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「誰がそんな事を?」
「他の被害者の方でしょうか?」
私の疑問を、私よりも色々と詳しいユリアに疑問で返されて私は困ってしまった。
「侍女達での話では、出ていないの?」
「はい、私も含めて今日は3人で互いを牽制していました。事が起こる前に、そんな話をするはずないですしね」
ユリアの言うことは尤もだ。
加害者を糾弾する前に、他家にべらべらと喋るわけがない。ユリアもそうだが、互いに情報を仕入れあってるとしても、重大さにはランクを付けて話しているに違いないのだ。
ここまでは大丈夫、そう思った事しか話題には上がらなかったはずだ。
「でも、誰かはわからないけれど、結局それがキッカケでアルチェは自滅したものね」
今までの所業がバレて、学園から証拠付きで勧告を受けたアルチェは、最後に一矢報いようとでもしたのだろうか?
完全なる悪手ではあるけれど、浅慮な彼女らしいとも思えた。
まぁもう貴族令嬢としては、致命的ではあるけれど。
確かに王立の学園はいくつかあるけれど、やはり主流はこの学園なのだ。
今後の社交を考えれば、一番多く嫡男が在籍するこの学園の方が将来的に有利に決まっている。貴族の中には、昨日の私のように社交なんて、後回しでもいいかなと考えれば、他の学園を選ぶ人もいる。
だが途中編入というのは、貴族子女達の口に登る。ましてやマイナスの書類付きで編入するなら尚更だ。
アルチェは、今後相当頑張らなければ社交は絶望的と言える。
「アルチェとはもう会わないで済むかしら?」
ユリアにそう言いながら、痛む足の包帯に目を向けた。
◇◇◇
帰宅した私は直ぐに父に話があると、出迎えてくれた家令に告げた。
足の怪我もあって、家から我が家の護衛騎士が来て、抱き上げて部屋に連れて行ってくれる。
ユリアや他の侍女達に体を支えてもらいながら、何とか着替えを済ませた私は、ベッドの上で負傷した足を伸ばして、父の仕事が一段落するのを待っていた。
暫くすると両親がやって来たので、アルチェの話とそれに伴って、カイル様とエルマール様に助けられた事も話した。
私の話を聞きながら両親、特にお父様が渋い顔をしている。
「オードン王国のカイル殿下か」
腕を組みながら考えに耽るさまで、お父様が口にする。
カイル様に何かあるの?
そう思い、私はお母様を見ると、ベッドの上でクッションに乗せている私の足を、お母様は痛ましそうに見ていた。
「レニファ。お前はカイル殿下から、その、何か、何だ、その」
はっきりせずに口ごもるお父様。
一体何が言いたいのか。
「お父様?」
「お前、カイル殿下に、その、口説かれたり婚約など打診されたりしてはいまいな?」
「はぁ?」
お父様の荒唐無稽な言葉に、私は思ったよりも大きな声が出てしまった。
あんな大物が“蠱毒令嬢”など相手になど致しません。
お父様⋯⋯寝言は寝て言えですわ




