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恩人の彼の勘違い  作者: maruko


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 昼休憩の時間、私の所にエドラー伯爵令嬢が誘いに来てくれた。この学園で、昼休憩を一緒に過ごそうと誘われたのは何時ぶりだろう?


 単純にとても嬉しかった。


 今の私の胸の内は、恥ずかしい自惚れで居た堪れないけれど、そんな事はこの場の誰も知り得ない事、私の心の中だけのもの。流石に私は、エルマール様へ好意を持っていたのだと自覚したけれど、相手にもされないことも今朝の件で充分に理解した。


 それに自覚したと言っても、まだ淡い、恋かどうかも分からない気持ち。育つ前にポッキリ折られた様で、それは今日の午前中、授業そっちのけで考えて、その思いを封印する事に決めた。


 アルチェの誤解が解けたにもかかわらず、挨拶すら交わしてもらえない相手に固執する事は、どんどん自分が惨めになりそうで沼に堕ちそうだったから、男の人に好意を持ったり期待したりする事はもう止めよう!そう思った。


「エドラー伯爵令嬢、お誘い頂きありがとうございます。是非お願いします」

「良かった!では一緒に行きましょう」


 エドラー伯爵令嬢と学舎の入り口までゆっくり歩く。彼女ともう一人、クラスメイトではない令嬢も途中で合流した。

 驚いたことに、彼女はエドラー伯爵令嬢の幼馴染のご令嬢で、私と同じくアルチェの被害者の3人のうちの1人だった。


 ミスラン子爵令嬢カティ様。

 アルチェの本命と王宮で噂された方と婚約を結んでいた方。今その婚約はどうなっているのかしら?私のように相手に固辞されていないかしら?

 自分の事はそっちのけで、カティ様の内心を慮る。


 学舎の入り口には、いつものようにユリアが私を待っていてくれた。


「エドラー伯爵令嬢、本日のランチはどのような?」

「私はいつも食堂なの」


 私の質問にエドラー伯爵令嬢が、答えてくれたので、私はユリアにその旨を話す。

 するとユリアは、とても嬉しそうに笑顔を振りまき私の手に薬を握らせた。


「お嬢様、お食事の後、こちらをお飲みください。医師様の指示です」

「分かったわ、ありがとう」

「それから、旦那様が昼休憩のあと、体調が思わしくなかったら早退するように仰っていました」

「ふふ、分かったわ」


 過保護なお父様の伝言に笑ってしまったが、今の所、体の痛みはない。痛いのは心だけ。


 ユリアと別れたあと、私は二人と一緒に食堂へ向かった。


「クルーズ伯爵令嬢、私のことはメイリンと呼んでください。それと⋯レニファ様とお呼びしてもいいかしら?」

「まぁ!いいのですか?嬉しいです。えぇ是非レニファとお呼びください。ミスラン子爵令嬢様も是非」

「ありがとうございます、それでは私のこともカティとお呼びください」


 学園に入学して約2年。

 私は漸く名呼びを許される方と話す事が出来た。






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