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医務室へ運ばれて、学園専属の老医師が診察してくれることになった。
そして判明したのは、てっきり驚いた拍子に腰が抜けたと思っていたのだけど、足首を捻っていたらしい。
医務室で診察を受けるまで、全く痛みを感じていなかったのに、老医師が足首が腫れてると言い出して、看護人のメイドがソッと触れただけで、脳天に響くほどの痛みが走った。
「いっ!」
「ほうら、やっぱり。捻っておるなぁ」
老医師がメイドに指示して、足のあちらこちらの部位を確認するたびに痛みが走る。
あまりの痛さに、どこもかしこも痛すぎて涙が溢れてきた。
湿布を包帯で巻いているところに、誰かが知らせてくれたのだろう、ユリアが部屋に入ってきた。メイドに替えの湿布を渡されて、医師からの症状についてなどの説明を受けながら、ユリアは母に伝えるためにメモを取っている。
それをぼんやり眺めていて思い出した。
「先生、第二王子殿下は?」
「ああ、君を運んだあとは帰ったんじゃないか?診察室には入れないからねぇ」
「そうですか、わかりました」
お礼を言いたかったが、帰ってしまったならしょうがないし、それに王子殿下へのお礼ならお父様を通したほうが良い。
そう思って帰ろうとして私は固まった。
歩けないのだ。
先程は立とうとすると力が入らなかったけれど、今は立とうとすると激痛が走る。
参った
どうしよう
そう思っていたら、ユリアが私に待つように言った。
そして部屋を出て行ったと思ったら、意外な人物が医務室に入ってきた。
「カンテラ伯爵令息様」
どうやら、カイル様は帰ったらしいが、エルマール様は診察を見届けてくれようとしてくれたらしい。
それにその上で、困ったことがあったら言いに来てくれと、医務室に入る前のユリアに言伝をしてくれていたそうだ。
なんて優しい人なのだろう
私は素直にそう思えた。
「ありがとうございます」
この部屋に運んでくれたカイル様のように、今度はエルマール様が私を馬車まで運んでくれる。
先程カイル様に運ばれていた時は、緊張していても力が入らなくて何も考えていなかったけれど、エルマール様に運ばれている今は、胸がドキドキしていた。
抱えられたまま馬車の座席に降ろされた時、お礼を言うと、またいつものように「ん、」とだけ返された。
それがとても寂しく感じたのは、彼が隣の席になってから初めての事だった。




