表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恩人の彼の勘違い  作者: maruko


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/41

10

 医務室へ運ばれて、学園専属の老医師が診察してくれることになった。

 そして判明したのは、てっきり驚いた拍子に腰が抜けたと思っていたのだけど、足首を捻っていたらしい。

 医務室で診察を受けるまで、全く痛みを感じていなかったのに、老医師が足首が腫れてると言い出して、看護人のメイドがソッと触れただけで、脳天に響くほどの痛みが走った。


「いっ!」

「ほうら、やっぱり。捻っておるなぁ」


 老医師がメイドに指示して、足のあちらこちらの部位を確認するたびに痛みが走る。

 あまりの痛さに、どこもかしこも痛すぎて涙が溢れてきた。


 湿布を包帯で巻いているところに、誰かが知らせてくれたのだろう、ユリアが部屋に入ってきた。メイドに替えの湿布を渡されて、医師からの症状についてなどの説明を受けながら、ユリアは母に伝えるためにメモを取っている。

 それをぼんやり眺めていて思い出した。


「先生、第二王子殿下は?」

「ああ、君を運んだあとは帰ったんじゃないか?診察室には入れないからねぇ」

「そうですか、わかりました」


 お礼を言いたかったが、帰ってしまったならしょうがないし、それに王子殿下へのお礼ならお父様を通したほうが良い。

 そう思って帰ろうとして私は固まった。

 歩けないのだ。


 先程は立とうとすると力が入らなかったけれど、今は立とうとすると激痛が走る。


 参った

 どうしよう


 そう思っていたら、ユリアが私に待つように言った。

 そして部屋を出て行ったと思ったら、意外な人物が医務室に入ってきた。


「カンテラ伯爵令息様」


 どうやら、カイル様は帰ったらしいが、エルマール様は診察を見届けてくれようとしてくれたらしい。

 それにその上で、困ったことがあったら言いに来てくれと、医務室に入る前のユリアに言伝をしてくれていたそうだ。


 なんて優しい人なのだろう


 私は素直にそう思えた。


「ありがとうございます」


 この部屋に運んでくれたカイル様のように、今度はエルマール様が私を馬車まで運んでくれる。

 先程カイル様に運ばれていた時は、緊張していても力が入らなくて何も考えていなかったけれど、エルマール様に運ばれている今は、胸がドキドキしていた。


 抱えられたまま馬車の座席に降ろされた時、お礼を言うと、またいつものように「ん、」とだけ返された。


 それがとても寂しく感じたのは、彼が隣の席になってから初めての事だった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ