこまでではないが、比較対象がいれば強調される。
周りからの失笑を聞きながら、自分の婚約者と寄り添う妹を遠くで見る母は、ずっと辛酸を嘗めていた。
だから娘にはそんな目にあって欲しくなかったのだろう。その日の私のデイドレスは淡いピンクだった。
あの手この手で情報を得ようとする叔母に、態とブティックで黄色いドレスをフェイクで購入した母。
父の助言に従って出し抜けたのだと、その日の出来事を楽しそうに話していた母を思い出し、母の令嬢時代の苦労が今になってやっと分かった私は、母の笑みを怖いと感じたあの時の自分に、未来を語って聞かせたいと思った。




